ソムリエになるには? 必要な資格は?

ソムリエになるまでの道のり

ワインの本場フランスでは、ソムリエは国家資格です。

つまり、フランスでこの職業に就くことができるのは、日本でいう医師弁護士のように、特定の資格を持っている人に限られます。

しかし、日本でソムリエをめざす場合、かならずしも免許や資格をもっている必要はありません。

たとえ特別な資格を持っていなくても、勤めているレストランなどからソムリエの仕事を任せられた時点で、すでに立派なソムリエといえます。

とはいえ、資格はスキルアピールや自分自身の勉強にもなるため、持っていて損はありません。

ソムリエになる人の多くは、高校を卒業した後に大学や短大、調理師学校などの専門学校に進み、飲食店へ就職して実務経験を積みながら資格取得を目指します。

ソムリエになるまでのルート

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ソムリエの資格・難易度

ここからは、日本国内で取得可能なワインに関する資格を認定団体ごとに紹介します。

いずれも民間団体の認定資格です。

日本ソムリエ協会認定資格

「日本ソムリエ協会(JSA)」が認定する資格です。

一般的にソムリエの資格といって思い浮かぶのがこれでしょう。

合格するとソムリエの象徴ともいえる、金色のブドウ型のバッジがもらえます。

資格の種類として「ソムリエ」、「ソムリエ・エクセレンス」の2種類があります。

このうち、「ソムリエ」の資格試験からチャレンジすることになりますが、受験資格を得るためには飲食サービス業での業務を規定の期間(通算3年以上、協会会員は2年)経験する必要があります。

合格した上でさらに経歴を重ねると(通算10年以上)、「ソムリエ・エクセレンス」を受験できるようになります。

これらの資格は、ソムリエとして飲食店などで勤務したい人を対象としたものですが、JSAでは他にもワインに関する資格として、ソムリエの受験資格に満たない人や一般愛好家向けの「ワインエキスパート」という試験も実施しています。

参考:日本ソムリエ協会

全日本ソムリエ連盟認定資格

「全日本ソムリエ連盟 (ANSA)」 が認定する資格です。

「ソムリエ」、「ワインコーディネーター」の2種類がありますが、これらは決められた講習を受ければ、実務経験は問われません。

資格の認定には、会場で試験対策講座を受けてからすぐに受験できるコース、自宅で学習可能な在宅コース、添削などのサポートが受けられる通信コースのいずれかを受講します。

日本ソムリエ協会主催の「ワインエキスパート」にあたる、ワイン一般愛好家向けの「ワインナビゲーター」という資格もあります。

参考:全日本ソムリエ連盟

ソムリエの試験の難易度・合格率

ソムリエになるための学校・スクール・通信講座の種類・費用

ソムリエになるための学校の種類

ソムリエになるために必ず通わなければいけない学校はなく、実務によって経験を積みながらワインの知識を学んでいく性質が強い職業です。

しかしなかには、将来を見据えて調理系の学校や観光系の専門学校へ進む人もいます。

また、民間のスクールや通信講座のなかにも、ソムリエ資格の試験対策をおこなっているところがあります。

2か月〜1年かけてワインの基礎知識やテイスティングのコメント力などを習得し、ソムリエ資格試験に臨みます。

ソムリエになるための専門学校

調理師専門学校では、ワイン専門の学科はほとんどないものの、いろんな分野の料理を学ぶため、ワインのペアリングに役立ちます。

また、ソムリエの多くはホテル内にあるレストランに勤務しているため、ホテル業やおもてなしについて学べる観光系の学校に進学すると、就職活動だけでなく就職後の業務にも生かせるでしょう。

調理系や観光系の専門学校に通う場合、年間100〜200万円ほどの学費が必要です。

調理系の専門学校

ソムリエを目指して学校へ行こうと考える場合、まず調理系の専門学校という選択肢があります。

ただし、調理系の学校では、調理師やパティシエになりたい人を対象として入学者を募集しているパターンがほとんどです。

ワインに直接関われる学科はほとんどないため、直接的なソムリエの勉強にはならないかもしれません。

しかし、ソムリエの多くが飲食店で働いていることを考えると、将来的には必ず役に立ちます。

ワインだけでなく、お酒とあわせて楽しむ料理やお菓子の知識を得られますし、調理を経験することで、将来一緒に働く調理師やパティシエとのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。

