弁理士の就職先と仕事内容の違い

弁理士の勤務先の種類

弁理士の勤務先として最も代表的なのは特許事務所です。

特許事務所では、企業の知財部門担当者や個人事業者などを顧客とし、特許をはじめとした知的財産の出願申請手続きを手掛けるケースが一般的です。

しかし、近年は新規の特許出願が減っている影響もあって、特許事務所以外に勤務する弁理士が増えています。

メーカーなどの一般企業、大学などの研究機関、コンサルティング会社、法律事務所など、弁理士の就職先は多様化していく傾向にあります。

仕事内容は勤め先によってさまざまですが、特許事務所のように出願申請をメインとするケースはまれで、弁理士としての法律知識を生かし、知的財産の管理運営や有効利用方法を提案する業務が中心です。

以下では、いくつかの就職先ごとに、その特徴や業務内容をご紹介します。

弁理士の仕事内容

特許事務所で働く弁理士

ひとくちに特許事務所といっても、その事業規模はさまざまであり、100名以上のスタッフを抱える大きな事務所もあれば、代表弁理士と数名のスタッフだけで運営している小規模な事務所もあります。

また、対象となる顧客や業務内容も異なり、規模の大きな事務所は、クライアントは大手法人企業が中心であり、特許、商標、意匠など、知的財産権全般を幅広く取り扱うことが一般的です。

一方、小規模な事務所の場合は、中小企業や個人の発明家をお客さまにすることが多く、商標だけ、意匠だけというように、一部業務に特化しているところが目立ちます。

なお、事務所の数としては、少人数の事務所が圧倒的多数を占めており、スタッフ50人以上の中規模で働く弁理士は全体の3%程度、100人以上の大規模事務所で働く弁理士に至っては0.2%程度にすぎません。

一般企業で働く弁理士

一般企業の法務部や知的財産部といった部署に所属し、サラリーマンとして弁理士資格を生かす「企業内弁理士」も少なくありません。

業種は製造業が多いものの、自社ブランド開発を手掛ける小売業も就職先候補となります。

メーカーにとって、新技術や新製品の開発は、会社の浮沈を左右する重要課題であり、知的財産の権利化がビジネスに与える影響は計り知れません。

このため、弁理士は企業内で重要ポストを任されることが多く、業務内容も、自社の知的財産の管理運営をはじめ、同業他社の動向調査、市場分析、新製品開発支援、経営戦略立案など多岐にわたります。

待遇は基本的に一般社員と変わりありませんが、基本給に加えて資格手当が支給されたり、出世が早まったりと、なんらかの方法でほかの社員との差別化が図られることが一般的です。

かつては、自社の特許申請などは外部の弁理士に依頼する企業が大半でしたが、研究段階から弁理士が関わることで開発後の戦略が立てやすくなるため、近年は自社で弁理士を抱えるケースが増えています。

技術移転機関(TLO)で働く弁理士

大学をはじめとした各種研究機関で行われた研究の成果を特許として権利化し、その権利を民間企業に移して、新たな産業の創出につなげる業務を「技術移転」といいます。

こうした業務を手掛ける組織が「技術移転機関(TLO)」であり、近年はTLOに勤めて、研究機関と民間企業との橋渡し役として活躍する弁理士も増加傾向にあります。

TLOは、大学初の新規産業を生み出し、そこから得られた収益の一部を研究者に還元することで、また新しい技術開発費用を捻出するという「知的創造サイクル」の中核を担っています。

平成10年の法律制定以降、TLO数は増加し続けており、「産」と「学」の仲介役としての活躍が期待されています。

参考:経済産業省 大学の技術移転(TLO)

独立して働く弁理士

弁理士のなかには、特許事務所などに勤めて知識やスキルを磨いた後、独立開業して自分の事務所を経営する人もいます。

しかし、近年は弁理士数が1万人を超え、特許事務所が増加し続けている一方、新規の特許出願件数は減少傾向にあり、事務所間の案件獲得競争は激しくなっています。

成功するためには、手掛ける分野を絞って専門性をアピールしたり、他士業資格を取得して業務範囲を拡げるなど、他事務所との差別化を図ることが必要になるでしょう。