歯科医師になるには? 必要な資格や免許は?

歯科医師は、歯科大学や大学の歯学部で6年間の教育を受けて、国家試験に合格した人だけがなれる職業です。

資格取得後は、指定の病院・診療所などで1年以上の臨床研修を受けることも義務付けられています。

ここでは、歯科医師になるまでの道のりを解説していきます。

歯科医師になるまでの道のり

歯科医師は、国家資格である歯科医師免許を取得している人だけが就ける職業です。

ごくわずかの例外を除いて、歯科医師になるには歯科大学、もしくは大学歯学部(ともに6年制)を卒業し、歯科医師国家試験に合格したのち1年以上の研修を受けなくてはなりません。

歯科医師になるための歯科大学や歯学部は「国立」「公立」「私立」と、さまざまな種類があり、北は北海道、南は宮崎まで全国の都道府県に設置されています。

歯科大学や大学歯学部の学費は他学部よりも高めで、とくに私立大学は高額な出費が必要です。

そのため国公立大学に人気が集まりやすく、私立大学歯学部や私立歯科大学のなかには1.1倍など、ほぼ無競争となっているところも存在します。

在学中には、歯科保存学・歯科補綴学・口腔外科学・歯科矯正学などの授業から、附属の大学病院での実習まで、歯学に関する幅広い知識や技術を習得します。

6年制の課程を卒業した人もしくは卒業見込みの人に歯科医師国家試験の受験資格が与えられますが、近年、歯科医師国家試験の難易度は年々上がっており、合格率は低下傾向にあります。

歯科医師になるまでのルート

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歯科医師の資格・難易度

歯科医師になろうとする人は、歯学科の大学を卒業するときに歯科医師国家試験を受験します。

試験は年に一度だけであり、不合格の場合はまた翌年受験しなくてはなりません。

国家試験に合格して申請をすると、厚生労働省の歯科医師名簿に登録され、歯科医師免許が与えられます。

なお就職活動は6年生のうちに行いますが、3月の国家試験に合格できないと、せっかくの内定を取り消されてしまうことがあるため気をつけなくてはなりません。

最新の歯科医師国家試験の合格率は、全体で60~70%、新卒者のみでも80%ほどと、他の医療職と比べて合格率は低めです。

歯学部での指導要領に変化がないことから、国家試験の内容そのものが難化していると考えられます。

その理由として一番に考えられるのは、歯科医師が増え過ぎてしまった現状です。

今後も、歯科医師国家試験はさらに難しくなる可能性があるため、十分な対策が必要だといえるでしょう。

歯科医師国家試験の難易度、合格率

歯科医師になるための学校の種類

歯科医師になるための勉強ができる大学の数は、日本全国の国公立大学、私立大学を合わせて27大学29学部(令和3年度現在)です。

参考:日本歯科医師会 歯科医師とは

国公立大学の歯学部の場合、大学によって歯科医師国家試験の合格率には大きな差があります。

また大学にはそれぞれ附属病院がありますが、病院によって得意とする治療や研究のテーマはさまざまで、「臨床」と「研究」のどちらに力を入れているのかといったことにも違いが出ます。

一方、私立歯科大学や歯学部の大きな特徴として、タテヨコの繋がりの厚さが挙げられるでしょう。

歯科医師という専門的な職業から「同門連帯意識」が強く、大学内で研修会の開催が活発に行われているところもあります。

また、大きな大学では関連病院の数がたくさんあり、研修や勉強の機会を多く得られるメリットがあります。

歯科医師になるためにはどんな大学にいけばいい? 学費はどれくらい?

