環境計量士になるには
国家資格の取得を目指す
環境計量士は「濃度関係」と「騒音・振動関係」の2種類の資格がありますが、いずれも資格を取得する方法としては以下の2つのコースがあります。
国家資格を受ける方法
一つは、計量士国家試験を受験して合格したうえで、実務に必要な所定の経験などの条件を満たす必要があります。
実務経験の必要年数は以下の通りです。
【濃度関係】
濃度の環境計量講習の受講または濃度に関する実務に1年以上従事していること。
【環境計量士(騒音・振動)】
騒音・振動の環境計量講習の受講または騒音・振動に関する実務に1年以上従事していること。
研修を受ける方法
「国立研究開発法人 産業技術総合研究所」が実施する所定の教習を修了し、さらに実務に必要な所定の経験などの条件を満たす必要があります。
実務経験の必要年数は以下の通りです。
【濃度関係】
濃度に関わる計量の実務に2年以上従事していること。
【騒音・振動関係】
騒音・振動に関する実務に2年以上従事していること。
20代で正社員への就職・転職
国家試験合格だけでは登録できない
国家試験の受験資格として学歴や年齢の制限はないため、若い人でも環境計量士試験に合格することは可能です。
しかし、環境計量士として登録するには「1年以上の実務経験」もしくは「環境計量講習受講」が必要とされるため、注意が必要です。
就職先を見つける
環境計量士は、民間の環境分析会社、言い換えると「環境計量証明事業所」といわれる種類の企業で働く人が多いとされています。
このような企業では、官公庁や企業からの依頼に基づいて仕事を行います。
1つの事業所には、その事業所が扱う分野の資格者を複数名置くことが求められており、転職の際にも環境計量士の有資格者は優遇されることがあるようです。
法律の定めにより、環境調査に対する意識はますます高まっており、需要も拡大しているようです。
20代で正社員への就職・転職
女性の環境計量士の働き方
女性の強みも生かせる
環境計量士は理系に分類される仕事ではありますが、最近では「環境」という分野そのものが大きな注目を集めていることもあって、女性が環境業界や、環境計量士という職業に興味を持つことも増えているようです。
環境計量士の需要自体も高まっており、専門職として国家資格を生かして働くことができるため、将来性と安定性のある仕事がしたいと考える女性にも適した仕事だといえるでしょう。
この仕事では、一般的なデスクワーク以外に試料の捕集や分析といった業務に携わる時間も多々あります。
細かな作業も多く、間違いのない仕事をすることが求められるため、女性ならではのきめ細やかさや丁寧さが発揮できる場面もたくさんあるでしょう。
職場によっては出張や残業が多いことも
キャリアを積む女性にとって気がかりなのは、結婚や出産というライフイベントをきっかけに、それまでとは同じようなスタイルで仕事をするのが難しくなる可能性があるということでしょう。
環境計量士の仕事では、クライアントの事業所や工場などへ出向いて測定をすることなど、出張が多くなる場合があります。
また、少ない技術者で回していたリ、案件が立て込んでいるようなときには、どうしても残業が増えることもあります。
専門職であるがゆえに、スキルのある人のところに仕事がたくさん舞い込んできやすい面もあるようです。
正社員以外の雇用形態でも働ける
女性が家庭と仕事を両立したい場合、派遣社員のように、正社員以外の雇用形態で働くという方法もあります。
派遣社員であれば、休日や残業についての就業条件を指定して仕事を探すこともでき、正社員よりも自分の希望が通りやすくなるでしょう。
職場環境は勤務先によってだいぶ異なるため、正社員であっても女性が無理なく働き続けられるところはあるようですが、ライフスタイルの変化とともに、雇用形態を変えるというのも一つの選択肢として考えてもよいかもしれません。
また、もし収入にこだわらないのであれば、ボランティア団体で環境教育などに携わりながら、身につけてきた環境の知識を生かすといったことも考えられます。
環境計量士の志望動機、面接
おもな志望動機
環境計量士を目指す人の志望動機としてよくあるのは、やはり環境問題に関心があり、何らかの形で環境を守る仕事に携わりたいというものです。
環境に関わる仕事はたくさんありますが、環境計量士は環境調査や分析といった業務をおもに担当するため、身の回りの水質や大気、土壌などがどのような状態にあるのか自分の頭で判断することができます。
さまざまな性質を数値化し、評価していくことに興味がある人にとっては、とてもやりがいを感じられる仕事になるでしょう。
また、環境計量士という国家資格をもって働くことができ、専門的な知識や技術を生かしながら社会を支えていくことができる点に魅力を感じ、この仕事を志している人は多いようです。
志望動機の考え方
環境問題の多様化、環境分析ニーズの高まりとともに、環境分析を行う人材を求める企業は増えています。
環境計量士という仕事に対する思いを伝えることはもちろんですが、たくさんの会社があるなかで「なぜこの会社を志望するのか」についても、きちんと答えられるようにしておきたいものです。
面接のポイント
環境計量士の面接では、学校を出たばかりの人であれば、これまでに学んできたことや力を入れて取り組んできたことについて確認されるでしょう。
たいていの人は、大学などで化学や環境に関する勉強をして、この仕事に就いているため、過去の学びを業務にどう生かして貢献していきたいのかといった熱意を伝えることは重要です。
また、なぜ環境分析の仕事に携わりたいと考えたのかという志望動機や、入社後にどのような仕事をしていきたいのかといった将来の目標について問われることが多いでしょう。
なお、会社によっては、環境計量士は社内にこもって分析を行うだけでなく、調査のためにさまざまな現場へ出かけることもあるため、そういった業務内容に対して前向きであるかどうかといったことを問われることもあるようです。