電気工事士の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説

専門的な技術を生かして活躍する電気工事士は、保有している資格の種類や、勤務する企業の規模・地域、経験などによって、個々の年収に差がつきやすい職業です。

この記事では、電気工事士の年収・給料、待遇などについて、各種統計データも交えて詳しく解説しています。

電気工事士の平均年収・給料の統計データ

電気工事士の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

電気工事士の平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、電気工事士の平均年収は42歳で551万円ほどとなっています。

  • 平均年齢: 42歳
  • 勤続年数: 14.3年
  • 労働時間/月: 167時間/月
  • 超過労働: 18時間/月
  • 月額給与: 367,400円
  • 年間賞与: 1,100,600円
  • 平均年収: 5,509,400円
  • ※出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
    電気工事士の年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    求人サービス各社の統計データ

    職業・出典 平均年収 年収詳細
    電気工事スタッフ
    (Indeed)
    4,214,199円 時給 1,480円
    日給 18,452円
    月給298,372円
    電気工事士
    (求人ボックス)
    420万円 月給35万円
    派遣社員:平均時給1,639円
    アルバイト:平均時給1,195円

    各社の統計データをみると、電気工事士の年収は300万円代後半~500万円が実態であることがわかります。

    やや個人差があるのは、電気工事士にはさまざまな職場があること、手掛けられる工事規模の異なる第一種・第二種があることなどが影響していると推察されます。

    電気工事士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

    厚生労働省の統計をみると、電気工事士のボーナスはおよそ月収の3か月分となっています。

    一般的な電気工事士の年収を550万円と仮定すると、月収は約37万円、ボーナスは約110万円です。

    そこから、年金や社会保険料、所得税などを差し引いた手取りは、独身者の場合、月額約29万円~30万円、ボーナスが約80万円~90万円という計算になり、日本人のごく平均的な水準にあるといえるでしょう。

    電気工事士の初任給はどれくらい?

    電気工事士の初任給は、およそ18万円~20万円が相場であり、年収ベースに換算すると250万円~300万円ほどになります。

    電気工事士の仕事では専門的な知識・技術が必要であり、たとえ第二種電気工事士資格を持っていても、実務経験がなければ現場で活躍することは困難です。

    新人はあくまで見習いであり、「給料をもらいながら育ててもらっている」という立場であることを勘案すると、初任給はごく妥当な水準といえるでしょう。

    なお、昨今は電気工事士のなり手が減少し、売り手市場となっているため、就職した時点で、初任給とは別に数万円前後の「お祝い金」が支給される職場がよく見られます。

    電気工事士の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    電気工事士の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

    10〜99人規模の事業所に勤める電気工事士の平均年収は502万円、100〜999人規模は548万円、1,000人以上の規模では630万円、10人以上規模の事業所平均は551万円となっています。

    電気工事士の年収(規模別)_r5

    電気工事士の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    電気工事士の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の682万円です。

    全年代の平均年収は551万円となっています。

    電気工事士の年収(年齢別)_r5

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

    電気工事士の福利厚生の特徴は?

