女性のソムリエ(ソムリエール)のキャリアパス・結婚後の生活
女性のソムリエの現状
ひと昔前までは、ソムリエの仕事は男性に限るとするレストランもありました。
女性は男性より体力面で劣ることが多いため、重たいワインの瓶を管理するのが難しいとされていたからです。
しかし、現在ではそのような制約はほとんど見られず、ソムリエとして活躍する女性はたくさんいます。
女性のソムリエ(sommelier)は、正確には「ソムリエール(sommelière)」と呼ばれます。
フランスでは男性と女性でソムリエ、ソムリエールと呼び分けますが、日本では男女を問わずソムリエという呼称が使われるのが一般的です。
ソムリエを目指す女性は多く、1982年〜2014年までのソムリエ資格累計合格者の男女比では、男性54%、女性47%と女性がやや少ないもののほぼ同数となっています。
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女性のソムリエの強み・弱み
ソムリエという仕事は、ワインに関連した知識や技術を身につける必要がありますが、それ以前に大切なのが、お客さまをもてなすためのサービスに関する知識や技術を身につけることです。
こうした点においてソムリエは、細やかな心配り、気配りを生かすことができる仕事だといえます。
女性は男性よりも気遣いができるといわれることも多く、ソムリエとして仕事をする際の強みとなるでしょう。
どちらかというと男性の仕事というイメージも強いソムリエですが、女性の感性を生かして活躍することができる仕事でもあります。
一方で、体力を使うソムリエの仕事をつらいと感じる女性も少なくありません。
ソムリエの仕事は一日中立ちっぱなしになることも多く、在庫管理や発注業務では重たいワインの瓶を運ぶこともあります。
女性はどうしても体力面で男性に劣ってしまうため、ソムリエの業務をこなす上で弱みとなるかもしれません。
ソムリエの結婚後の働き方・雇用形態
ソムリエとして働く女性のなかには、結婚後もそのまま働き続ける人もいれば、雇用形態を変える人、退職する人もいます。
ソムリエを含む飲食業界は、拘束時間が長く、さらに立ちっぱなしで勤務するため、体力的にきつい仕事だといわれます。
夫婦間で家事を担うのがおもに女性側であれば、結婚後も社員として働き続けることに少し難しさを感じるかもしれません。
専任のソムリエではなく、アルバイト・パートの雇用をおこなっているレストランなどへ転職し、雇用形態をパート・アルバイトに変更して柔軟に働く女性もいます。
アルバイト・パートでの求人には、ホールスタッフと兼任で採用しているところや、ソムリエ資格取得者を優遇しているところもあります。
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ソムリエは子育てしながら働ける?
ソムリエは主にホテルやレストランのディナータイムに勤務します。
毎日23時以降まで営業しているお店がほとんどなので、帰宅が深夜になるケースも少なくありません。
ランチ営業のない店舗であれば午前中に余裕ができるため、パートナーと協力しながら子育てすることも可能ですが、早朝から深夜までの勤務が続くようなお店の場合、パートナーに任せることになるかもしれません。
営業時間が短い店舗へ移ったり、より柔軟に働けるよう雇用形態を変更したりすれば、ソムリエとして働きながらでも主体的に子育てができるでしょう。
フルタイムで勤務しながら子育てをするのも不可能ではありませんが、負担が大きくなるため、パートナーと二人体制で子育てができなければ難しいといえます。
ソムリエは女性が一生働ける仕事?
女性の場合、ソムリエの仕事に限らず結婚や出産によって職を辞さなくてはならない人もいます。
ソムリエの場合、メインの勤務時間帯は夜となることがほとんどです。
勤務時間の都合上、家事や育児との両立を考えると仕事を続けることが難しくなるケースもあります。
とはいえ、職場によっては産休、育休制度が整っているところもありますし、何といってもソムリエの資格は一生ものなので、一度職を離れたとしてもまたソムリエールとして再就職することも可能です。
また、ソムリエの勤務先はホテルやレストランといった現場以外にもあります。
結婚や出産で一度退職し、子育てを終えて再就職したい場合には、ワインスクールの講師やワインを取り扱う酒販売店のスタッフとして働くという選択肢もあります。
ソムリエールの第一人者
女性がソムリエになるというのは、昔はなかなか厳しかったといわれています。
そんな時代にソムリエールの道を切り開いたといわれているのが、故・野田宏子氏です。
ソムリエールを目指す女性なら知っておきたい女性の一人です。
同氏は、1985年に女性では初となるソムリエの資格を取得しました。
これまでに数々の有名ホテルでソムリエとして働いた経験を持っています。
その後、2000年にはワインの輸入販売会社を設立、さらに2004年にはワインブティック「ヴィナリス」を東京・銀座にオープンしています。
2013年に惜しまれながらもその生涯を終えた野田氏ですが、ソムリエールの第一人者としての苦労はたくさんあったといいます。
ただ、「それ以上に自分が身につけてきた知識や技術によってお客さまを喜ばせることができた時の喜びは大きい」と同氏は語っています。