高卒から弁護士になることはできる?
高卒から弁護士になるためのルートは?
司法試験を受けて弁護士になるためには、まず司法試験を受けるための資格を満たす必要があります。
資格を得る方法は2通りあり、ひとつは「法科大学院に進学」する方法、もうひとつは「司法試験予備試験を受ける」方法です。
高卒、あるいは中卒であっても、大卒者などと同じように、基本的に上記2つの方法のうちどちらかを選択し、受験資格を得て司法試験に受かれば、弁護士になることは可能です。
ただし、高卒・中卒から司法試験に合格するには、並大抵の努力では足りませんので、中長期的かつ現実的な勉強計画と「なにがなんでも弁護士になる」という断固たる決意が不可欠といえます。
以下では、それぞれのルートにおけるメリット・デメリットや、高卒・中卒ならではの注意点などについてご紹介します。
法科大学院に進学するルート
法科大学院入試を受けるには、原則として4年制大学を卒業していることが条件です。
ただし、法科大学院によっては、大学卒業資格がなくても、事前の審査で大卒者と同程度の学力があると認められれば、大学院入試の受験を許可するというところもあります。
判断基準は大学によってさまざまですが、中退していても大学での在籍歴があったり、予備試験の短答式試験に合格していたり、ほかの国家資格やTOEICなどの語学系資格があると評価されるようです。
気になる法科大学院があれば、問い合わせてみるとよいでしょう。
予備試験を受けるルート
2011年から始まった司法試験予備試験は、法科大学院に入らなくとも、司法試験の受験資格を取得できるよう設けられた試験です。
予備試験は、司法試験本試験とは違って受験資格がなく、誰でも試験を受けることができるため、高卒・中卒から弁護士を目指す場合、こちらのルートのが第一の選択肢となるでしょう。
しかし、予備試験はきわめて合格率の低い、狭き門となっています。
短答式試験、論文式試験、口述試験と順にすべてに合格する必要がありますが、最終合格率は例年3%前後しかありません。
まったくの法律知識ゼロから始めるなら、予備試験合格までには数年間の努力が必要になるでしょう。
ただ、予備試験の勉強は、同時に司法試験本番の対策にもなりますので、しっかりと予備試験の勉強に励むことで、弁護士資格取得に大きく近づくことができます。
司法試験本試験の合格率をみても、予備試験合格者の合格率は法科大学院出身者を上回っています。
20代で正社員への就職・転職
司法試験を受ける以外のルート
また、実例としてはかなり少ないものの、司法試験を受ける以外にも「検察事務官」を経て弁護士になるという道も存在しています。
検察事務官は、検察庁に勤める国家公務員で、被疑者の取り調べや公判の事務手続きなど、検察官をさまざまな側面からサポートする仕事です。
国家公務員採用試験を受けて検察事務官となり、一定年数の実務経験を積むと、検察官の階級の最も下位に位置する「副検事」になるための試験を受けることができるようになります。
試験に合格して副検事になり、そこから3年間勤めると、司法試験を合格した検察官と同等の「特任検事」になります。
さらに特任検事として5年以上勤めると、所定の研修を受けて弁護士になることができます。
国家公務員採用試験に合格することは容易ではなく、また採用後も長い年数がかかりますが、司法試験を受けなくてもいいというのは大きなメリットといえるでしょう。