【2023年版】全国通訳案内士試験の難易度・合格率

全国通訳案内士の難易度

全国通訳案内士試験は、日本政府観光局(JNTO)が実施する国家試験です。

受験できる言語は、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語の10カ国です。

全国通訳案内士試験の合格率は、年度や言語によっても大きく変わりますが、数ある資格のなかでも難関の部類に入るといってよいでしょう。

なお、改正通訳案内士法の施行により、平成30年度実施試験より試験の名称が「通訳案内士試験」から「全国通訳案内士試験」へと変更になっています。

合格状況

令和4年度の試験結果を見ると、前年度から上昇し、全体の合格率は16.4%となっています。

言語別に見ると、受験者数のなかでもっとも人数が多いのは英語で、全体の半数以上を占めています。次いで中国語、フランス語とつづきます。

全国通訳案内士試験には、合格基準点が設けられています。

令和4年度試験の場合、外国語についての筆記試験は各語学ごとに原則として70点、日本地理と日本歴史は原則として各科目70点を合格基準点として行われます。

また、一般常識・通訳案内の実務は、原則として30点を合格基準点として行われます。(各科目50点満点)

※「通訳案内の実務」については、平成30年度の全国通訳案内士試験で新たに実施された試験科目です。

※合格判定のための基準は年度ごとに変わる可能性があるため、最新の情報をチェックしてください。

勝負は筆記試験

統計を見ると明らかなのですが、全国通訳案内士試験では、筆記試験で約8割もの人が脱落しています。

逆に、次の口述試験では3分の2以上の人が合格する場合が多く、勝負は筆記試験にあるといえます。

とくに多くの人が苦手意識を持つのが、日本語によるマークシート方式のテストです。

外国語の記述試験は、高い語学力が試される試験ですが、もともとその言語が得意な人が多いため、自信も持ちやすいようです。

しかし日本語のほうは、日本の地理・歴史の勉強から長く離れていたという人も多く、しっかりと対策をしておかないと不合格となる可能性があります。

また、新しくスタートした通訳案内の実務についての対策も必要となるでしょう。

口述試験について

筆記試験合格後は、面接での口述試験が行われます。この合格率は高く、ここ数年では約7割の人がパスしています。

もともと日常会話には困らないレベルの人の受験が多いため、問題は語学力より、その内容にあります。

あらゆる質問に対して、完璧な受け答えではなくても、自分なりの意見を表現できることが大切なようです。

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全国通訳案内士の合格率

通訳案内士試験受験者数の推移

通訳案内士の受験者数は、平成28年度をピークに減少しており、令和4年度は3,472人となっています。

通訳案内士試験受験者数_令4

全国通訳案内士試験合格率の推移(合計)

通訳案内士の合格率は下降傾向にあり、令和4年度試験の合格率は16.4%と過去10年で5番目に高い合格率となりました。

通訳案内士試験合格率(合計)_令4

令和4年度 全国通訳案内士試験 言語別受験者数の推移

令和4年度の通訳案内士試験の受験者数は、英語が2,594人と最も多く、次いで中国語の320人、フランス語の162人となっています。最も少ないのは、タイ語の21人です。

通訳案内士試験言語別受験者数_令4

令和4年度 全国通訳案内士試験 言語別合格率

通訳案内士試験の言語別合格率は、ドイツ語が25.0%と最も高くなっています。続いて、韓国語の21.8%、ポルトガル語の18.8%となっています。また、最も低いのはタイ語の0%です。

通訳案内士試験言語別合格率_令4

令和4年度 全国通訳案内士試験合格率(英語)

英語の試験の合格率は近年下降傾向にありましたが、令和4年度は大幅に上昇し17.4%となりました。

通訳案内士試験合格率(英語)_令4

令和5年度 全国通訳案内士試験の概要

試験日 <筆記試験>
令和5年8月20日(日)
<口述試験>
令和5年12月10日(日)
願書受付 令和5年6月1日(木)~同年7月10日(月)
試験地

筆記試験

<日本国内>
札幌市、仙台市、東京近郊、名古屋市、大阪近郊、広島市、福岡市、沖縄県

口述試験

<英語、中国語、韓国語について>
東京近郊、大阪近郊、福岡市
(英語、中国語、韓国語受験者で筆記試験を東京近郊、大阪近郊、福岡市の何れかで受験した者は 当該受験場所と同一の地域で口述試験を受験しなければならない。)
<英語、中国語、韓国語以外の外国語>
東京近郊

