県議会議員になるには? 必要な資格やなるための条件について解説

地域の政治を担う県議会議員は、地域の発展や福祉に大きな影響を与える立場にあります。

そんな県議会議員になるには、どのような条件が必要でしょうか。

また、どのような人がなりやすいのでしょうか。

この記事では、県議会議員になるための条件や必要な資格、そしてどのような人がなりやすいかについて解説します。

県議会議員になるまでの道のり

県議会議員(都道府県議会議員)になりたい人は、家族が以前から政治家だったり、議員の秘書をしていたりするケースが多いです。

また、地元の人々のために良い地域になるよう働きたいと思う人もいます。

このようにさまざまな理由があっても、県議会議員になるには選挙で当選するしかありません。

選挙に出るためには、県議会議員に必要な条件があります。

  • 25歳以上で、日本国籍の人
  • 3カ月以上、同じ都道府県内に住んでいる人
  • 60万円の供託金を出せる人

これらの条件を満たしていれば、だれでも立候補することができます。

しかし、県議会議員には、県民の未来を左右する政策を考える仕事があります。

また、豊かな生活のためのお金の使い方や、安心して暮らすための医療・介護の問題に詳しい専門的な知識が必要となります。

そのため、将来県議会議員や政治家になりたい人は、さまざまなことを勉強しておくことが必要です。

県議会議員になるまでのルート

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選挙の選挙区と定数のちがい

県議会議員の定員は、各都道府県の条例によって定められています。

2022年(令和4年)都道府県会議員数を見ると、定数が多い都道府県は、東京都の123人、神奈川県の101人、愛知県の98人となっています。

一方で、最も少ない福井県・鳥取県・島根県では34人しかいません。

基本的には大都市で人口が多ければ多いほど議員の人数も多い傾向にあります。

また、選挙区によって、当選の難易度には大きな違いがあります。

平成27年に行われた統一地方選挙を例に挙げると、県議会議員選挙の競争倍率は1.4倍でした。

驚くことに、立候補した人の約70%が当選していることになります。

2019年には、全国で41の道府県議会議員選挙が行われました。

そのうち945の選挙区の約39%、371の選挙区で定員を超えた候補者がおらず、612人が無投票で当選しました。

これらのデータを見ると、選挙区によって当選難易度が大きく異なることがわかります。

参考:総務省 平成27年4月執行 地方選挙結果調

参考:NHK 政治マガジン

選挙に勝つための活動のポイントは?

選挙に勝つためには、まず戦略を立てることからはじまります。

選挙活動の方針や、公約、キャッチコピーなどを決めます。

なかには、選挙対策のスペシャリストである選挙コーディネーターとタッグを組んで活動する人も少なくありません。

その後、どのようなヴィジュアルで売り出すのかを考えます。

支持政党や公約などからイメージカラーを選び、多くの人の目につくようにポスター等を用意します。

選挙活動に必要な資金や、共に活動してくれるボランティアの確保も重要なポイントです。

こうした活動は、地域の事情、年齢や性別、政党、キャリア等が人それぞれ違うため、何が正解ということはありません。

ただし近年は、地上戦とよばれる対面接触でのコミュニケーションよりも、空中戦とよばれるイメージ戦略や広報宣伝が重要になることが増えてきています。

そのため、SNSを活用するなど、選挙活動の内容も様変わりしはじめています。

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県議会議員の資格・立候補の条件

25歳以上の日本国籍を持っていること

県議会議員を目指す際には、「25歳以上の日本国籍を持っている」こと以外に、基本的には特別な資格は必要ありません。

都道府県議会議員に立候補するために必要な条件は以下のとおりです。

  • 25歳以上で日本国籍を持っていること
  • 同一の都道府県内の市区町村に、3カ月以上住んでいること
  • 60万円の供託金を用意できること

これらの条件を満たしていれば、誰でも立候補することができます。

25歳以上という条件については、選挙の日に25歳に達していることが必要です。

つまり、立候補の時点や選挙期間中は24歳でも問題ありません。

供託金は、法務局に一時的に預けるお金で、立候補の乱立を防ぐために設けられた制度です。

規定数の票数を獲得すれば返金されますが、獲得票が規定数に届かなければ没収されてしまいます。

都道府県に納められたあとは税金と同様に扱われます。

規定数の票数の算出方法は、「その選挙区の定数で割った有効投票総数の10分の1」と規定されています。

県議会議員に立候補できない人

 県議会議員に立候補できない人とは?
上記条件を満たしていても、以下の条件にあてはまる人は立候補できません。

  1. 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
  2. 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
  3. 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者。または刑の執行猶予中の者
  4. 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
  5. 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
  6. 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、被選挙権が停止されている者

このように、犯罪歴のある人は一定期間、立候補できません。

参考:総務省 選挙権と被選挙権

県議会議員になるために必要な学歴はある?

