測量士になるには? 資格取得までのルートや受験資格について解説

測量士は国家資格が定められている職業であり、測量士として働きたい人は、まず国家資格を取ることを目指す必要があります。

資格の取得ルートは複数あるため、自分の理想の進学先や状況などに応じて、どんな道のりを進むか決めていくことが必要です。

この記事では、測量士になるためのルートや、測量士のキャリアパスなどについて解説します。

測量士になるまでの道のり

測量士になるには、まず測量士の国家資格を得ることが必要ですが、その取得方法はおおまかに分けて2種類あります。

  1. 測量士国家試験を受ける方法
  2. 学歴や職歴などの指定された条件をクリアする方法

1の方法については、測量士国家試験には受験資格がないため、誰でもすぐ試験を受けることが可能で、合格すれば資格が得られます。

2の方法については、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 文部科学大臣の認定大学で測量科目を修めて卒業し、1年間の実務経験を積む
  • 文部科学大臣の認定短大・高専で測量科目を修めて卒業し、3年間の実務経験を積む
  • 国土交通大臣の登録を受けた専門学校で1年以上専門科目を履修し、2年間の実務経験を積む
  • 測量士補の資格取得後、国土交通大臣の登録を受けた養成施設で専門科目を履修する

これらいずれかの方法で資格を取得したあと、国土地理院に資格を登録すると、測量士としてのキャリアをスタートさせられます。

国家試験ルートのほうが道のりはシンプルですが、必ず資格を取れるという保証はありません。

一方、学校に通うルートはいくつもの条件があって複雑ですが、資格取得は確実です。

どちらも一長一短があるため、勉強の得意不得意や経済的事情、年齢など自分の状況に適したやり方を賢く選択していくとよいでしょう。

測量士になるまでのルート

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測量士の資格・難易度

測量士試験では、測量法や国際条約、多角測量、水準測量、地形測量といった各種測量技術、地図の編集、地理情報システムなど、測量に関する幅広い分野の知識が問われます。

また、知識問題に加えて、三角関数や基線解析といった高校数学レベルの計算問題や、測量の作業工程に関する記述問題なども出題されます。

合格率は例年10%程度しかない難関試験のため、学校に通ったり、通信講座を利用したりして、しっかりと対策する必要があります。

ただし、測量士は難関国家資格であるにも関わらず、上述したように無試験で資格を取得できる方法もある点が大きな特徴です。

資格を得る方法が複数あることを踏まえると、測量士の資格取得難易度はそこまで高くないといえるでしょう。

測量士試験の難易度・合格率

測量士になるための学校の種類

測量士を目指せる学校としては、大学や短大なら工学部建築学科や土木工学など、専門学校なら建築系や工学系学校の、土木工学科や設計デザイン科などが対象となります。

指定された教育機関での学歴があれば、実務経験を積むだけで測量士資格が得られるため、早くから測量士を目指しているならば、測量科目を履修できる学校に進学することをおすすめします。

また、専門学校のなかには、昼間コースに加えて夜間コースを併設しているところもあり、社会人として働きながら学習することも可能です。

さらに、仕事の都合や学費の問題などで、どうしても通学が難しいという人は、通信講座を受講して自宅で学習し、国家試験合格を目指す道もあります。

測量士試験のための学校と学費(大学、専門学校・通信講座)

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測量士に向いている人

測量士は、ミリ単位の正確さが求められる測量作業を、測定機器や場所などを変えながら、日に何度も何度も、地道に繰り返さなければなりません。

さらに、そうやって収集したデータを事務所に持ち帰ったあとも、バグをひとつずつ発見しては修正するという根気の要する作業を長時間こなすことが求められます。

こうした業務の性質上、測量士にはコツコツとした地味な仕事でもいとわない、辛抱強く真面目な性格の人が向いています。

また、近年の測量士は、最先端機器を使いこなす技術職としての側面が非常に強くなっているため、機械いじりが好きな人や機械操作が得意という人も、測量士の適性があるでしょう。

測量士に向いている人・適性・必要なスキル

測量士のキャリアプラン・キャリアパス

測量士資格を得るには、国家試験に合格したのでない限り、学歴に応じた実務経験が必要になります。

このため、測量士のキャリアパスとしては、まずは無資格の状態で、あるいは下位資格である測量士補として、測量事務所などに就職するケースが一般的です。

先輩や上司の測量補助をしながら、測量手順などの実務を学び、数年間ほどのキャリアを積んで資格要件を満たすと、やがて一人前の測量士として、現場を指揮する立場に昇格します。

その後は、同じ組織に勤め続ける人もいれば、より高待遇が期待できる建設業界の企業に転職する人、なかには土地家屋調査士などの資格を取得して独立・開業する人もいます。

ただ、どんなキャリアを歩むとしても、測量技術はすさまじい勢いで日々進化しているため、測量士として働き続ける限り、自身の知識やスキルを更新する継続的な努力は不可欠といえるでしょう。

測量士を目指せる年齢は?

測量士になるルートは複数ありますが、仮に国家試験合格を目指す場合、試験に年齢制限は存在しないため、何歳になっても測量士になることは可能です。

実際に、30代や40代になってから測量士資格を取得し、新たにキャリアをスタートさせる人もいます。

ただし、それはあくまで実務経験がある場合の話であり、実務未経験者は30歳を超えると一気に就職先を見つけることが難しくなります。

年齢制限ギリギリの人については、とりあえず資格取得は後回しにして、測量業務を経験できる職場に就職することを優先したほうがよいかもしれません。

測量士は高卒から目指せる?

高卒から測量士を目指すなら、学歴の必要ない、国家試験を受けるルートが手っ取り早いように感じられるかもしれません。

しかし、測量士試験では、三角関数やベクトル、行列など、かなり高度な計算問題が出題されるため、よほど数学に自信のある人でない限り、避けたほうが無難です。

それよりは、測量系専門学校に2年間通って、就職して1年間働いて無試験で資格を得るほうが、はるかに確実性が高いです。

一見遠回りなようにみえて、最も現実的かもしれません。

夜間コースに通って仕事と学業を両立させる方法も選べるため、努力は必要になりますが、高卒から測量士になることも十分可能です。

測量士は女性でもなれる?

国土地理院の実施した調査によれば、測量士の資格登録者はその約97%が男性であり、女性の測量士はたった3%しかいない非常にまれな存在となっています。

測量士は、重い機材を担いで山の中や森の中を長時間歩くことも多く、とくに夏場は非常に体力の消耗が激しくなります。

女性の場合、体力的に厳しいだけでなく、着替える場所やトイレがないなど、屋外の仕事では何かと男性より不便を感じることが多いでしょう。

土木関係の仕事全般が、そもそも女性からの人気がないということを差し引いても、こうした事情を勘案すれば、女性の測量士が極端に少ないのも仕方がないことといえます。

ただし、そうした数々のハンデを乗り越えられる気概があるなら、女性でも測量士として活躍することは決して不可能ではありません。

女性の測量士のキャリアパス・結婚後の生活

「測量士になるには」まとめ

測量士の国家資格は、測量士国家試験を受けることで誰でも取得可能です。

また、大学や専門学校などで指定の測量関連の勉強し、実務経験を積むことでも、測量士の資格取得が目指せます。

測量士になるためのルートは複数あるため、自身の理想のキャリアをイメージし、進学先などを決めていきましょう。