溶接工になるには? 必要な資格はある?
溶接工になるまでの道のり
溶接工は非常に専門性の高い技術職です。
溶接を行うためには機材や材質に関する専門知識が必要不可欠ですし、火や電気や圧力を安全に取り扱うための高い技術力が求められます。
溶接に使用する材料や機材に関する専門知識と高い技術力がなければ、火傷や視力低下などの大怪我につながるような事故を引き起こしてしまう危険性もあるのです。
未経験者や全く知識がない人が熱意だけで採用されるという業界ではないので、この職業をめざすのであればどの学校に通うか、どのような資格を取るかを計画的に考えておくことが大切です。
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溶接工の資格・難易度
資格取得は必須
溶接工として働く上では、資格の取得も重要です。
溶接工をめざす人は、日本溶接協会が全国各地で評価試験を行った上で認証している「溶接技能者」の資格を取得することになります。
この資格は扱う材質や溶接の手法によって細かく分野が分かれていますが、代表的なものとして知られているのは「ガス溶接」や「アーク溶接」です。
ガス溶接
可燃性ガスと酸素が燃焼する際に発生する熱を利用して溶接を行う方法です。
14時間の講習を受けることが必要で、学科と実技の両方をクリアできれば資格を取得することができます。
アーク溶接
空気中の放電(アーク放電)を利用する溶接方法です。
11時間の学科と10時間の実技をクリアできれば資格を取得することができます。
その他の資格
この他にもさまざまな分野があり、「半自動溶接」「ステンレス鋼溶接」「チタン溶接」「プラスチック溶接」「銀ろう付」「すみ肉溶接」「基礎杭溶接」「石油工業溶接」などの専門資格があります。
資格取得のための条件が異なるので、日本溶接協会のホームページをチェックするとよいでしょう。
資格取得の費用
溶接技能者の資格を取得するには、それぞれ異なる費用がかかります。
学科の受験料金は一律で1080円ですが、それに加えて、受講する資格の種類によって必要な費用が異なるため注意が必要です。
全国各地の産業技術センターやポリテクセンターなどが会場となり、試験は一年を通して行われています。
各地区の溶接技術検定委員会に問い合わせて受験申請書を入手し、試験日の35日前までに申し込みが必要です。
また、当日は実技試験があるため、作業着や安全用の防具、工具類などを個人で用意する必要があります。
溶接工になるための学校の種類
一般的には、全国に点在している公共の職業訓練校に通って知識を身につけ、卒業してから就職をします。
具体的なカリキュラムとしては、材料力学や製図、溶接法や測定法などがあります。
また、溶接機の使い方や、手作業での溶接、機械を使った溶接についても実習を行います。
職業訓練校以外にも一部の私立大学や専門学校で溶接工養成のためのコースを設けていることがありますが、数としては非常に少ないため、職業訓練校を選ぶ人が多いのが現状です。
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溶接工に向いている人
溶接工はハードな肉体労働をする職業です。
溶接の過程では鋼材と呼ばれる金属の板を切断する作業や、その断面をハンマーで叩く作業があり、重くて大きいものを扱わなければいけません。
仕事中は立ちっぱなし、あるいはかがんだ姿勢を保つこと多く、身体を動かすことが好きで体力には自信があるという人のほうが向いています。
また火や電気や圧力、ガスといった危険を伴うものを取り扱うことから、慎重に、確実に物事を進められるタイプの人のほうが適しているといえるでしょう。
溶接工のキャリアプラン・キャリアパス
非正規雇用からのスタートも
溶接工は企業で正社員として働いている人もいれば、契約社員や派遣社員といった非正規雇用で働いている人もいますが、特に多いのが派遣社員です。
溶接工の資格を取得している人や、職歴がある人だけが登録できる溶接工専門の人材派遣会社に登録をして、そこから派遣される形で働きます。
もともと溶接は工場や建築の現場などで必要とされる技術であることから、大型の案件が入って人手が必要なときだけ臨時で溶接工を雇いたいと考えている企業が多いのです。
こうした企業にとって、派遣の溶接工は重要な戦力となります。
また、新人で「ひとつの工場や現場で同じ作業を続けるよりも毎回違う経験をしてみたい」「さまざまな職場でいろいろなチームと仕事がしたい」と考える人にも向いています。
派遣社員の働き方
たとえば、「自動車の生産工場で受注が増えており、溶接の人手が足りないので短期間だけ現場に入ってほしい」という依頼が来た場合、まずは派遣先で担当する業務の具体的な内容を確認します。
雇用の期間がいつまでなのか、勤務時間や休日はどのような取り決めになっているのか、給料はいくらか、などの労働条件を派遣会社とすり合わせていきます。
派遣される企業が遠方である場合は、その期間の住居の問題も重要です。
ビジネスホテルや旅館の一室を提供してもらえるのか、独身寮やウィークリーマンションに入居できるのかを確認し、さまざまな条件に納得がいけば仕事を受けます。
派遣の場合は、周囲の人たちとの連携が必要であるため、コミュニケーションを大切にして仕事をすることが大切です。
溶接工を目指せる年齢は?
溶接工として少しでも働いたことがある人の場合は、中途採用されることもあります。
この業界は年齢よりも実力を重視する傾向があるため、「職業訓練校を卒業した」「資格を取得した」「数年間の就業経験がある」などの条件が揃っていれば即戦力として採用されるでしょう。
溶接工は高卒から目指せる?
溶接工を目指す際には職業訓練校に通うことが多いですが、これは中卒や高卒の人、社会人として働いた後に離職して転職を目指す人など、門戸が広いです。
実際に就職する際も、溶接に関する資格を取得していれば、学歴はほとんど問われないでしょう。
溶接工は女性でもなれる?
男性の活躍が目立つ業界
ものづくりに携わる製造業は、昔から男性社員の比率が高く、特に溶接工の場合は肉体労働であることや技術職であることから圧倒的に男性が多い世界として知られていました。
しかし、女性がこの溶接工になれないというわけではありません。
資格があり技術を身につけている人であれば、性別に関係なく仕事をすることができます。
まだまだ圧倒的に男性の活躍が目立つ業界ではあるのですが、最近では少しずつ女性の活躍も広がってきています。
女性ならではの大変さ
もちろん、性別に関係なく仕事ができるとはいっても、女性ならではの大変さはあります。
溶接の手法や扱う製品によっても異なりますが、鋼材と呼ばれる金属の板を運んだり加工したりする作業ではある程度の体力がなければ厳しいでしょう。
一日中立ちっぱなしやかがみっぱなしで作業をすることも多いので、足腰が強くなければなかなか務まりません。
その反面、もともとスポーツをしていて体力や持久力には自信があるという女性であれば、こうした仕事も苦にならないでしょう。
また、男性よりも肌へのダメージを気にする女性にとっては、溶接によって火傷をしてしまった日焼けしたりすることを苦痛に感じることも多いです。
苦労や大変さについてもしっかりと把握した上で、この業界に飛び込んだほうがよいでしょう。
長く続けられる期待も
女性にとって厳しい一面もある溶接工の仕事ですが、確かな技術を身につけられるという意味では長く続けていける職業ともいえます。
一般的な事務仕事とは違い、専門の知識や技術がなければ就くことのできない仕事なので、一度この分野で実績を積めば転職や再就職の際にたくさんの可能性が広がります。
「一生続けられる仕事がしたい」「技術を磨き上げてスペシャリストになりたい」という目標がある女性にとっては、挑戦する価値のある仕事といって間違いないでしょう。