調理師の需要・現状と将来性
調理師の現状
努力次第で上を目指せる
調理師は拘束時間が長く給料も安い仕事です。
勤務する店によっては朝早くから夜遅くまで働かなければなりません。
しかし、下積みを経てベテランの調理師になると、任される仕事が増えて給料も上がります。
また、腕のよさを認められると引き抜きにあい、旅館や料理屋、結婚式場などで働くこともあります。
その場合、給料や勤務条件は同年代に比べると比較的好条件となるでしょう。
拘束時間が短い仕事もある
調理師の中には、料理人ではなく学校給食の調理師や企業や病院、福祉施設の調理師となる人もいます。
こういった職場は給料こそあまり多くないものの、拘束時間が短く働きやすいという利点があります。
ただし、配膳時間の3時間ほど前には料理を作り始めなければならないため、朝食調理のシフトがある職場の場合は早朝4時台に出社することも珍しくありません。
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調理師の需要
調理師の需要は大きい
人々の生活基盤となる衣食住のうち「食」を担う仕事である調理師の需要は今後もなくなることはないと考えられます。
日本には和食から洋食、中華、エスニック料理までさまざまな国の料理を楽しめる飲食店やホテルがあり、それぞれの場所で調理師が活躍しています。
また、人々のライフスタイルが変化した現代では、一流の料亭から町の定食屋、ファミリーレストラン、学校や病院の給食まで、外食にも多様なジャンルが求められています。
世の中の人に食を提供する調理師の需要は大きいといえるでしょう。
技術があれば職には困らない
調理師は雇われたままでいるか、技術を身につけて最終的に独立を目指すかで将来性が大きく変わります。
ただし、調理の技術があればいくらでも仕事に就ける職種なので、就職口には困りません。
そのため、転職を重ねる人も多くいます。
また、開業をする場合も、小さな飲食店から大規模なレストラン、弁当販売、ケータリングサービスなど、展開の方法に幅広い選択肢があります。
独立資金があまりない場合は、自宅を改装してこじんまりと始めることも可能で、独立開業へのハードルが比較的低い職業だといえます。
調理師の将来性
需要はあるが待遇面の改善が課題
外食産業が発展した現代では、調理師の需要は今後もなくなることはないでしょう。
しかし、コストとの戦いやサービス残業の増加など、調理師を取り巻く環境は年々厳しくなり、すぐに辞めてしまう調理師も多いのが実情です。
飲食業における待遇面は以前から問題視されてきましたが、人手不足が解消されず労働環境はなかなか改善されません。
そのため、料理が好きで調理の仕事にやりがいを感じ、将来的な夢や目標を持つ人でないと長続きしない世界であることは今後も変わらないといえます。
ニーズは外食から中食へ
近年、消費者が食に求めるニーズは外食から中食へ推移しているといわれています。
コンビニやスーパーで買えるお弁当やデパ地下の惣菜、ピザのデリバリー、テイクアウト商品などが「中食」と呼ばれるスタイルです。
外食よりお金がかからず自分で調理をしなくてよい中食は、現代社会に広く受け入れられています。
レストランやホテルといった外食産業だけでなく、中食業界にも目を向けることで調理師の将来性は大きく広がるでしょう。
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調理師の今後の活躍の場
世界へ広がる和食ブーム
今、日本の伝統料理である和食が世界中でブームとなっています。
繊細でおいしくヘルシーな日本食は、ユネスコの世界文化遺産に登録されたこともあり欧米を中心に人気が高まっています。
そのため海外には日本食を提供する飲食店が多くありますが、そのすべてに日本人の調理師がいるわけではありません。
日本で和食の技術をしっかりと身につけて海外へ行けば、現地で店を開いて繁盛させたり、一流料理店やホテルなどで活躍したりすることもできるでしょう。
調理師ならではの食育
食育とは、食べ物と健康との関係といった「食」の大切さを教えながら、健全な食生活を実践できる人を育てていく取り組みのことをいいます。
近年では料理のプロである調理師が外部の学校などから依頼されて食育について話をしたり、調理師学校が食育教室を主宰したりすることもあります。
健康志向が強まっている現代では、おいしいだけではなく安全で健康的な料理の知識を身につけた調理師が求められています。
子どもたちに食について分かりやすく話して聞かせるのは簡単ではありませんが、調理の専門知識を生かした食の教育も今後の調理師の活躍の場となっていくでしょう。
参考:飲食店営業所数の推移
飲食店営業所は若干ですが減少の傾向にあります。令和2年度の飲食店営業所数は1,406,938件でした。