労働基準監督官の需要・現状と将来性
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労働基準監督官の現状
労働基準監督官は国家公務員として採用されているので、安定度の高い職業といえます
しかし昨今は財政面での負担軽減案の一つとして、公務員の人員削減や給与削減についてたびたび議論されています。
もともと人手不足といわれている労働基準監督官ですので、これ以上削減されると対応が行き届かず、健全な労働環境をつくることに支障をきたすリスクもあるでしょう。
労働基準監督官の需要
時代の変化とともに働き方や仕事の種類も広がりをみせているため、労働者と事業主とのトラブルも多様化していることに加え、景気が下向きな時ほどトラブルは増加しがちのようで、そうした時期は需要も当然高まる傾向にあります。
継続的に必要とされている労働基準監督官ですが、慢性的な人手不足が問題視されています。
労働基準監督官採用試験は年1回で2019年は573人、2018年は612人、2017年は478人が合格し、毎年約200人の採用実績があります。
しかし、全国には約410万の事業所と約5300万人の労働者がいるのに対し、労働基準監督官は全国で約3200人しかおらず、毎年の監督対象は16万事業場にとどまっており、現状では十分な数の労働基準監督官を確保できていないません。
働き方改革の一環として残業時間の上限を設けることで、過労による自殺や違法性のある残業をなくす施策を実行し、チェックを行うために労働基準監督官は増員されているものの、人手不足はまだまだ解消されていません。
参考:厚生労働省 労働基準監督官採用試験
参考:厚生労働省 労働基準監督行政について
労働基準監督官の将来性
人手不足は解消されていませんが、困っている労働者や事業主は減るわけでもないため、労働基準監督官は今後も必要とされます。
ただし、労働環境をよくするという職務は変わりませんが、働き方をはじめ、社会そのものが多様化しているため、労働基準監督官もそれらに順応しなければいけません。
これまでのやり方があてはまらないケースも出てくるでしょうし、複雑化した内容を分かりやすく、丁寧に説明する機会も増えてくると思います。
そのため、労働関連法律の改定をしっかり追いながら、経験と専門的知識を積み重ね、あらゆる問題に立ち向かい解決に導く力がああれば、労働基準監督官を長く続けることができるでしょう。
労働基準監督官の今後の活躍の場
専門職の国家公務員として労働基準監督官を極め、係長や課長、局長や署長といったようにステップアップするのも一つの道といえます。
また本人希望に応じてですが、採用後3年目以降は厚生労働本省で働くという選択肢もあります。
ほかには異業種へのキャリアチェンジという道もあり、最も代表的なのは社会保険労務士です。
社会保険労務士は国家資格が必要な職業ですが、労働基準監督官を一定年数経験していると一部の試験科目を免除できるほか、実務をそれなりの経験をしている労働基準監督官であれば試験自体の難易度は高くないようです。
資格を取得し独立する人も多いようで、社会保険労務士も当然ながら労働環境に深く関わる仕事であるためこれまでの経験を大いに役立てることができます。