学歴が問われることはない

日本国籍を持ち、25歳以上であることが県議会議員の立候補の条件です。

県議会議員になるためには、特別に学歴は問われません。

しかし、議員になった後は政策立案や議案審査など、多くの専門知識が必要です。

そのため当選後には、知識が豊富な行政職員からレクチャーを受けたり、勉強会を開いたりして知識を深めます。

大学で政治や経済などを学ぶ

学歴は問われませんが、県政や経済、法律についての知識を身につけておくと、県議会議員としてより活躍することができます。

一般的に、法学部や政治学部、経済学部や地域社会学部などで学んだ知識は、県議会議員の仕事でも役に立ちます。

例えば、県議会議員は条例の制定や改正に関わるため、法学部で学んだ基礎知識を生かせます。

政治学部では政治学の基礎知識が学べる上に、国内外の政治の動きを把握できます。

経済学部では、国内外の経済活動に対する分析力を身につけることができます。

地域社会学部では、地域社会の問題を見つけ、調査や研究を行い解決に導くための方法を学べます。

これらの知識は、県議会議員の仕事に必要な知識のひとつといえるでしょう。

民間の政治塾で学ぶ

また、民間の政治塾で学ぶことも効果的です。

中でも、松下政経塾は最も有名な政治塾の一つです。

松下政経塾では、政治家に必要な国家経営や地域経営、公共経営などの知識を学べます。

実際に政治家のプロフィール欄を見ると、「松下政経塾を卒業」と記載されていることがあり、多くの政治家が松下政経塾で学んでいることがわかります。

国家経営・地域経営、公共経営など、政治家としての資質を高める研修を通して、将来リーダーシップをとって政治に関わる人材を育成しています。

県議会議員になるためにはどんな学校に行けばいい?学歴は?(大学・学部)

県議会議員に向いている人

人と話すのが好きな人

県議会議員は、県民の意見を聞き、自分の言葉で主張しなくてはなりません。

人と話すことが好きな人にとって、県議会議員の仕事はコミュニケーションスキルを十分生かせる仕事といえます。

自分の政策を有権者に伝え、共感を得ることや、反対意見を持つ人をを納得させること、条例を成立させるために関係者との調整を行うことなど、あらゆる人との対話はさまざまな場面で大切です。

心身ともにタフな人

県議会議員は一般的な会社員のように勤務時間も決まっていないため、自己管理能力も必要です。

議会会期中は分単位でスケジュールが詰まることもあり、非常に多忙な日々が続きます。

議会が閉会中でも、県内各所を視察や調査することが多くあります。

体力的に無理をしなければいけない時期も多々ありますが、自由に休むこともできないため、タフさが求められます。

さらに、議案を通すためにはさまざまなプレッシャーがかかり、公人として厳しい意見や視線に直面することもあります。

こうした状況に打ち勝つためには、心身ともにタフであることが必要です。

県議会議員に向いている人・適性・必要なスキル

県議会議員のキャリアプラン・キャリアパス

県議会議員としてのキャリアパスは明確には存在しません。

どちらかというと、自分で政策を考えて採用されることが、政治家としての重要な指標となります。

県民の代表として、地域の公益を守るために実績を残すことが必要であり、投票してくれた人の期待に応える義務があります。

また、実績をつくりそれが認められることで、次回の選挙で当選する可能性も高くなります。

地方議員としてのキャリアプランは、議会の議長や副議長、あるいは知事になることが考えられます。

しかし、議長や副議長は議会選挙で選ばれ、知事は都道府県民の投票により選出されます。

そのため、相当な努力とハードルを乗り越える必要があります。

県議会議員を目指せる年齢は?

県議会議員に定年はないため、日本国籍を持つ25歳以上の人であれば何歳になっても目指すことはできます。

政党によっては国会議員を対象として定年制を設けたり、公認の年齢制限を設けています。

しかし、県議会議員には定年制を設けていない場合もあります。

ただし政治家の定年制についてはたびたび議論されており、将来的には採用される可能性もあるかもしれません。

県議会議員は女性でもなれる?

県議会議員には当選した女性もなることができます。

むしろ生活に直結した課題が多い県政において、女性議員の活躍が期待されています。

しかし、残念ながら都道府県議会における女性議員の割合は低いです。

全国の県議会議員は2,609人で、そのうち女性議員は262人で、割合にするとわずか約10%です。

少子高齢化が進み、あらゆる業界での人材不足が問題視されている昨今において、県議会議員も例外ではありません。

積極的な女性の政治参加が期待されていますが、働く時間が不規則な場合も多く、子育てしながら活動する難しさもあります。

こうした理由から、なかなか女性議員が誕生しにくい環境が問題となっています。

各地方議会でも、ようやく産休育休制度が整い始めているところです。

しかし、まだまだライフイベントに対応しきれているとはいえず、議員の労働環境整備は今後も課題といえます。

参考:男女共同参画局 女性の政治参加マップ2019

女性の県議会議員のキャリアパス・結婚後の生活

県議会議員に求められること

県会議員になるためには、クリーンな政治を実践し、一般市民が理解できる政治を行う素質が必要です。

現在、県会議員に限らず市議会議員や国会議員に対する世間の印象はあまり良くありません。

その理由は、政治とお金の問題や汚職、パワハラやセクハラなどの問題がメディアを通じて報じられ、世間を騒がせているためです。

こうした印象を払拭するには、並大抵の努力では務まりません。

また、県議会議員は、イベントなどを通じて多くの県民と接する機会があります。

一人でも多くの県民の支持を集めるために、イベントなどに出演するなど、積極的にコミュニケーションをとる機会を持つことが大切です。

笑顔で手を振ったり、挨拶をしたりと、日ごろから積極的にコミュニケーションをとることも、都道府県議会議員に求められるスキルの一つです。

「県議会議員になるには」のまとめ

県議会議員になるためには選挙での当選が必要です。

立候補は25歳以上であれば誰でもすることができますが、政治的な知識や経験、地元での活動実績、そして選挙活動に必要な資金やボランティアの確保なども必要です。

議員になるためには多くの努力や準備が必要ですが、その先には地域の発展や改善に貢献することができるやりがいがあるといえるでしょう。