養護教諭と看護師の違い・看護師から養護教諭になれる?
養護教諭と看護師の仕事内容の違い
養護教諭と看護師の違いとして最も大きいといえるのが、養護教諭は教員、つまり「学校の先生」の一種であることです。
学校内で児童・生徒のケガ・病気等の応急処置を行ったり、健康診断や健康観察などを行い、子どもたちの心身の健康をサポートします。
養護教諭は、一般の教諭とは異なり授業を行う機会はそこまで多いわけではありませんが、ときに健康や性などに関する保健指導に携わることがあります。
保健の専門的な知識を生かして子どもたちの健全な成長を手助けするのが、養護教諭の重要な役割のひとつです。
一方、看護師は病院をはじめとする医療機関、また保健や福祉などの場において、医師の指示の下で患者の診療の補助や患者の日常生活の援助を行う仕事です。
養護教諭とは異なり「教員」ではありませんので、教員免許状を持たない代わりに、看護師の資格が必要となります。
また、看護師は乳幼児から高齢者まで、幅広い年代の人の診察補助や援助に関わっていくことが特徴です。
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養護教諭と看護師のなる方法・資格の違い
養護教諭になるには養護教諭養成課程のある学校で、看護師になるには看護師養成課程のある学校で、学ぶ必要があります。
養護教諭養成課程は、全国の大学や短大の教育学部等に置かれるケースが多くなっており、所定のカリキュラムを修了すれば免許状が得られます。
ただし、他の教員と同じように、免許状を持っているだけでは養護教諭として働くことはできず、養護教諭の免許状を取得した後、学校の教員採用試験に合格して採用される必要があります。
公立の学校であれば各自治体ごとに実施される教員採用試験を、また私立の学校では学校ごとの採用試験を受けることになります。
一方、看護師になるには、看護師養成課程のある4年制の大学か、3年制の専門学校で学ぶ必要があります。
カリキュラムを修了して看護師国家試験を受け、合格することで看護師の資格が得られます。
養護教諭と看護師の資格・必要なスキルの違い
養護教諭は、国語や数学などの教科指導を行なう先生と同じく、養護教諭の「免許状」を取得する必要があります。
教員免許状には、「専修免許状」(大学院を修了)、「1種免許状」(大学を卒業)、「2種免許状」(短期大学を卒業)の3種類があり、それぞれ修得する科目内容や科目数が異なります。
取得した免許状によって職務に違いが出るわけではありませんが、給料面などで差がつく場合があります。
養護教諭を目指す人は、養成課程の中で養護学・教育保健・小児保健・学校看護学・解剖学・衛生学・学校精神保健などについて、幅広く学びながら養護に関する専門知識を深めると同時に、教育者としてのあり方も学びます。
一方、看護師として働くには、国家資格である看護師免許の取得が必要です。
高校卒業後、看護師養成課程のある大学や専門学校で3~4年間学んだのち、看護師国家試験に合格することで資格を取得できます。
看護養成課程の中では、解剖生理学・病理学・栄養学・薬理学・公衆衛生学・看護学などについて学び、また実習を通して、包帯の巻き方や注射の仕方などといった技術も身につけていきます。
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養護教諭と看護師の学校・学費の違い
養護教諭養成課程のある学校としては、一種免許状が取得できる4年制大学の数が最も多く、全国で100校以上あります。
教育学部・保健学部・福祉学部・体育学部など、大学によって養成課程が設置されている学部名は異なりますが、文部科学省が公表している「養護教諭の免許資格を取得することのできる大学」のページを参照するとわかりやすいでしょう。
養護教諭養成課程のある4年制大学には国立・公立・私立があり、学費は大学の種別や大学ごとに大きく変わってきます。
初年度納入金だけ見ても、国立であれば100万円以下となるようなところ、私立だと学校によっては200万円を超えてきます。
一方、看護師養成課程のある学校は、全国にたくさん存在します。
しかし、地域によって差があるのが実情であり、東京などの都市部と地方では、選べる学校の選択肢にだいぶ違いが出てきやすいです。
学費は学校によって大きく異なり、一般に私立の看護大学は高く、公立の看護大学や専門学校は安い傾向があります。
年間10万円程度の学費の看護学校もあれば、年間100万円以上する看護学校もありますから、いろいろと見比べてみるのがよいでしょう。
看護師養成課程は、看護大学だけでなく専門学校や短大にもたくさんあるので、学校の立地や校風、カリキュラム、学費などを総合的に比較して自分に合うところを選ぶ人が多いです。
養護教諭と看護師の給料・待遇の違い
養護教諭の給料は、公立学校に勤務する場合、地方公務員として各自治体の給与体系に沿った給料が支払われます。
都道府県によって差がありますが、だいたい初任給は20万円前後で、短大卒(2種免許状)よりも大卒(1種免許状)のほうが給料は高く設定されています。
扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)等が支給もあります。
また、勤務期間が長くなり、責任ある職務を任されるようになってくると給料も少しずつアップします。
私立学校の給料・待遇は各学校によってまちまちで、なかには公立以上の待遇で働ける学校もありますが、期限付きの雇用であったり、非常勤からのスタートということもあります。
看護師の給料は、勤務先の医療施設などによって異なります。
平均年収は400万円~600万円ほどとされており、職場によっては夜勤が入るため、夜勤手当もつきます。
看護師は、同世代の平均年収よりたくさんの収入が得られる場合が多いとされますが、人の命を預かる責任の重さと、不規則な生活になりやすい勤務サイクルなので、決して楽な仕事とはいえません。
養護教諭と看護師はどっちがおすすめ?
