歯科医師の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
歯科医師の業務スケジュール
6年制大学の歯学部や歯科大学を卒業後、歯科医師免許を取得した歯科医師は1年間の研修医期間を経て、街の歯科クリニックや診療所、もしくは大学病院や総合病院に勤務します。
1日の流れは、勤務先の歯科クリニックや大学病院などによって異なります。
開業医を含む歯科クリニックに勤務する歯科医師の場合、診察は基本的に予約制で行うため、患者さんが遅れてきた場合や、新患などの飛び込みの患者さんが入った場合を除いて、予定の時間から大きくずれることはありません。
比較的定時に帰りやすく、時間的に見通しの立つ仕事です。
一方、重症な病態を抱える患者さんや複雑な症状の患者さんなど、チーム医療で進める大学病院や総合病院などで勤務する歯科医師は、休日出勤や夜勤などが発生する場合もあります。
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歯科クリニックで働く歯科医師の1日
ここからは、歯科クリニックで働く歯科医師の1日の流れを紹介します。
昼休みは大切な休憩時間
大半の歯科医院は、30分ないしは1時間刻みで複数の患者さんの治療予定を組みます。
歯科医師は、「歯科衛生士」や「歯科助手」の助けを借りながら、効率よく、そして手を抜かずに時間内に治療をすることが求められます。
治療によっては複雑なものや時間がかかるものもあります。
0.1ミリの世界を扱うため、非常に神経を使い、気を抜くことはできません。
そのため、昼間の休憩時間に仮眠を取る歯科医師もいます。
夜は学会や研究会に参加する
通常何もなければ定時に帰宅できますが、夜間は難しい患者さんの治療計画を立てたり学会や研究会に参加したりと、勤務時間外にも仕事をすることが多々あります。
一般的に、大きな学会は週末に行われることが多いですが、学会や研修会は水曜日の夕方、もしくは平日の19時以降のことも少なくありません。
熱心な歯科医師ほど多くの学会や勉強会に参加していますから、そのぶん夜は遅くなりがちです。
大学病院で働く歯科医師の1日
大学病院や総合病院で勤務する場合には、歯科医院よりも診療や臨床に当たる時間が短くなり、その代わり研究や教育関連の業務が午後に入ってきます。
大学病院や総合病院では、歯科クリニックに比べ、歯科医師や歯科衛生士などスタッフの数が大幅に増え、チーム医療で治療に当たります。
さらに、学術・研究協力の同意が得られた患者さんには、付属の歯科大学や歯学部の5、6年生が実習に来た際、歯科医師の指導のもとで診察を行うこともあります。
次に、大学病院で働く歯科医師の1日を紹介します。
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歯科医師の勤務時間・休日
歯科医師の勤務時間
開業医や歯科クリニックで働く勤務医は、病院の開業時間にあわせ、基本的には8時~19時ぐらいの時間帯で働きます。
歯科クリニックでは、診察や治療にあたって「予約制」としている場合が多く、時間ごとの患者数が決まっているため、終了時間が大幅にずれることはめったにありません。
ただ、急患が入る可能性もゼロではありませんし、都市部など一部の歯科クリニックでは夜診をしているクリニックもあり、その場合は夜間対応を行います。
歯科医師の休日
街の歯科クリニックでは、きっちりと休みをとれると考えて差し支えありませんが、大学病院の場合は少し状況が異なってきます。
というのも、大学病院では夜勤や休日出勤が入ることもあり、やや多忙になりがちです。
しかし、大学病院であっても他のスタッフと調整すれば希望の日に休みをとったり、有給を使って連休をとったりすることも可能です。
一般的な歯科クリニックでは完全週休2日制や、月に8~9日の休みを基本とするケースが多いです。
なかには週に1日は午後診察は休みにしたり、変則的な開院時間にしているようなクリニックもあります。
歯科クリニックの休診日として最も一般的なケースは、水曜日・土曜日の午後と日曜日です。
しかし実際には、水曜日の午後は学会や研究会などの予定が入り、実質的な休みは土曜日の午後と日曜日となる場合が多いでしょう。
地域によっては休日に急患を診療するための当番医制度を設けており、年に数回程度、順番で休日にも歯科医院を開けることがあります。
歯科医師の残業・夜勤
大学病院で働く歯科医師は、朝の9時頃から勤務し、外来や入院患者さんの診察や治療をし、カルテを書いて夕方17時頃には病院の外来受付時間のタイムテーブルとともに勤務を終えます。
ただし、職場によっては歯科医師も休日出勤や夜勤をすることがあります。
歯科クリニックに勤める歯科医師の場合は、一般的な会社員に近い勤務形態になります。
基本的には9時から18時もしくは19時くらいまでの勤務となり、よほどのことがなければ残業は発生しません。
休日はクリニックの開院カレンダーに合わせ、土日や祝日には休みを取ることができます。
歯科医師は忙しい?激務?
歯科医師の仕事は基本的には座り仕事ではありますが、前かがみになって治療にあたる時間が長いため、腰痛になる人が少なくありません。
長時間の前かがみの姿勢や細かな患部や術野を見続けていることから、眼精疲労になりやすく、身体に疲れが出やすいです。
そういった意味では、歯科医師は知力だけでなく、体力も必要になってきます。
また、歯科医師は口腔内を扱うため、常に感染症のリスクにさらされているのも事実です。
重大な感染症以外にも、とくに冬場のインフルエンザが流行している時期には、インフルエンザに罹患した患者さんが受診してくることもあります。
歯科医師が患者さんからのインフルエンザに感染して仕事を休んでしまったら元も子もないので、絶対に感染するわけにはいきません。
このために、事前に予防注射を受けておく、手洗いやうがいを完璧にする、体力をつけるなど、細心の注意をしながら仕事をしています。
こうした、あらゆることに気を配って仕事をこなさなければいけない点も、人によっては激務と感じるかもしれません。
歯科医師の休日の過ごし方
歯科医師は医療従事者ですが、一般的な医師に比べると、休日の呼び出しは少ないです。
休日はきちんと休息を取りやすいため、趣味やレジャー、家族との時間は作りやすいでしょう。
ただ、学会や職場の会議やカンファレンス、歯科医師向けの講習会などが実施される場合は、休日返上で勉強に出かけていくこともあります。
学会は遠隔地で数日間にわたって開催されることもあり、必要な単位を取得するためには、遠方であっても基本的には参加しなければなりません。
そういったイベントがなくても、ブラッシュアップのため休日にも情報収集をしたり勉強の時間をとって論文や資料などに目を通したりすることもあります。
また、臨床と研究を並行して行っている歯科医師の場合は、休日こそじっくりと研究を進める貴重な時間になります。