鉄道会社の年収はいくら? 給料や初任給についてくわしく解説
鉄道会社社員の平均年収・給料の統計データ
鉄道業界は安定した働き方ができ、社会貢献度の高さや多様なビジネスにチャレンジできる環境があるため就職先として人気があります。
働きがいがある一方、給与面の充実度はどうでしょうか。
高齢化社会が進むにつれ利用者が減少傾向になるという面もありますが、鉄道サービス向上による増収やインバウンド需要、関連事業の展開による収益アップなど各社さまざまな対策に乗り出しています。
まだまだ収入面での魅力も落ちていないと推測できますが、ここでは実際のデータを参照に業界の平均年収や給与について紹介していきます。
鉄道会社社員の平均年収・月収・ボーナス
ここでは国土交通省の平成29年版鉄道統計年報をもとに平均年収や月収、ボーナスを推測していきます。
鉄道統計年報には1カ月平均給与の基準賃金、基準外賃金、臨時給与が記載されています。
年収は「基準賃金、基準外賃金、臨時給与の合計×12」とし、ボーナスは「臨時給与×12」としてJR7社と大手私鉄、そして公営鉄道のデータを見ていきます。
<JR7社の平均>
- 平均年収:約670万円
- 平均月収:約32万円
- ボーナス平均:約188万円
<大手私鉄の平均>
- 平均年収:約690万円
- 平均月収:約33万円
- ボーナス平均:約170万円
<公営鉄道の平均>
- 平均年収:約760万円
- 平均月収:約37万円
- ボーナス平均:約188万円
まず、JR7社と大手私鉄の年収平均は約20万円ほど私鉄の方が高めですがほぼ同額といえます。
対して公営鉄道ですが、平均年収を比較してみると約80万円高くなっています。
ボーナス平均はほぼ同額ですので、月収水準が高めになっているのが分かります。
参考:国土交通省 鉄道統計年報[平成29年度] (18)職員数及び年間給与額表
鉄道会社社員の初任給はどれくらい?
鉄道会社社員の初任給は、JRか大手か公営かなど会社によって異なりますし、職種や学歴によっても変わってきます。
以下にJRと大手私鉄、公営鉄道から数社の初任給例を紹介します。
なお、職種名と学歴名称は各社の募集要項の記載に準じているためバラつきがあります。
東日本旅客鉄道(JR東日本)
<総合職>
- 修士了/245,295円
- 大学卒/225,055円
- 高専卒/207,575円
※2019年度実績・東京23区内勤務の場合
<エリア職>
- 修士了/221,260円
- 大学卒/213,210円
- 短期大学または専修学校(修業年限2年以上の専門課程の場合)および高等専門学校卒/205,275円
※2019年度実績・東京23区内勤務の場合
西日本旅客鉄道(JR西日本)
<総合職>
- 大学院卒/226,798円
- 大学卒/207,306円
- 高等専門学校卒/186,604円
※2019年度 京阪神地区実績
<プロフェッショナル職>
- 大学院卒/191,972円
- 大学卒、専門学校卒(高度専門士)/187,932円
- 専門学校卒(専門士)、高等専門学校卒、短期大学卒/173,602円
※2019年度 京阪神地区実績
小田急電鉄
<総合職>
- 院卒/226,000円
- 四大卒/215,000円
<エキスパート職>
- 院卒/202,400円
- 四大卒/193,200円
- 短大・専門卒・高専卒/187,200円
- 高校卒/178,100円
近畿日本鉄道
<鉄道職(運輸・技術共通)>
- 院卒/205,000円
- 大卒・高専(専攻科)卒/199,000円
- 高専(本科)卒・短大卒/186,000円
※2020年度実績
東京地下鉄(東京メトロ)
<総合職>
- 修士/219,200円
- 大卒/216,000円
※2019年4月入社初任給実績
<エキスパート職>
- 院卒/191,200円以上
- 大卒/188,000円以上
- 短大卒・専門卒・高専卒/183,000円以上
大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)
<総合職>
- 大学院卒/232,600円
- 大学卒・高専(専攻科)/214,300円
※2020年4月実績
■エキスパート職
<運輸系専門職>
- 大学院卒・大学卒・高専卒(専攻科)・専門卒(高度専門士)/189,800円
- 短大卒・高専卒(本科)・専門卒(専門士)/178,400円
- 高校卒/171,400円
<技術系専門職>
- 大学院卒・大学卒・高専卒(本科・専攻科)・専門卒(高度専門士)/189,800円
- 短大卒・専門卒(専門士)/178,400円
- 高校卒/171,400円
鉄道会社の福利厚生の特徴は?