観光系の専門学校

もうひとつの選択肢として、観光系の専門学校があります。

観光系の専門学校へ進む場合は、ホテルやレストランに関する学科を選ぶとよいでしょう。

なぜなら、ソムリエの多くがホテル内にあるレストランに勤務しているからです。

ホテルではなくても、一般的に、高級感のある飲食店での需要が目立つ職業です。

丁寧な言葉づかいや接客の技術、もてなす側の心構えなどを学ぶにも優れた場だといえます。

ソムリエになるための大学

ソムリエになるための学科を設ける大学はありませんが、大卒の学歴を持ってソムリエになりたいのであれば、4年制大学もしくは短大へ進学するのもよいでしょう。

ソムリエはワインを扱う接客業なので、飲食に関する知識を学べる調理科や食物科、栄養学科、おもてなしを学べる観光学科や国際関係学などに進むのがおすすめです。

大学・短大には幅広い学部に所属する幅広い学生が通っているため、サークルや学園祭などに参加して交友関係を広げることができます。

ソムリエは、老若難所を問わずさまざまなバックグラウンドを持つお客さまと接する職業なので、学生時代に見識を広げておくことも大切です。

一方、ソムリエは実務経験が重視される傾向にあるため、高卒や専門学校卒の人よりも現場に出るのが遅くなる点にデメリットを感じる人もいます。

ソムリエになるためのスクール

ソムリエの専門学校はほとんどありませんが、ソムリエ試験の合格を目指すための民間スクールはたくさんあります。

独学でも不可能ではありませんが、効率よく資格を取るには有効な選択肢です。

ただし、ソムリエとして働くうえで資格が絶対に必要というわけではありません。

また、日本ソムリエ協会が実施する「ソムリエ呼称資格認定試験」のように、一定の就業経験がないと挑戦できない資格もあります。

今のタイミングでワインスクールに通うのがベストな選択かどうかは、しっかりと考えたほうがよいでしょう。

そのうえで必要だと思えば、今では全国にワインスクールがあるため、講座を受講するとよいでしょう。

ワインスクールに通う場合の受講費は、5〜15万円ほどが相場となっています。

ソムリエになるための通信講座

ワインの知識を得るには、通信講座を利用する方法もあります。

スクールのように決まった時間に通う必要がなく、かといって独学のように教材探しから始めなくてもよいため、忙しい社会人には人気のある方法です。

ソムリエ資格取得を目指せる通信講座は、民間のワインスクールが開いているパターンが多く、5〜15万円ほどで受講することができます。

また、ソムリエ呼称資格認定試験を実施する日本ソムリエ協会が委託する唯一の通信講座として、産業能率大学の「ワイン資格受験コース」があります。

このワイン資格受験コースは、第一次試験の合格に必要な最低限の知識を効率よく学べるのが特徴で、受講費も33,000円とリーズナブルです。

ソムリエの学校選びのポイントは?

ソムリエを目指すための学校にはさまざまな種類がありますが、もともと実務経験が重視される職業なので、学歴はほとんど問われません。

そのため、どの学校を選べば有利かという視点で見るのではなく、ソムリエに必須となるワインの知識と接客スキルを学ぶためには「どの方法が自分に合っているか」を考えるのが大切です。

一般教養を学びながら学生生活を楽しみたい人であれば大学・短大に進むのがおすすめですし、ソムリエの業務に関連するスキルを専門的に学びたいなら専門学校を、実務経験を積みながら空いた時間に学習したいならスクール・通信講座を選ぶのがよいでしょう。

どの種類の学校にもメリット・デメリットがあるため、自分がどんなルートでソムリエになりたいか、進学前に考えてみてください。

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ソムリエに向いている人

ワインが好きな人

ソムリエはホテルやレストランに来店されたお客さまにワインを提供する仕事なので、ワインが好きでなければ務まらないでしょう。

ソムリエの資格試験にテイスティングが課されているように、ワインを実際に口にすることでぶどうの品種や産地を学ぶことになります。

また、幅広く奥深いワインの知識が必要となるため、ただ飲むのが好きなだけではなく、ワインに強い関心をもち、探究心がある人が向いているといえます。

人を喜ばせるのが好きな人

ソムリエはワインの知識を持った専門職である一方で、お客さまと関わる接客業でもあります。

ワインの知識をたくさんもっているだけではソムリエとは呼べず、ワインを通してお客さまに喜んでもらわなければいけません。

そのため、人と接するのが好きで、おもてなしの心を持っている人はソムリエの適性があるといえます。

ソムリエに向いている人・適性・必要なスキル

ソムリエのキャリアプラン・キャリアパス

多くのソムリエは、ホテル内のレストランやバーなど一般的に高級とされる飲食店で働いています。

なぜなら、小さなレストランでは、シェフやウエイターが幅広い業務をこなすため、ソムリエ専任の仕事が発生しづらいからです。

資格を取得してもソムリエとして就職できるとは限りません。

経験が必要な仕事のため、未経験の状態でソムリエ専任として就職するのは困難です。

そのため、まずは飲食店に接客係として就職する人も多いです。

働くなかでソムリエの上級資格の取得を目指すこともできますし、ソムリエ業務もこなせるシェフやウェイターになる、という選択肢もあります。

実務経験を積んでソムリエになった後のキャリアパスとしては、よりグレードの高いレストランやホテルへ転職する人もいれば、飲食店や個人向けに最適なワインを提供するワインコンサルタント、ワイン評論家、セミナー講師などになる人もいます。

飲食店に勤務する以外にも活躍の場は広がっていくといえるでしょう。

ソムリエを目指せる年齢は?

ソムリエはワインを扱う仕事なので20歳以上である必要がありますが、それ以外の制限はとくにありません。

ソムリエ資格試験を実施している日本ソムリエ協会、全日本ソムリエ連盟いずれの場合も、20歳以上であれば年齢に関係なく受験可能です。

いくつになってもソムリエを目指すことはできますが、基本的に体力仕事なので、まったくの未経験から実務に入るのであれば、できるだけ若いほうがいいかもしれません。

とはいえ、30代や40代であっても意欲さえあれば不可能ではありません。

飲食業で働いたことのある人や、接客の経験がある人であれば、ソムリエとして採用される可能性も高くなります。

女性のソムリエ

女性の場合はソムリエではなく、「ソムリエール」という呼称になります。

実際にソムリエールという単語が存在しているように、女性にも十分務まる職業です。

ソムリエ、ソムリエールの一番の仕事は、お客さんに最高の食事シーンを提供することです。

お客さまとの自然な会話のなかから最適なワインを選び、ワインをよりおいしく味わえる料理をすすめ、快適な空間を作り出す役割があります。

一般的におもてなしや気づかいが得意とされる女性に向いている職種ともいえるはずです。

女性のソムリエ(ソムリエール)のキャリアパス・結婚後の生活