弁理士が独立・開業するには?

独立弁理士の働き方・仕事内容

弁理士は、資格を生かして独立開業することも可能な職業であり、自分の特許事務所を開いたり、共同で事務所を経営している人も少なくありません。

その場合の働き方や仕事内容は、人によってさまざまで、数十人のスタッフを雇って大規模に事業を展開するケースもあれば、誰も雇用せず、一人ですべての業務をこなすケースもあります。

ただ、どんな事業形態であっても、弁理士としての実務だけでなく、営業活動や広報宣伝活動、税務、事業戦略立案など、経営者としての仕事を行わなければならない点は共通しています。

このため、たとえ弁理士としては優秀であっても、それがそのまま経営者としても優秀であるということにはなりません。

弁理士を目指す人のなかには、独立することに憧れを抱いている人もいるかもしれませんが、本当に自分が独立開業に向いているのか、よく考えてから決断することが望ましいでしょう。

独立開業するまでのキャリアパス

将来的に独立開業を志す場合であっても、まずは特許事務所や企業の知財部門に勤めて、実務経験を積んだり、コネクションを養っていくことが必要です。

「何年間勤務したら独立できる」という決まりがあるわけではありませんが、弁理士に求められるスキルレベルは非常に高く、一通りの業務をこなせるようになるには少なくとも3年はかかるといわれています。

独立を成功させるには、同時に営業力やコミュニケーションスキルも身につけていかなければなりませんので、5年単位・10年単位という中長期的スパンで計画を立てたほうがよいかもしれません。

また、近年は特許事務所数が増加していることもあって、新規参入者にとっては非常に厳しい環境となっています。

生き残っていくためには、他事務所との差別化を図ることが重要ですので、あらかじめ事業戦略については入念に練っておく必要があるでしょう。

これから伸びそうな技術の目星を付けて、その分野に特化して案件を請け負ったり、税理士などの他士業者とのパイプを太くして、顧客を斡旋してもらうといった戦略を取っている事務所もよく見られます。

弁理士が独立開業するメリット・デメリット

ほとんどの特許事務所では、事務所ごとにある程度手掛ける案件の分野が定まっており、やりたい案件をなんでも請け負えるというわけではありません。

また、一般的にどこの事務所も業務量が多く、長時間の残業や休日出勤をこなさないといけないところが目立ちます。

さらに、特許事務所は、大半が東京・大阪・名古屋の大都市圏に集中しており、勤務地が非常に限定されるという点がネックです。

しかし、独立開業すれば、請け負う案件の種類や仕事の量、働く時間帯や場所などは、自分で決めることができますので、自由な働き方ができるようになるということが、独立開業の最大のメリットです。

その代わり、勤務時とは異なって、仕事は自分自身の力で取ってこなければなりません。

さらに、事務所の家賃やスタッフなどの人件費、広告宣伝費などの経費もやり繰りしなければなりませんし、当然ながら自身の収入も一切保証されません。

営業能力や経営能力など、数多くのスキルが求められる点は、独立開業における大きなリスクといえるでしょう。

独立弁理士の給料・年収

弁理士は基本的に成果主義であり、各人の実力が収入に反映されやすいといえますが、独立開業すると、その傾向はより顕著になります。

開業直後は顧客獲得に苦労するケースが目立ち、そこまで多くの収入は見込めませんが、数年経って事業がある程度軌道に乗ってくると、年収1000万円程度に達する人も少なくありません。

培ってきた人脈を生かして、大手企業からの案件を継続的に受注している人や、多数の弁理士を雇って特許業務法人を経営している人のなかには、年収2000万円や3000万円を稼いでいる人もいます。

ただし、それらはあくまで独立が成功した場合のケースであり、勤務時代の収入を下回る人や、食べていくのがやっとという人、あるいは廃業を余儀なくされる人もいます。

とくに近年は、資格保有者数が増えた結果、資格そのものの価値が相対的に低下しており、稼げる弁理士と稼げない弁理士の二極化が進んでいます。