大工にはどんな種類がある?

大工にはどんな種類がある?

大工というと、かなづちで釘を叩き、木材を使って家を建てるという姿を思い浮かべる人が多いかもしれません。

そのような木造住宅をつくる大工は、分類的には「町大工」または家屋大工と呼ばれ、大工のなかで最も一般的といえる存在です。

しかし、大工には、町大工のほかにも、宮大工、数寄屋大工、船大工、建具大工、家具大工、型枠大工、造作大工など、手掛けるモノや保有する技術の異なる複数の種類があります。

なかには、数寄屋大工や船大工のように、時代の移り変わりによって非常に稀少になってしまった職種や、建具大工や家具大工のように、大工ではなく職人に分類されるようになった職種もあります。

以下では、現代におけるおもな大工の種類について、以下でいくつかご紹介します。

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町大工の仕事

町大工は、おもに木造建築物の新築、増築、リフォームを手掛ける職種です。

町大工の仕事内容は幅広く、作業所での木材の加工、建築現場での柱や梁などの建物の骨格となる部分を組み立てる「建て込み」、床や天井の下地づくり、壁のボード貼りといった作業があります。

基本的には木材を使った組み立て作業までが町大工の仕事の範囲ですが、電気工事関係の資格をもち、配線工事まで手掛ける大工もめずらしくありません。

その一方で、近年では、大工の世界も機械化・工業化が進み、家屋の骨組み部分の木材については「プレカット」と呼ばれる、あらかじめ工場で裁断された資材を用いることが一般的になりつつあります。

このため、大工自らが木材を加工する「手刻み」を行う機会は減りつつあり、工務店によっては、工場で壁や床などのパーツを生産し、大工は現場で組み立てるだけというところも増えています。

宮大工の仕事

宮大工は、寺社や仏閣に代表される伝統建築物の建築や修繕を手掛ける職種です。

町大工が手掛ける一般建築物の「在来工法」では、木の接合部分にボルトやプレートなどの金属部品を使用しますが、宮大工は「木組み」と呼ばれる伝統工法を駆使し、木材だけで建物を組み立てます。

大工のなかでも、深い専門知識と卓越した技術が求められる仕事であり、ベテランになると国の重要文化財の補修を任されることもあります。

このため、待遇面でもほかの大工を圧倒しており、棟梁クラスになると年収1000万円以上を稼いでいる人も少なくありません。

なお、こうした伝統建築の依頼は、単価は高いものの、件数としてはそれほど多くありないため、宮大工は全国各地を転々としながら仕事をするケースが一般的です。

宮大工の仕事

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型枠大工の仕事

型枠大工は、鉄筋コンクリート造の建物などをつくる際の、コンクリートを流し込む型枠をつくる職種です。

コンクリートは、セメントに水と砂利を加えてつくられますが、当初は「生コンクリート」と呼ばれるドロドロの液体の状態であり、形状を決めるための枠が必要になります。

型枠大工は、各建物の形状に合わせた型枠を用意して現場で組み立て、そこに生コンを入れて、化学反応によって数週間程度かけて固め、型枠を取り外すまでが仕事です。

コンクリートの強度は、温度や湿度、水分量による影響を強く受けるため、型枠大工には枠をつくる技術だけでなく、長年の経験と勘が必要になります。

なお、型枠大工が扱うのは住宅やビルなどに限らず、橋やトンネルなど、コンクリートを使う建造物であれば何でも幅広く手掛けます。

造作大工の仕事

造作大工は、天井や壁、床、窓枠、巾木など、建物の内装部分を木材でつくる職種です。

下地をつくる町大工とは異なり、目に見える室内装飾を手掛ける造作大工には、より繊細な技術とデザインセンスが要求されます。

なかでも和室は、壁も柱も見せたうえで、鴨居や長押、落し掛け、床の間も個別に制作するなど、木材をふんだんに用いて内装を仕上げることが多いため、造作大工の腕の見せどころといえます。

また、近年は健康志向の高まりもあって、洋室であっても床を無垢材(天然目の木材)で仕上げたり、カウンターに一枚板を使用したりなど、造作大工が求められるケースが増えています。

町大工と比べると、肉体的な負担はかなり少ないため、ある程度年齢を重ねて体力が衰えた町大工が造作大工になったり、町大工と兼務したりする人も一定数見られます。