カメラマンの年収はいくら? 給料相場を解説
カメラマンの平均年収・給料の統計データ
カメラマンは会社員もいればフリーランスで活動する人もおり、働き方によって収入に違いが出てきます。
さらに、撮影に関する専門的知識・技術が求められる職業であることから、個々の実力や経験によっても、収入に大きな違いが出やすいことが特徴です。
それを前提として、ここではさまざまな働き方をするカメラマンの給料・年収について紹介していきます。
カメラマンの平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、カメラマンの平均年収は、38.3歳で521万円ほどとなっています。
- 平均年齢:38.3歳
- 勤続年数:10.3年
- 労働時間/月:166時間/月
- 超過労働:10時間/月
- 月額給与:371,500円
- 年間賞与:754,400円
- 平均年収:5,212,400円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
カメラマン (Indeed) |
2,678,350円 | 時給 1,220円 |
日給 15,243円 | ||
月給 189,632円 | ||
カメラマン (求人ボックス) |
351万円(正社員) | 派遣社員平均時給 1,563円 |
アルバイト・パート平均時給 1,046円 | ||
カメラマン (転職ステーション) |
327万円 | - |
カメラマン (転職会議) |
299万円 | 20代前半:265万円 |
20代後半:337万円 | ||
30代:268万円 | ||
40代以上:375万円 |
各社の統計データをまとめると、カメラマンの年収は200万円~400万円程度がボリュームゾーンとなるでしょう。
20代など若い年代の平均給料・年収がやや低めとなっているのは、アシスタントや下積みからスタートするケースも多いためだと思われます。
全体として、とび抜けた高収入になる傾向は見られませんが、大手企業に就職した場合、あるいはキャリアを積んだベテランカメラマンのなかには、一般的なサラリーマンの平均年収よりさらに高額な収入を得る人もいるようです。
カメラマンの手取りの平均月収・年収・ボーナスは
各社の統計データを基に算出した場合、カメラマンの平均年収は350万円前後、月額の給料は23~33万円ほど、手取りで18万円~26万円におさまる人が多いと考えられます。
ただし、カメラマンは会社勤めの人もいればフリーランスで活動する人もおり、働き方によって収入にだいぶ違いがあります。
また、キャリアや実力が収入にも反映されやすい職業なので、人によって給料の差が大きく出てきます。
カメラマンの初任給はどれくらい?
新人カメラマンは、基本的にはアシスタントからスタートします。
アシスタント時代の給料はあってないようなものとされ、月給10万円~15万円程度しか得られないこともあります。
ただし、カメラマンの活躍の場はいろいろあり、会社の正社員として就職した場合には、他職種の人と同様に手取りで17万円~20万円程度の初任給を得られることもあるようです。
カメラマンの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
カメラマンの年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります。
10〜99人規模の事業所に勤めるカメラマンの平均年収は421万円、100〜999人規模は501万円、1,000人以上の規模では663万円、10人以上規模の事業所平均は521万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「美術家,写真家,映像撮影者」でイラストレーターなど他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
カメラマンの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
カメラマンの年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の717万円です。
全年代の平均年収は521万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「美術家,写真家,映像撮影者」でイラストレーターなど他職業を含むデータです。
カメラマンの福利厚生の特徴は?
カメラマンの福利厚生は、勤務先によって違いがあります。
新聞社や出版社に勤める場合は社会保険完備、交通費支給、定期昇給、ボーナスの支給などがあり、待遇面では比較的恵まれているようです。
さらに職場によっては私服勤務が認められていたり、提携スポーツジムの割引制度や、書籍購入費などの補助制度、英会話研修などが福利厚生として用意されていることもあります。
一方、小さなスタジオに勤務する場合は、大手のような待遇では働けないことも多くあるといわれますので、事前に情報を入手しておくことをおすすめします。
20代で正社員への就職・転職
カメラマンの給料・年収の特徴
大手企業への就職は狭き門
新聞社や出版社、その他にも撮影仕事のある大手企業に正社員として勤めれば、安定した収入が期待できます。
ただし、企業によっては正社員は即戦力になれる人のみを採用しており、未経験者の場合は全員アルバイトや契約社員からスタートとなる場合もあります。
また、業界全体として正規雇用の求人がさほど多くなく、フリーで働く人が多い職業なので、大手企業への就職は狭き門になると考えておいたほうがよいでしょう。
フリーランスになると収入の幅はさらに大きくなる