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歯科医師に向いている人

細かな作業が得意で集中力のある人

歯科医師は歯を削ったり、噛み合わせを調整したりと、非常に細かな作業を行います。

とくに噛み合わせの調整では、0.1ミリ単位での作業が必要となるため、細かな作業が苦手でないことや、几帳面さが求められてきます。

また、粗雑な治療を行えば余計に患者さんの症状が悪化することもあるため、高い集中力を維持しなくてはなりません。

おおざっぱな人よりも、マメで丁寧に物事を進められるタイプの人に向いている仕事です。

向学心が旺盛な人

口腔内の治療方法は、一通りではありません。

患者さんの状態や症例によって治療方法は異なります。

病態や疾患に対してマニュアル通りの治療をすればよいというわけではなく、患者さんの希望や求めに応じて、さまざまな処置を施す必要があります。

常に向学心を持って、新しい知識・技術を習得する意欲のある人に向いている仕事です。

歯科医師に向いている人・適性・必要なスキル

歯科医師のキャリアプラン・キャリアパス

歯科医師免許をもつ人は増える一方であり、日本全体の人口比に対しての歯科医師過剰問題は簡単には解決しないものと考えられます。

しかしながら「歯の健康を通して人々の健康を守る」という歯科医師の仕事がなくなることはありません。

また、新たな分野が研究対象としてスポットライトを当てられるケースも増えています。

たとえば、最近明らかになってきた、スポーツにおける歯科の重要性や高齢者歯科治療などもそのひとつです。

高齢者宅への訪問診療や、アスリートのパフォーマンスを引き上げ、よりよい身体づくりに重要な一役を買うスポーツ歯科の分野は今後大きく伸びていくことでしょう。

歯科医師の働き方の種類・雇用形態

歯科医師の働き方

歯科医師は、正社員(正職員)のほか、アルバイトなどの非常勤、派遣、さらには独立・開業と、さまざまな働き方があります。

勤務先としても、個人経営の小さな歯科クリニックをはじめ、複数名の歯科医師をかかえる大手歯科クリニック、また高度な医療を提供する大学病院や総合病院など選択肢は多彩です。

雇用形態・働き方によって、給与や待遇、福利厚生、仕事内容、時間の使い方などに大きな違いが出てきます。

また、正社員(正職員)と、非常勤歯科医師・派遣歯科医師などの非正規雇用では、それぞれメリットやデメリットがあります。

時間的な融通が利きやすい非常勤での勤務を選ぶのか、それともじっくり経験を積みキャリアアップを目指す正社員を目指すのかなど、自身の目指すキャリアやライフステージに合わせた働き方を選択していく必要があります。

歯科医師の雇用形態の種類

ここでは、歯科医師の一般的な雇用形態として、4つの働き方を紹介します。

正社員(正職員)

正社員(正職員)は、週5日、1日8時間程度の定時でフルタイムで働くワークスタイルです。

歯科クリニックや大学病院など、多くの就業先が正職員での求人を出しています。

社会保険や厚生年金、また福利厚生やボーナス・退職金、昇給、キャリアアップのチャンスなど、安定した雇用環境のなかでやりがいを感じながら働けるのが大きなメリットです。

非常勤

非常勤は、日数と時間に応じて給料を得られるワークスタイルで、「時間給いくら」という形で求人が出ることが多いです。

出勤時間や曜日の相談が可という求人も多いため、複数の歯科クリニックを掛け持ちしたい、開業前の準備期間として短時間だけアルバイトをしたいといった人が、この働き方を選ぶこともあります。

家庭を持つ歯科医師にとっても、家庭や子育てと両立がしやすく、働きやすい業務形態です。

就業条件によっては、社会保険や厚生年金、雇用保険に加入することが可能ですし、条件を満たせば有給休暇も与えられます。

派遣社員

派遣社員は、派遣会社の社員として、就業先に派遣されて働くワークスタイルです。

自分の希望条件をはっきり提示し、即戦力として高時給で働きながら経験を生かしてさまざまな職場で視野や経験を広げたい、自分なりのライフスタイルを維持したいと考える歯科医師に適しています。