受験資格 受験資格の制限はありません。
試験科目

筆記試験<全科目マークシート方式>

午前① 外国語(10か国語から選択)
      英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語

午後② 日本地理
   ③ 日本歴史
   ④ 産業・経済・政治及び文化に関する一般常識
   ⑤ 通訳案内の実務

口述試験

  通訳案内の実務(通訳案内の現場で必要とされるコミュニケーションを図るための実践的な能力について、選択した外国語により判定)
  ※選択外国語は、筆記試験と同一とする

合格基準 1.外国語についての筆記試験は、各語学ごとに、70点を合格基準点とする。
2.日本地理、日本歴史は、原則として各科目70点を合格基準点とする。
3.一般常識・通訳案内の実務は、原則として30点を合格基準点として行う。(各科目50点満点)
※平成18年度より各科目ごとに合格、不合格を決める方式になりました。全ての科目を合格した場合に筆記(第1次)試験合格となります。
合格率 16.4%(令和4年度)
合格発表 <筆記試験合格発表>
令和5年9月29日(金)(予定)
<合格発表>
令和6年2月2日(金)(予定)
受験料 1ヶ国語受験につき、11,700円
詳細情報 日本政府観光局
その他 平成25年度からの「通訳案内士試験ガイドライン」

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全国通訳案内士試験の勉強方法

「外国語」試験の対策

まず最初に受けるのが、1次試験の外国語です。

英語の場合でいうと、英文読解、和文英訳などの一般的な問題のほか、特徴的なのが「日本的事象英文説明問題」です。

たとえば、2009年度では「日本人はなぜ人の血液型を知りたがるのか?」という、おもしろい問題が出ました。

このジャンルに出てくる問題は、日本人なら誰でも答えられるようなものばかりです。

問われるのは、それをどう英語でうまく説明できるかでしょう。

外国語の筆記試験の勉強で大切なのは、自分の知識や考えを、なるべく簡単な単語を使って作文する訓練です。

英文読解などは、英検や大学受験の問題集で十分にカバーできるため、この独特な作文を重点的に練習したいものです。

「日本語」試験の対策

次に受けるのは、日本語によるマークシート方式の「地理」「歴史」「産業、経済、政治及び文化に関する一般常識」「通訳案内の実務」です。

外国語より、こちらのほうを苦手とする人も多いようです。

地理では、通訳案内士に必要とされる「観光」にまつわる問題が多く出題されます。

全国の国立公園や観光地、世界遺産、景勝地などは、完璧に覚えるようにしましょう。

白地図を使って、場所と地名を書き込む方法がおすすめです。

歴史では、これもガイドならではの「文化史」が中心となります。

さらに「外交史」「政治史」もカバーしなくてはいけません。絵や写真の豊富な日本史の本を使って勉強しましょう。

「一般常識」は、書店で売られている一般常識の本を活用するとよいでしょう。

とくに、日本文化や国際問題に関連する箇所は、集中的に覚えておきたいところです。

新たに試験科目となった「通訳案内の実務」

筆記試験のうち、「通訳案内の実務」については、法改正によって平成30年度試験より新たに設置された試験科目です。

この科目では、以下のように、全国通訳案内士が通訳案内を行うにあたって必要となる幅広い知識が問われます。

・関係法令に関する知識
・旅程管理の実務に関する知識
・訪日外国人旅行者の国別・文化別の特徴等に関する知識
・災害発生時等における応急的な医療対応や危機管理に関する知識

幅広く出題されますが、いずれも基礎的な内容について問うものとなっています。

また、マークシート方式となっていることから、参考書などを活用して事前に対策しておけばさほど心配することはないでしょう。