作業療法士のやりがい・楽しさ・魅力
作業療法士のやりがい・楽しさ
患者が生きがいを見つける手助けができる
けがや病気などによって、かつて何の苦もなくできていたことが、ある日突然できなくなるというのは、当事者にしかわからない恐怖や絶望感、苦しみがあります。
患者のなかには、もう一人では生活できないかもしれない、もう二度と社会復帰できないかもしれないという不安を抱えて、ふさぎこんでしまったり、自暴自棄になってしまうケースもあります。
作業療法士は、そんな患者一人ひとりと向き合い、さまざまな作業を通して身体機能の回復に努めると同時に、精神的な支えにもなって、患者が失ってしまった「生きがい」を取り戻す手助けをします。
たとえ日常生活が不自由になってしまっても、リハビリとして行う作業のなかで、ひとつでも夢中になれるものが見つかれば、それは患者にとっての新たな生きがいとなるかもしれません。
つらい障がいを抱える患者に、再び前を向いてもらうことは容易ではないかもしれませんが、患者の人生に寄り添う作業療法士の仕事には、大きな社会的意義とやりがいがあるといえます。
オリジナリティを発揮しやすい
人間の身体構造や認知機能はきわめて複雑であり、障がいが生じる原因はさまざまですので、症状が同じだからといって、別々の患者に対して同じリハビリが必ずしも効果を発揮するとは限りません。
このため、作業療法士は、自身の知識や経験に基づいて、各患者に合った最適なリハビリプログラムをその都度工夫する必要があります。
柔軟な発想や臨機応変な対応が求められる点は、作業療法士という仕事の難しさでもありますが、同時に奥深さでもあり、またクリエイティブな楽しさもあるといえます。
ときには、料理や裁縫、園芸、楽器の演奏など、プライベートで培った自分の趣味や嗜好をプログラムに反映させるケースもあり、仕事に独自色を打ち出しやすいでしょう。
「自分らしさ」や「特技」を使って人の役に立てることは、作業療法士ならではの仕事のやりがいといえます。
作業療法士の魅力
多様な現場で活躍できる
作業療法は、障がいを抱える子どもから身体機能の衰えた高齢者まで、非常に幅広い患者が対象となります。
このため、作業療法士が必要とされる職場も、総合病院をはじめとする医療施設はもちろん、子ども向けの児童福祉施設もあれば、老人ホームなどの介護施設もあり、非常に多岐にわたっています。
また、同じリハビリ専門職の理学療法士とは異なり、作業療法士は心理面のケアも手掛けるため、統合失調症や認知症などの患者に対応する精神病院やグループホームで働くことも可能です。
活躍できる分野が複数ある点が作業療法士の魅力であり、自身の希望や努力次第で、多様なキャリアを歩んでいけるのが魅力です。
働く場所によって担当する患者も症例もさまざまですので、複数の現場を経験することで、自身のリハビリ知識やスキルを深め、成長していけるでしょう。
実際に作業療法士として活躍している人のなかにも、あらゆる患者に対応できるようになるために、あえて転職を繰り返し、いくつもの職場を渡り歩くケースもよく見受けられます。
さまざまな特技が身に付く
作業療法士は、上述の通り、訓練プログラムのなかに自分の特技を取り入れるケースもありますが、それとは反対に、まったく経験のない分野の作業を行うケースもあります。
そうした場合、外部から専門の講師を招いて、患者と一緒になって学んだり、あるいは作業療法士自身があらかじめ講習に通ったりして、必要な知識や技術の習得に励みます。
仕事を通して、さまざまな特技を身につけられる点は、作業療法士という職業特有の大きな魅力といえるでしょう。
ときには、仕事という枠を超えて、自分でも思ってもみなかったような新しい趣味に巡り合えることもあるかもしれません。