派遣先は、街の歯科クリニックや大規模病院などさまざまですので、希望する地域や場所、働きたい診療科などによって、いくつもの候補先から選択することができます。

独立・開業

歯科医師は、病院やクリニックに勤務する、つまり雇われて働く以外に、独立・開業が可能な職業です。

開業医になれば、経営方針や診療日、さらに給料・待遇などのあらゆる事柄を自分で決めていくことができるため、自由度は格段にアップします。

しかし、歯科クリニックの競争はますます激化しており、生き残っていくのは簡単ではありません。

いち歯科医師としての知識や技術に加え、経営者としての手腕も問われてきます。

どの地域で開業するかをよく考え、住民に選ばれる歯科クリニックを目指していく努力が必要です。

歯科医師を目指せる年齢

歯科医師になるためには、6年制の歯学部や歯科大学を卒業する必要があります。

大学6年間で歯学に関する知識を徹底的に学び、数ある実習をこなし、卒業試験や国家試験をパスすれば、晴れて歯科医師資格を手にできます。

歯学科の入学に年齢制限は設けられておらず、歯科医師国家試験の受験に関しても年齢による受験資格制限はありません。

その気になれば、何歳からでも目指すことのできる職業だといえるでしょう。

ただし、私立大学の歯学部の場合、6年間通うとなると相当の学費がかかります。

その間、アルバイト程度は可能でも、仕事と両立して学生を並行することは不可能です。

よほど貯金がある人でない限り、社会人がイチから歯科医師を目指すのは難しいかもしれません。

また歯科医師資格を取った後の就職の際には、年齢が採用のネックになる可能性もゼロとはいえません。

歯科医師の研修

歯科医師の研修とは?

国家試験合格後に研修を受ける必要がある

2006年の改正歯科医師法によって、歯科医師になるためには歯科医師国家試験に通った後、1年以上の臨床研修を受けることが必要になりました。

1年間の研修は、最初の半年を大学の附属病院で行い、残りの半年を提携の歯科医院で行います。

大学病院では実際に指導医の横に立ち、治療の方法やカルテの書き方、患者さんのカウンセリング、実際の治療などを学びます。

治療に関しては最初は補助的な作業が多いものの、技術が伴ってくれば次第に治療全般を任せてもらえます。

研修期間は非常に忙しく、実際の研修の他に夜遅くまで残って模型を使った治療の練習など、歯科医師として実際に社会に出ても遜色ない技術を習得するための努力が求められます。

よい指導医にあたるとは限らない

研修医を受ける指導医がよい先生だとは限りません。

厳しい先生や指導がわかりにくい先生など、さまざまな人がいます。

しかし、どんな先生でも学べることがあります。

たとえ怒られてばかりの環境であっても、それに腐らずに謙虚に指導を受ける気持ちが必要です。

とくに、歯科医院での臨床研修では、大学病院とは違った意味での治療方法、院長の方針に出くわすことになるでしょう。

ときには今まで習ってきたことと違うことを学ぶ場合もあります。

いずれにしろ、歯科医師として開業している人から学べることは数多くあります。

この研修で学ぶことは、実際に自分が歯科医院に就職するときに役立つことが多いので、非常に有益な時間になります。

研修医といっても歯科医師に変わりはない

いくら「研修医」とはいっても、それは医師側の事情です。

患者さんから見れば、治療にあたる以上「歯科医師」に変わりはありません。

そのため、研修医であってもある程度の技術が求められますし、当然ながら、いい加減な気持ちで治療にあたることはできません。

臨床研修をする際には、研修医である以前に一人の歯科医師であることを心に止めて現場に立つことが何よりも大事です。

参考:歯科医師に関するデータ

歯科診療数の推移

歯科診療所数は近年はやや減少の傾向です。令和2年の歯科診療所数の数は67,874となっています。

歯科診療所数の推移_r2
出所:厚生労働省 令和2年医療施設調査

歯科医師数の推移

歯科医師数も増え続けており、令和2年時点での歯科医師数は107,443人となっています。

歯科医師数の推移_r2
出所:厚生労働省 令和2年歯科医師統計

性・年齢階級別の歯科医師数

年齢別の歯科医師数は50代が最も多く、次いで60代となっています。女性の比率は若いほど高く、20代の女性比率は46.4%にまでなっています。

性・年齢階級別歯科医師数_r2
出所:厚生労働省 令和2年歯科医師統計