作業療法士の転職理由・転職の状況は?
作業療法士が今の職場を辞める理由で多いものは?
作業療法士が現在勤めている職場を辞める理由は、「思うようなリハビリができない」というものが目立ちます。
作業療法士のリハビリは、日常動作や手先の細かい動作など、患者の生活全般に広く及ぶ点に大きな特徴がありますが、基本動作の訓練しかさせてもらえない施設も少なくないようです。
その原因はさまざまで、施設側が作業療法士の役割をきちんと理解していないこともあれば、患者側が歩行訓練などしか望んでいないこともあり、理学療法士との線引きが曖昧になっているケースも散見されます。
さらに、施設によっては、配置基準として定められているから作業療法士を雇用しただけで、そもそもリハビリにあまり力を入れていないというケースもあります。
そうした個々の職場事情は、求人票を見ただけではわかりません。
「働いてみたら思っていた環境と違っていた」ということもしばしばあり、別の施設へ移っていく人も一定数います。
作業療法士の転職で気をつけるべきこと
作業療法士が転職する際に気を付けたいのは、同じ障がい領域を扱う施設に移るか、それとも違う領域を扱う施設に移るかによって、その後のキャリアの方向性が変わってくることです。
前者の場合は、それまで勤めていた職場で学んだことをそのまま生かせますので、職場が変わってもスムーズに働ける一方、新しく学べることは少ないでしょう。
しかし後者の場合は、これまでとは大きく異なるリハビリを手掛けることになり、戸惑うことは多いかもしれませんが、知識やスキルの幅は広がりやすいでしょう。
一つの専門領域をきわめてスペシャリストとなるか、複数の領域を扱えるゼネラリストとなるかは、自身のキャリアに対する考え方次第です。
ただ、どちらかというと、作業療法士にはスキルアップに前向きな人が多く、さまざまな患者に対処できるようになるために、違う領域の職場を渡り歩く人のほうが目立ちます。
作業療法士の職務経歴書の書き方のポイント
作業療法士の職務経歴書には、前職における施設名称や業態、担当していた患者の障がい領域、病床数や利用者数、スタッフ数など、できる限り詳細な情報を記載することが望ましいです。
職務内容を詳しく書くことで、自身が保有している知識やスキルが客観的にわかりやすくなり、施設側が求める人材とのミスマッチを防ぎやすくなりますし、仕事に対する姿勢や熱意も示せます。
前職において学んだことを転職先でどう生かすかも踏まえて、A4用紙1枚~2枚程度を目安にまとめるとよいでしょう。
もし数字で表せる具体的な成果や評価があれば、それらもあわせて書いておけば強力なアピール材料になります。
なお、作業療法士は、個々の患者の性格や嗜好に合わせて多様な訓練を行う可能性があるため、直接仕事に関係なさそうなキャリアや資格、趣味などでも、使えそうなものがあれば記載しておくべきです。
作業療法士から他の業界への転職はある?
作業療法士には、医療業界、介護業界、福祉業界、教育業界など、さまざまな職場があります。
このため、作業療法士としての資格や専門知識を生かしたまま、これまでと違う分野の仕事を手掛けることも可能で、他の業界へ転職していく人は決して珍しくありません。
最もよくあるのは医療業界から介護業界、あるいは介護業界から医療業界への転職です。
その理由も、「仕事に違うやりがいを求めたい」「給料や休日などの労働条件を変えたい」などそれぞれです。
なかには、病院や介護施設である程度の勤続年数を重ねた後に、現場で知った問題点や改善点などを福祉行政に反映させたいと、公務員に転職する作業療法士もいます。
逆にいうと、作業療法士の知識やスキルを役立てられる場が非常に幅広いこともあって、まったく関係のない職業に転職していく人はかなり少ないようです。
作業療法士の転職先はどのように探せばいい?
作業療法士の転職先は、一般的な職業と同じように、求人情報誌や求人サイトを閲覧する方法、ハローワークを利用する方法、転職エージェントに登録する方法などがあります。
また、養成校時代の教師や先輩・後輩など、知人からの紹介で就職が決まるケースも少なくありません。
同じ業界で働く仲間だからこそ、自身の考えや悩みに共感してもらいやすく、希望に合致した職場を見つけやすいということもあるようです。
ただ、作業療法士には、分野をまたいだ多様な活躍の場があるため、本当に向いている職場がどこなのか、自分自身でも気づけていないこともあるかもしれません。
今後のキャリアに迷うなら、作業療法士専門の求人サイトに登録して、第三者からの客観的な意見を聞いてみることもひとつの有効な手段です。