検察事務官の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
検察事務官の仕事とは
検察事務官は国家公務員として検事(検察官)の職務を補佐するのが主な仕事内容です。
検事は捜査機関から送致された事件などの捜査や取り調べ、裁判を行ったりするのが仕事ですが、検察事務官はそれらの捜査のサポートをはじめ、取り調べの立ち合いや罰金徴収、資料作成や電話対応など多岐に渡ります。
配属される検察庁によっては総務や会計といった事務的業務を行うケースもあり、マルチな活躍が期待されているようです。
検事と二人三脚で仕事にあたるため勤務地は全国各地になるのも検察事務官の特長でしょう。
具体的には全国の主要な市・町に438庁設置されている「区検察庁」、全国50カ所に設置されている「地方検察庁」、全国8カ所に設置されている「高等検察庁」、そして「最高検察庁」が検察事務官の勤務地となります。
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検察事務官の業務の内容
検察事務官の業務は非常に幅広いのが特徴で、配属される3つの部門によって業務内容も変わります。
それぞれの部門の業務内容を紹介していきます。
捜査・公判部門
立会事務
検察官とチームを組み事件捜査にあたるため担当事件内容を調査したり、取り調べに立ち会ったりすることで被疑者の心境や境遇、事件の背景を把握し、検察官をサポートする業務です。
捜査事務
起訴、不起訴を決定するための取り調べを行う業務で、傷害事件や窃盗事件、道路交通法違反事件など扱う事件は多岐にわたります。
公判事務
検察官の重要な役割である公判立会に対し、事件立証や公判手続きの確保などを行い、適正な科刑を実現するために、検察官をサポートする業務です。
検務部門
事件事務
検察庁の窓口的な役割で、捜査機関から送られてくる事件が法律にのっとっているかを調べ、受理手続きを行います。
証拠品事務
事件に関わる重要な証拠品の受け入れ手続きを担う業務で、事件の進捗によって証拠品の保管や処分なども行います。
執行事務
検察官は裁判終了後の刑罰執行指揮を行う役割があり、この刑の執行手続きを行う業務です。
徴収事務
裁判などで罰金や科料の刑罰が確定した際、それらの徴収金を徴収する業務です。
犯歴事務
有罪判決を受けた人の犯罪歴の調査・管理を行う業務でパソコンによって迅速、かつ正確に処理を行います。
記録事務
裁判が確定した記録の保管や管理を行うと共に、記録閲覧手続きの業務も担います。
事務局部門
総務事務
捜査公判部門などの事務が円滑・適正に行われるように取り計らう総務・会計
いわゆる総務としての役割で、人事・給与管理や検察庁職員の福利厚生、書類発送などの業務も行います。
会計事務
検察庁の歳入歳出を管理するのが主な役割で、庁舎の維持管理や業務に必要な機材や器具といった備品整備なども行います。
検察事務官の役割
検察事務官の役割は多岐にわたりますが、その中で最も重要といえるのが検察官のサポートでしょう。
前項でも触れたように、捜査や取り調べを補佐したり、検察官が裁判に集中できるように事務手続きを行ったりするほか、事件捜査などに大きく関わる検察事務官には次のような権限が与えられています。
・被疑者の取り調べ
・逮捕状による逮捕
・緊急逮捕やその場合における逮捕状の請求
・差押え、捜索、検証または身体検査の令状請求と執行
・第三者の取り調べや鑑定等の嘱託
・被疑者の鑑定留置請求と鑑定処分許可請求
・検察官の指示による検視
上記の権限を駆使することで検察官を補佐するとともに、事件の真相を突き止めるための迅速かつ正確な捜査につなげます。
このような検察官のサポートのほか、配属場所によっては総務や会計などの事務業務を担当する場合もあります。
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検察事務官の勤務先の種類
検察事務官の勤務地は、検察官の補佐が主な役割であるため検察庁が設置されている全国各地となります。
区検察庁
簡易裁判所に対応するため、全国の主要な市・町に438庁設置されている検察庁で、比較的軽い刑事事件の取り扱いが主です。
地方検察庁
地方裁判所や家庭裁判所に対応する検察庁で全国50カ所にあるほか、地方検察庁には203もの支部が設けられているためそれらも検察事務官の勤務地となります。
高等検察庁
東京都、大阪市、名古屋市、広島市、福岡市、仙台市、札幌市、高松市に設置されている検察庁で高等裁判所に対応するため重大な事件を取り扱うことも多いでしょう。
最高検察庁
最高裁判所に対応する検察庁で東京都にしかありません。
刑事事件の上告に対応するため、重大な事件のみならず社会的に注目されている事件を取り扱うこともあるでしょう。
検察事務官の仕事の流れ
検察事務官は配属部門によって仕事内容が変わるため一概にいえませんが、ここでは最も代表的な仕事となる捜査・公判部門や検務部門での勤務を例に仕事の流れを紹介します。
捜査・公判部門の検察事務官は検察官を補佐するのが主な役割ですので、大まかな仕事の流れも検察官と同様です。
事件の捜査からはじまり、被疑者の取り調べや証拠品の確認を行い、検察官が起訴を決めれば裁判をするための手続きを行います。
裁判が終わり刑罰が確定したら、正しく執行されるよう執行機関への監督・指導を行う検察官を補佐し、執行手続きを行ったり、罰金刑だった場合は徴収金を徴収したりします。
同時にいくつも事件を担当するため、同時進行で上記の流れを繰り返します。
検察事務官と検察官の違い
検察事務官と検察官の大きな違いは保有している権限にあります。
検察事務官の権限は、被疑者の取り調べや逮捕状による逮捕などがありますが、検察官と決定的に違うのは起訴権限を持っていない点です。
起訴権限は日本で唯一、検察官だけに与えられている権限で、担当する事件の被疑者を起訴するかしないかの最終判断を検察官は行います。
検察事務官は重要な判断を下す検察官のために取り調べや捜査、事務仕事のサポートを行うのが主な役割といえます。
当然ながら資格にも違いがあり、検察官は司法試験に合格し、司法修習も終えた人が資格を得ることができます。
これに対して検察事務官は、国家公務員採用一般職試験の大卒程度試験(試験の区分「行政」)か高卒者試験(試験の区分「事務」)に合格することで資格を得られます。