養護教諭と看護師は、仕事内容や役割に違いがあるので、明確にどっちがおすすめとは言い難いところがあります。
ただし養護教諭の場合、勤務先は基本的に学校に限定されてくることから、教育現場のすぐそばでたくさんの子どもたちと接したい人は、養護教諭を目指すほうがイキイキと働けるのではないでしょうか。
一方、看護師は病院を中心に、さまざまな場所で活躍することができます。
ひとくちに病院といっても、入院施設を備えた大きな総合病院から、地域に根差した街の診療所やクリニックなど規模も種類もさまざまですし、担当する診療科によって、また違った仕事のやりがいも生まれてくるでしょう。
医療人の一員として、人の健康を守ることに関わっていきたい人には、看護師のほうがおすすめといえそうです。
なお、最近では「医療の専門性」という観点から、看護師の資格を持った養護教諭のニーズが高まっており、実際に養護教諭の採用試験において、看護師資格所持者が優遇される場合があります。
とくに私立学校では、看護師の有資格者が優先的に養護教諭として採用されるケースがあるため、就職先の選択肢を広げておきたい人は、まず看護師資格を取ってから養護教諭への転身を目指すのもひとつの方法です。
看護師から養護教諭になれる?
指定教員養成機関で学ぶ
人気の高い看護師の仕事ですが、勤務先によっては夜勤が続いたり、多忙を極めて体調を崩してしまったりと、労働条件としては厳しいケースも多々あります。
とくに近い将来、結婚・育児を考える女性にとっては、残業はあるにしても勤務終了時刻が決まっていて、看護師をしている間に身につけた知識や経験も生かせる第二の職として養護教諭を考える人は少なくありません。
そのような場合、文部科学大臣指定の「指定教員養成機関」にて決められた単位を修得し、卒業することで養護教諭の免許状取得を目指すのが一般的です。
看護師の資格を持っている場合、養護教諭の免許状は「養護教諭特別別科」といわれる課程において、教育学や心理学、学校保健関連の単位を修得することによって取得できます。
ここで取得できるのは養護教諭1種免許状です。
ただし、特別別科がある学校は全国的に見ても数が少なく、募集定員もさほど多くないため、やや狭き門となっています。
なお、保健師の資格を持っている人は、文部科学大臣指定の養護教諭養成機関に半年以上在籍して所定の単位を修得することで養護教諭の免許状が得られます。
あらためて教育の勉強をする人も
看護師としての経験があっても、あらためて大学の教育学部等に入り直し、養護教諭になるための勉強を一からしていく人もいます。
養護教諭は看護師と違い「教育」に深く関わるため、教育者としての知識もしっかりと身につける必要があります。
4年制大学の養護教諭養成課程に通えば養護教諭の一種免許状が取得でき、さらに専門性を高めていきたいようであれば大学院に行って専修免許状を取得することも可能です。
また、短大で養護教諭の勉強をすれば2種免許状の取得が可能です。
この方法では、養護教員として現場に出るまでの期間は要しますが、教育者として必要な地に足の着いた学びをして専門知識を深めていくことができます。
看護師から養護教諭になるための道は一つではありませんので、自分のキャリアプランに沿うものを選んでいくことが大事です。