助産師の転職理由・転職先の選び方
助産師の転職理由
助産師は転職をする人もいますが、その理由として、他の職業でよく聞かれる「よりよい待遇を求めて」「キャリアアップのため」といったものはそこまで多くありません。
そもそも助産師自体が高給であり、福利厚生や待遇面はきっちりとしている職場が多いからです。
看護師と異なり、助産師は大病院であっても基本的に産科にしか在籍しないため、別の職場を経験することでキャリアアップしたい考える人もそこまで多くないようです。
では、助産師の転職理由として最も多いものは何でしょうか?
その答えを一言でいえば、「人間関係」にまつわる問題です。
医療現場は常に緊張感やプレッシャーに包まれており、ピリピリしていることも多く、とくに女性の多い現場では、思うように円滑に人間関係が作れないこともあります。
上司や同僚だけではなく、病院の方針や考え方などと合わないと感じた場合、もっとストレスのない環境で働きたいと考えて、別の職場へ移ることを決意する人がいます。
20代で正社員への就職・転職
助産師の転職先
助産師のおもな転職先は、総合病院の産婦人科や、産科クリニック、助産院などです。
施設によって、夜勤の有無、超過労働の多さ、スタッフの人数やチーム医療の体制などはまったく異なるため、自らが職場に求める優先順位を整理して、それに基づいて転職先をよく吟味する必要があります。
また、昨今では上記に上げた就業先以外にも、産後ケアセンターや保健所、また不妊治療専門のクリニックなど、助産師の活躍する場は増えています。
専門性や適性、希望などをよく検討し、就職先を選ぶようにするとよいでしょう。
ここからは、代表的な転職先の特徴について紹介していきます。
産後ケアセンターへの転職
産後ケアセンターとは、出産後の母親への育児支援を目的とした、母子が一緒に過ごせる宿泊型ケア施設のことです。
最近、芸能人が利用したことが話題になり、一般の人にもその存在が認知され始めました。
産後ケアセンターでは、助産師や看護師を中心に、臨床心理士、産後ケアリストなどの専門スタッフがそろった医療チームで24時間体制のケアを行います。
産後の母子が安心してゆっくり過ごせ、新生児育児に慣れていくための環境を整えています。
ここでは、赤ちゃんのお世話のしかたを学ぶだけでなく、母親がヨガやカウンセリングなどを受けられるのが、通常の産科入院との大きな違いです。
たとえば夜間は赤ちゃんを新生児室に預けることで、しっかりと睡眠をとって回復期を過ごすことができます。
これらのサポートによって、お母さんがプレッシャーや睡眠不足などによる疲れやストレスが解消され、産後うつのリスクを減らせる、孤独な育児を避けられるという社会的メリットもあります。
保健所・保健センターへの転職
従事する人数は少なめですが、保健所や保健センターに公務員として勤務する助産師もいます。
地域の子育て支援活動や乳幼児検診の補助、新生児訪問をはじめ、育児相談や女性の健康相談など、多岐にわたって産後の母子の生活をサポートすることが業務です。
保健所や保健センターは地方自治体の機関になるため、ここで働くには地方公務員試験を受験する必要があります。
採用されると公務員扱いとなり、夜勤などがある助産師業務とはまた違った働き方をすることになります。
不妊治療専門クリニックへの転職
近年の晩婚化、高齢出産の傾向により、不妊治療のニーズが高まっています。
産婦人科においても、不妊治療を専門にしたクリニックが増えており、助産師が活躍することがあります。
不妊治療クリニックでは、さまざまな理由により自然妊娠が難しい人の妊娠を、医療を用いてサポートすることが業務で、産科とはまた違ったスキルや適性が求められます。
不妊治療専門クリニックで働く場合は、妊娠を望む人が相手になるため、患者の心のケアや精神的サポートなどが重要になります。
不妊治療は決して楽なものではありません。
身体的にも金銭的にも負担が重い治療に臨む患者の不安を取り除き、思いやりのある寄り添いをしてあげるのも、助産師の大切な役割です。
また、パートナーである男性も患者としてサポートする対象になる点も、一般の産科とは異なる、不妊治療を専門に扱う現場ならではといえるでしょう。