制御工学とは? 役立つ分野や就職先を解説
制御工学の概要・理念
制御工学とは、主にロボット技術を機械・電子といった工学的な観点から研究し、生産システムや経営システムなどに応用することを目指す学問分野です。
とくに機械を自動制御する方法に特化して研究が進められているケースも多く見られます。
私たちの暮らす社会にはさまざまなところでロボットが活用されています。
自動車工場などの製造現場で人の代わりに部品を組み立てる産業ロボットや一般家庭向けに開発されたペット型ロボットまで、ロボット工学では幅広いタイプのロボットについて研究します。
また、ロボットの動きを計算して予測する計測システム工学といった分野もあります。
このように制御工学は私たちの暮らしをより便利で快適なものにするだけでなく、より安全に動作するロボットを開発することも使命としています。
制御工学を学ぶにあたっては、ロボットを設計・製作するための知識の習得に留まらず、実際にロボットを製作し実験を行うまでの過程を実践的に学びます。
制御工学で学ぶこと
制御工学を学ぶにあたっては、数学や物理の基礎知識が必要になります。
そのため、高校までで学んだ知識を振り返りつつ、制御工学の研究に必要な基礎を確認していきます。
その上で、制御工学の基本となるモデリングや信号・システム理論について学んでいきます。
制御工学には>古典制御と現代制御という2つの考え方があります。
古典制御は制御対象物を伝達関数で表現し、1つの入力に対して1つの出力を持ちます。
現代制御では制御対象物を状態方程式で表現し、多入力・多出力に対応しています。
これらの考え方の違いを微分方程式を使いながら理解し、習得していきます。
こうして習得した知識を駆使して、実際のロボット設計・製作を行い、卒業研究へとつなげます。
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制御工学の大学での授業科目の例
モデリングと制御系設計
物理現象を数式を使ってモデリングし、制御系の設計の根拠とする方法論を学びます。
信号・システム理論
数学を使って信号やシステムの性質を解析する方法論を学びます。
数学
制御工学を研究するにあたって必要な複素数、ラプラス変換といった数学を学びます。
古典制御
入力と出力の関係から最適な入力値を見出だすことに重きを置く、古典制御の考え方を習得します。
現代制御
制御のための処理における内部状態を方程式で表現する、現代制御の考え方を習得します。
制御工学のレポート・テーマの例
制御工学のレポートでは、モデリングや信号・システム理論といった基礎事項の理解度を確認することを目的としたものから、実際に製作したロボットによる実験結果を報告することを目的としたものまであります。
理論に留まらず、実際に製作・実験することで実証するところまでを行うのが、制御工学の大きな特徴です。
- リチウムイオン蓄電池における拡散現象のモデリング
- 単眼カメラによる追従誤差検出と車両制御
- 小型ヒューマノイドロボットによるバスケットボールのシュート
- 車椅子ロボットのための十字路右折手法の開発
- 加速度センサとウェーブレット変換を用いた野球ボールの回転速度計測
制御工学と関連する学問
制御工学は他の工学系の学問と密接に関わり合っています。
機械工学では性能がよく安全な機械をより安価に開発・製造するための技術を追究しますが、制御系の工程においては制御工学の知識が活かされます。
機械の制御においてはコンピュータを駆使することも少なくないことから、情報工学との関連は非常に高いといえるでしょう。
また、製作した機械が暮らしの快適性や環境の保護、安全性といった面で評価できるものかどうかという観点においては、環境工学と深い関わりがあります。
制御工学を学んで就職に有利な業界・仕事
制御工学で学んだことで就職が有利になる業界は、大きな括りで言えば「ものづくり」に関わる業界です。
たとえば自動車に代表される輸送用機器や電気機器、精密機器といったいわゆる製造業への就職率が他の学問を学んだ人と比べると高い傾向があります。
現代においては、自動車にも運転をアシストする機能が搭載されたり、将来的には自動運転が実用化されたりする可能性もあるといわれています。
こうした技術は制御工学の研究領域ですので、今まさに研究が進んでいる分野や将来に向けた期待が集まっている分野において、就職時に有利に働く可能性があります。
仕事内容としては技術職が中心になります。
PMPやCAPMといった資格を取得する際、条件の一部が免除・緩和されることがありますので、技術職としてキャリアアップしていきたい人にとっても有利になる可能性があります。
このように、制御工学を学ぶことによって「ものづくり」の世界で活躍できる範囲は広く、就職に強い学問分野であるといえます。
制御工学の知識は人生でどう役立つ?
自動車工場などでは比較的古くからロボットアームが製造ラインで活躍してきたことで、人が直接介在する作業の大幅な削減に成功するなど、ロボットによって私たちの社会はより便利に、安全なものに変わってきました。
近い将来、私たちにとってロボットはますます身近なものとなり、暮らしに欠かせない存在となっていく可能性があります。
制御工学の知識や技能は、ロボット技術の根底を支えるものであり、これからよりいっそう必要とされていくはずです。
このように、社会への影響力や貢献度の高い分野で活躍できる知見を得ることで、人生をより実り多く豊かなものにしていくことが可能になるでしょう。
制御工学の知識は、私たちの社会にとって未来の姿を描く強力な原動力になるかもしれません。
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