フリーランスのカメラマンの収入はピンキリです。
自分で営業活動をせず仕事があまりなければ限りなくゼロに近くなりますし、一方で、一部の有名カメラマンは年収が数千万円以上ともいわれています。
仕事量は季節や年によって変動もあるため、毎月安定した収入を得るためには撮影技術を高めることだけでなく、地道な人脈づくりや営業活動も必要となります。
フリーのカメラマンを目指す人は多いものの、その働き方で長年生計を立てていける人はごくわずかです。
フリーで働く場合、撮影を担当するページやカット数によって報酬(ギャラ)が決まり、雑誌の撮影は1ページあたり1万円から、スタジオ撮影は1カット5千円からが相場のようです。
アシスタント時代は給料が低め
カメラマンのアシスタントの給料は、月給10万円~15万円程度が相場だといわれています。
師匠となるカメラマンによって多少変わりますが、だいたいこの範囲内におさまっている人が多いようです。
カメラマンのアシスタントの仕事は体力も精神力も必要で、その内容だけを考えればとても安く感じるかもしれません。
しかし、あくまでもアシスタントの時期は修業期間となるため、「学びながらお金をもらっている」という覚悟が必要といえるでしょう。
カメラマンの勤務先別の給料・年収
会社勤務の場合
新聞社や出版社に社員として勤める場合は、毎月その企業の給与体系に沿った給料が支払われます。
福利厚生も含め、一般的な多職種のサラリーマンと同じように、勤務先が大手になればなるほど給料や待遇がよく、安定しているとされます。
初任給はさほど高くなくても、経験を積んでいくと年収500万円~800万円程度くらいになる人も多くいます。
写真館・フォトスタジオ勤務の場合
写真館やフォトスタジオ勤務の場合も、各社が定める給料が支払われます。
ただし、大手の新聞社や出版社などよりは給料が低めとなる傾向が見られます。
大手マスコミ各社よりも就職はしやすいものの、あまり経験や実績がない場合には、年収300万円程度にとどまる場合もあるようです。
アシスタントとしての雑務からスタートする場合には、時給制のアルバイトとして働くケースもあります。
20代で正社員への就職・転職
カメラマンが所属する代表的な企業の年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
朝日新聞社 | 1165万円 | 45.8歳 |
日本経済新聞社 | 1220万円 | 44.2歳 |
出典:2022年現在(各社有価証券報告書より)
朝日新聞社の平均年収
朝日新聞社の平均年収は、45.8歳で1165万円となっています。
新聞社の発行部数トップ3に入る大手企業なだけに、一般的な会社員の平均年収よりもだいぶ高収入が望めるといえるでしょう。
ただし、このデータの数値にはカメラマン以外の従業員の給料も含まれていますので、参考程度ととらえてください。
日本経済新聞社の平均年収
日本経済新聞社の平均年収は、平均年齢44.2歳で1220万円となっています。
単純に見れば朝日新聞社を超える数字ですが、こちらもカメラマン以外に記者・校閲・営業など、さまざまな職種の人のデータが含まれています。
いずれにしても、大手新聞社では比較的よい収入が得られると考えられます。
カメラマンの正社員以外の給料・年収
派遣(出張撮影)
派遣のカメラマンの給料は、活動内容に応じて、時給制もしくは1案件ごとの報酬の形で手にします。
時給はスキルや経験に応じて5,000円程度から、高ければ1万円を超えることもあります。
派遣の撮影仕事は現場でいろいろな要求に応えられるようなベテランカメラマンが場合が多いため、比較的高い収入が得られるようです。
ただし、常に安定した仕事量があるわけではなく、地道な営業努力なども求められてきます。
アルバイト
アルバイトのカメラマンの代表的な勤務先は、フォトスタジオやデザイン系の制作会社、広告代理店、結婚式場、テーマパークなどです。
アルバイトの給料は基本的に時給制となり、地域にもよりますが、1,000円程度からのスタートとなる場合が多いようです。
あまり高い収入は望めませんが、先輩カメラマンのアシスタントとして何年も経験を積みながら人脈を作り、そのままフリーランスのカメラマンになるような人もいます。
フリーランス
会社に所属せず、個人事業主として活動をするカメラマンも多くいます。
フリーランスになるための資格はとくにありませんが、個人の名前で仕事をしていかなくてはならないため、未経験者や経験の浅い人が、いきなりフリーランスになるのはかなり難しいことだと考えておいたほうがよいでしょう。
フリーランスのカメラマンは、仕事をいただいたクライアントからギャランティ(報酬)を得ることで生活しています。
収入は変動しやすいですが、信頼され実力が認められると、正社員のカメラマンよりもたくさんの収入を手にすることも可能です。
なかには事務所を立ち上げて、個人、もしくは他のカメラマンと一緒に仕事をする人もいます。
カメラマンが収入を上げるためには?
カメラマンは働き方の選択肢が豊富にあるため、自分次第でいろいろな活動をしていくことができます。
会社に勤めるのであれば、昇進して社内で役職がついたり、マネジメントにも携わったりするようになると、手当が支給されて収入アップが目指せます。
独立して働くのであれば、案件を多く請けるか、実績を積んで単価アップしていくかが、収入アップへの道となるでしょう。
ただし、いずれの場合でもカメラマンには撮影の専門的な知識・技術が求められますので、日々スキルアップする努力が不可欠になってきます。
クライアントから「ぜひ、このカメラマンにお願いしたい」といわれる存在になることが、収入アップにつながっていきます。