企業として安定している分、福利厚生も充実している業界といえます。
雇用保険、厚生年金保険、健康保険、労災保険といった各種保険の完備はいうまでもありません。
生活に関するサポートでいうと、寮や社宅の完備、住宅手当といったものから、住宅ローンに対する補助(条件と限度額あり)までする会社もあります。
仕事と育児の両立支援制度の充実やテーマパークやスポーツクラブ、自己啓発など多様なシーンで割引などの補助が適用されるサービス利用、職場レクリエーションの費用補助などもあります。
当然ながらJR各社をはじめ、大手になればなるほど充実度は増していきます。
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鉄道会社社員の給与・年収の特徴
鉄道会社の給与・年収は、勤続年数に加え、役職や階級が上がれば基本的に給与もアップする仕組みになっているようです。
鉄道会社の給料は職種による給与水準に違いが出るのも特徴です。
従業員1000人以上の企業規模の鉄道運行業務において、一番年収が高いのは電車運転士で約660万という調査結果が出ています。
次いで高いのは電車車掌の約578万円で、旅客掛(駅員など)は約518万円という結果になっています。
また、初任給を見れば分かる通り、エキスパート職(いわゆる技術系)よりも総合職の方が給与水準が高いのも特徴でしょう。
鉄道会社社員が所属する代表的な企業の年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
東日本旅客鉄道(JR東日本) | 約719万円 | 39.4歳 |
東海旅客鉄道(JR東海) | 約736万円 | 36.7歳 |
阪急阪神ホールディングス(阪急電鉄) | 約877万円 | 41.3歳 |
出典:2020年現在(各社有価証券報告書より)
東日本旅客鉄道(JR東日本)
東日本旅客鉄道(JR東日本)の平均年収は約719万円です。
鉄道業界最大手としても有名で、首都圏から本州最北の青森まで東日本全域が地盤です。
不動産賃貸や駅ナカ物販事業も成長を遂げています。
東海旅客鉄道(JR東海)
東海旅客鉄道(JR東海)の平均年収は約736万円で、JRグループの中で最も高い年収です。
在来線12路線保有しているほか、東海道新幹線は収益の約7割を誇っています。
流通や不動産事業も積極的に展開しています。
阪急阪神ホールディングス(阪急電鉄)
阪急阪神ホールディングス(阪急電鉄)の平均年収は約879万円で、JR、私鉄、公営鉄道すべての鉄道会社の中で最も高いです。
鉄道を中心にしつつ、不動産やホテルなど多角展開が特長で、梅田エリアの再開発にも力を入れています。
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鉄道会社社員が年収を上げるためには?
鉄道会社の社員に限りませんが、経験を積み、業務を広げるしか年収を上げる方法はありません。
鉄道運行業務を例にすると、駅業務からはじまり、車掌業務、運転士へとキャリアを積み、指令として全体を見る職務につきます。
その後は部門の統括責任者として管理職として活躍するといったキャリアパスが考えられます。
上記はあくまでも一例で、職種の多い鉄道会社にはあらゆるキャリアパスが存在しています。
当然、運転士になるには資格取得が大前提ですし、そのほかの業務についてもあらゆる前提条件があるのは間違いないでしょう。