鳶職人を目指す人に必要な資格は?
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鳶(とび)職人を目指す人に必要な資格は?
鳶職人を目指すにあたって、事前に取得しなければならない資格はありません。
建設会社などに就職する際も、学歴や資格、経験などが問われることはほとんどなく、誰でも鳶職人になるチャンスがあるでしょう。
一方、鳶職人の仕事は危険度が高く、すぐれた技術を求められるため、鳶職人に就職したあと目指すべき資格があります。
法律の定めにより、現場ごとに安全を管理する有資格者を一定数以上置かなければなりません。
職長などの責任者に昇格する際には、「作業主任者」と呼ばれる資格の取得が条件となります。
作業主任者は、足場組みや鉄骨組立て、橋の架設(かせつ)、地山(じやま)の掘削(くっさく)、解体などについての資格です。
また、フォークリフトや高所作業車、玉掛(たまがけ)など、作業そのものに免許が必要になります。
足場、鉄骨、玉掛の3つは、鳶職人にとっての「三種の神器」と呼ばれる資格です。
以下では、鳶職人が目指すべき資格とその難易度について、代表的なものをいくつかご紹介します。
足場の組立て等作業主任者
足場の組立て等作業主任者は、厚生労働省が認定する国家資格です。
足場の組立て等作業主任者には、落下事故などの労働災害の防止が求められます。
吊り足場や張出し足場、または高さが5メートル以上の足場を組み立てる際、または解体する際には、有資格者を1名以上配置しなければなりません。
ほぼすべての足場工事の現場で、この作業主任者資格が必要になるでしょう。
資格を取るには、都道府県ごとに実施される技能講習を受けて修了することが必要ですが、受講するには学歴に応じた実務経験を積まなければなりません。
必要な実務年数は、大学や高専、高校で建築や土木について学んだ人については2年、それ以外の人については3年です。
なお、講習の最後には修了試験が課されますが、きちんと講師の話を聞いていれば合格できるレベルであり、受講生の合格率はほぼ100%です。
受講資格を得るまでが、実質的なハードルといえるでしょう。
参考:一般社団法人 労働技能講習協会 足場の組立て等作業主任者
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者
建築物等の鉄骨の組立等作業主任者は、厚生労働省による作業主任者国家資格のうちのひとつです。
高さが5メートル以上の鉄骨建築物組立てや解体の際には、有資格者を配置しなければならないと法律で定められています。
受講資格も足場の作業主任者とほぼ同じで、学校で建築や土木を学んだ人は2年、それ以外の人は3年の実務経験が求められます。
難易度も足場資格と同レベルですので、足場鳶と鉄骨鳶、どちらのキャリアを目指すかによって、資格取得の優先順位は変わってくるでしょう。
参考:建設業労働災害防止協会 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者
玉掛作業者
玉掛とは、クレーンで鉄骨などの重量物を吊り上げる際に、途中で落下したりしないよう、ワイヤーロープで荷を固定する作業のことです。
玉掛と、ロープをほどく玉外しは、非常に危険度が高く、専門的な技術が求められるため、運転などと同じく免許制となっています。
資格を取得するには、上記の作業主任者と同じく講習を修了することが条件となっていますが、実務経験などの要件はなく、18歳以上であれば誰でも受講することが可能です。
このため、三種の神器の資格のなかでは、1番初めに取得を目指すことになるでしょう。
修了試験では、学科試験に加えて、実際にクレーンを用いた実技試験も実施されますが、受講生合格率は95%ほどであり、難易度はやさしめです。
とび技能士
とび技能士は、厚生労働省が認定する技能検定制度の一種です。
取得すると担当できる仕事が増えるというタイプの資格ではありません。
鳶職人としての腕前がどのレベルにあるかを評価するための資格です。
とび技能士資格を得られれば、国に認められた鳶職人であることの証明となります。
資格には、難易度の異なる1級から3級までがあり、いずれも学科試験と実地作業試験の双方をパスすることで、資格が認定されます。
入門編となる3級に受験資格はありませんが、2級以上を受けるには、学歴に応じた数年の実務経験か、下の級の合格、あるいはその両方が必要になります。
それぞれの合格率は公表されていませんので、一概に難易度を述べることは困難ですが、きちんと日々の仕事をこなし、スキルと知識を磨かなけば合格できません。
1級まで取得できれば、名実ともに一流の鳶職人を名乗ることができます。
独立開業して親方になったり、職業訓練校で指導員として後輩の育成にあたるという道も開けます。