    電気工事士の福利厚生は、企業によってさまざまですが、総じて恵まれている職場が目立ちます。

    現状、社会全体のIT化の影響などによって電気工事の需要は非常に高まっていますが、一方で電気工事士の人数自体は不足気味です。

    このため各企業は、資格手当を厚くしたり、有給休暇を取得しやすくしたり、直行直帰可としたりするなど、「働きやすさ」をアピールして、人材の確保に努めています。

    とくに、ある程度のキャリアを積んで即戦力となれれば、手厚い福利厚生が期待できるでしょう。

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    電気工事士の給料・年収の特徴

    ここからは、電気工事士における給料・年収の特徴について紹介します。

    特徴1.収入は経験・資格などによる個人差が大きい

    電気工事士は、持っている知識や技術、資格などによって、できること・できないことが明確にわかれる職業です。

    上述したように、第二種電気工事士と、その上位資格となる第一種電気工事士までもっている人とでは、活躍できる幅が大きく違います。

    資格手当だけみても、第二種は4,000円~10,000円、第一種は10,000円~20,000円が相場であり、2倍ほどの差がついています。

    このため、電気工事士の収入事情は、個人によって差が開きやすい点が特徴であり、自分の腕さえあれば、若くして同世代の人より高収入を得ることも可能です。

    逆にいうと、年齢や勤続年数による昇給幅は、それほど大きくないということがいえます。

    そのため、努力が足りないと、いつまで経っても給料が上がらない可能性は否定できません。

    年功序列で平等に昇給していくよりも、個人のがんばりが評価されるほうがやる気がでるという人については、電気工事士はうってつけの職業といえるでしょう。

    特徴2.働く地域も給料に影響する

    1件の電気工事から工事業者が得られる報酬は、その現場の規模や難易度によって、大体の相場が定まっています。

    電気工事士1人あたりの工賃や労務単価もおおむね決まっているため、工事件数が多く、また工事規模が大くなりやすい都市部ほど稼ぎやすく、地方ではその逆となります。

    このため、電気工事士の給料は、実力差に加えて、地域差も大きい点が特徴的です。

    たとえば初任給ひとつ取ってみても、関東や関西といった都市部では20万円以上の職場が半数以上を占めますが、地方の場合は18万円未満となる職場も珍しくありません。

    給料にこだわるなら、電気工事士にとって就職先のエリア選びは非常に重要といえます。

    ただし、仕事で得られるものは、もちろんお金がすべてではありません。

    都市部で就職し、数多くの仕事に追われてあくせく働くより、地方でのんびり働くほうが性に合っているという人もいるでしょう。

    特徴3.給料が「歩合制」の職場もある

    電気工事会社のなかには、基本給が低い代わりに、担当した現場1件につき数千円~数万円の給与を支給するという、歩合制の職場もあります。

    とくにエアコン工事業者の場合、「基本給ゼロで完全歩合制」というところも多いです。

    そういった会社で働くとなれば、収入が保証されなくなる一方、ほかの職場では望めないほどの額を稼げるチャンスもあります。

    引っ越しシーズンや、夏や冬の直前といった繁忙期には、毎日何件もの現場をはしごして、土日も休みなく働くことで、1か月で100万円を稼ぐ人もいるようです。

    メリハリの効いた働き方をしたい場合は、歩合制の職場で働くという選択肢もあるでしょう。

    また、閑散期については、別の電気工事を手掛けたりして収入を安定させることも可能です。

    電気工事士の勤務先別の給料・年収

    ここからは、電気工事士の勤務先別の給料・年収について説明します。

    電気工事士にはさまざまな勤務先があり、それによって収入には差が出てきます。

    屋内配線・外部配線工事会社の給料

    屋内でのスイッチや照明の取付工事、電柱から屋内への引込工事など、一般的な電気配線工事を手掛ける会社で働く場合の給料は、およそ20万円~30万円前後が相場です。

    キャリアを積んで指導する立場や監督者になると、それ以上の給料に達するケースもあります。

    エアコン設備工事会社の給料

    同じ電気工事会社のなかでも、エアコンの取付工事を手掛ける企業で働く場合は、季節による変動幅が非常に大きくなりますが、およそ20万円~80万円ほどが相場です。

    電気配線工事会社と比べると、経済的には不安定になりがちであり、年間を通して家計をコントロールしていく計画性が必要になるでしょう。

    ビル管理会社の給料

    ビル管理会社で働く場合の給料は、およそ20万円~25万円が相場とされています。

    給料水準としては低めですが、工事会社と比べると体力的な負担は小さめで、年齢を重ねてからでも働きやすい点が魅力です。

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    電気工事士の正社員以外の給料・年収

    電気工事士は、正社員はもちろん、それ以外の雇用形態で働く人もいます。

    雇用形態別の給料・年収事情を紹介します。

    アルバイト

    未経験者などがアルバイトで電気工事を手掛ける場合、時給1,000円前後が相場となっています。

    地域によって時給の水準には違いが出やすいです。

    日当で支払われるケースもありますが、その場合でも9,000円~10,000円ほどであり、時間あたりの単価は基本的に同じです。

    派遣社員

    派遣社員として働く電気工事士の給料は、時給1,500円~2,000円前後が相場です。

    時給に換算すれば正社員とほぼ変わらない水準ですが、労働時間が短く、また雇用期間は数か月単位ですので、年収でみると正社員よりも劣ります。

    独立・開業

    電気工事士は、ある程度の経験を積んだ後に独立開業することも可能な職業であり、その場合の給料は年収500万円~600万円が相場といわれています。

    ただし、独立すると、勤務時よりさらに実力差がダイレクトに収入に反映されるため成功すれば、年収800万円以上を狙うことも可能です。

    電気工事士が収入を上げるためには?

    電気工事士が収入を上げる方法は、リスクの低いものから高いものまでさまざまに考えられます。

    確実なのは、第一種電気工事士や電気工事施工管理技士、電気主任技術者(いわゆる電験三種)など、試験勉強に励んで上位資格を取得する道です。

    できることを増やし、自身の専門性を高めていくことで、所属企業のなかで昇進したり、あるいはより待遇のよい職場に転職して、給料アップを図ることができるでしょう。

    リスクの高い方法としては、歩合制の職場で数多くの仕事をこなす、独立・開業するという道が挙げられます。

    技術力や体力、手際のよさ、人脈、営業力など、ほかの人より秀でている能力があるならば、それを生かして収入アップにつなげることもできるでしょう。

    「電気工事士の年収・給料」まとめ

    電気工事士は、保有する資格の種類や技術力、経験などによって、年収・給料に差がつきやすい職業です。

    また、勤務する会社の規模や、働く地域によっても給与水準が異なります。

    技術職であるため、自分の腕を磨き、より上位の資格を取って経験を積むことで、少しずつ収入アップが望めます。

    また、独立・開業ができる職業であり、働き方によっては平均年収を大きく超えた収入を得ることも可能です。