裁判所事務官に転勤は多い? 勤務地や異動のペースについても解説
その一方で、勤務先や転勤の事情についてはあまり知られていません。
この記事では、裁判所事務官の勤務先と転勤について解説し、彼らの仕事の特徴と働き方について探っていきます。
裁判所事務官の勤務先・転勤の範囲
裁判所は日本全国に点在しますが、裁判所事務官はどの地域で働くことになるのかを説明します。
異動のペースや転勤の範囲についてもあわせて紹介します。
希望地区の高等裁判所の管轄内で働く
裁判所事務官の区分には「総合職」と「一般職」がありますが、勤務先・転勤の範囲にはとくに区別はありません。
「総合職」と「一般職」ともに「希望地区の高等裁判所の管轄内」での勤務となります。
たとえば、東京高等裁判所を希望する場合、関東1都6県に加えて新潟県、山梨県、長野県、静岡県がその管轄区域に含まれます。
以前は総合職の場合は全国転勤が前提とされていましたが、現在は一般職と同様に管轄区域内での勤務に変更されています。
つまり、転勤の範囲は各管轄区域に限定されるものの、採用区分にかかわらず、県をまたいだ転勤が命じられる可能性もあります。
したがって、裁判所事務官としての就職を考える際には、希望する管轄地域についてよく考え、転勤の可能性を踏まえて準備をすることが重要です。
各高裁管轄区域
異動のペースは3年に1回が目安
裁判所事務官の異動は、一般的にはおおむね3年を目安に行われるケースが多いです。
ただし、家庭の事情や特別な事情が考慮されることもあり、引越しを伴う転勤を免れることもあります。
しかし、すべての希望が通るわけではないため、毎回自分の希望が叶うとは限りません。
とくに裁判所事務官として出世していくと、県をまたいだ転勤が命じられる可能性も高くなっていく傾向にあります。
そのため、裁判所事務官を目指す方は、転勤の可能性を念頭に置きながら進路を考えることが重要です。
裁判所事務官としてのキャリアを築いていくためには、家庭や個人の事情を考慮しながら、異動を柔軟に受け入れることも求められるのです。
総合職は高等裁判所での勤務が中心
総合職の裁判所事務官は、高等裁判所や最高裁判所での勤務が中心となる傾向があります。
たとえば、東京高等裁判所管轄内の希望地区であれば、東京高等裁判所での勤務が多いでしょう。
同様に、大阪高等裁判所管轄内の希望地区であれば、大阪高等裁判所での勤務が考えられます。
また、総合職の場合は希望地区に関わらず、東京都にある最高裁判所での勤務を経験することも多いです。
ただし、これらは一般的な傾向であり、個別の配置や異動は裁判所の需要や人事の判断によって決定されます。
裁判所事務官を目指す場合は、各地の裁判所の情報を確認し、希望地区に合わせたキャリアプランを考えることが重要です。
採用時の配属先
裁判所事務官として最初に配属される先は、採用試験の合格順位と、本人の希望をあわせて決められます。
その詳細について説明します。
本人の希望と合格順位で決まる
裁判所事務官の最初の配属先は、合格者の希望や合格順位に基づいて決定されます。
採用試験の面接時には「勤務希望地等調査票」を提出し、この調査票では、希望勤務地を第3希望まで記入することが求められます。
しかし、合格者名簿の席次(合格順位)によっては、必ずしも希望通りの配属先が実現しない可能性もあります。
たとえば受験地が「東京高等裁判所の管轄内」の場合であれば、前述のとおり配属の可能性がある県は関東1都6県に加えて新潟県・山梨県・長野県・静岡県となります。
このなかでは、やはり東京・神奈川・埼玉・千葉付近の裁判所で勤務したいという希望が集中する傾向がありますが、もちろん合格者全員の希望をかなえることはできません。
一般的には合格者全員に対して配属先の希望を聞いた上で、合格順位や総合評価に基づいて最終的な配属先が決められます。
希望は100%叶うわけではない
ただし、配属先においても裁判所の需要や人事の判断により、希望に添えない場合や予期せぬ異動が生じる場合もあります。
かつては女性の希望を優先させる傾向があったようですが、近年は女性の採用比率が高くなっていることから、女性の希望を考慮するということはみられないようです。
転勤範囲は管轄区域内に限られますが、希望する県での勤務を叶えるためには、合格順位を上げることが重要です。
合格順位は筆記試験と面接の総合評価によって決まりますので、それらの試験で優れた成績を収めることが求められます。
裁判所事務官を目指す方は、希望勤務地を考慮しながら努力し、合格順位を高めることを目指してください。
勤務地による給料(手当)が変わる
裁判所事務官を含む国家公務員の給与体系や手当制度は、法令や規則に基づいて定められています。
そのなかで、国家公務員には地域手当という制度があります。
地域手当は、勤務地の物価や民間賃金水準を考慮して設定される手当であり、民間賃金の高い地域に勤務する職員には手当が上乗せされます。
これにより、同じ職務を担当していても地域によって給与水準が異なる場合があります。
例をあげると、東京都特別区の勤務(東京地裁など)の場合は、基本給に18%が加算されます。
「裁判所事務官に転勤は多い?」のまとめ
裁判所事務官は、通常、地方裁判所や高等裁判所などの裁判所で勤務します。
裁判所事務官の転勤については、一般的には頻繁ではなく、3年に一度程度となっています。
多くの場合、勤務地は所属する裁判所の管轄範囲内で行われますが、県をまたぐ異動もあるため、希望の勤務地がある場合はまず試験での合格順位を高めることが重要です。