養護教諭の需要・現状と将来性
養護教諭の現状
養護教諭が携わる業務は、健康診断や傷病の手当にとどまらず、学校全体の衛生管理や保健指導、校医や校外の専門家(スクールカウンセラー等)との連携など多岐にわたります。
また、近年では常時保健室にいるか、学校にいる間は主として保健室にいる「保健室登校」の子どもたちも増加しており、その支援も養護教諭の大切な職務の一つとなっています。
日本学校保健会が発表している「保健室利用状況に関する調査報告書(平成28年度調査結果)」によれば、保健室登校の年間の平均人数は、小学校1.9人、中学校2.9人、高等学校2.8人となっています。
さらに、調査期間中の1校あたりの1日平均保健室利用者数は、小学校22.0人、中学校19.0人、高等学校19.8人と発表されています。
これだけの児童・生徒への対応に加え、教職員や保護者が情報共有などを目的に保健室を利用することもあり、養護教諭は日々さまざまな業務に追われています。
養護教諭は各学校に一人しか配されていないというケースがほとんどであり、多忙を極めている人が多いのが実情です。
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養護教諭の需要
養護教諭は、851人以上の小学校、801人以上の中・高校、61人以上の特別支援学校でなければ二人以上の体制で配置されません。
そこで、複数配置の拡充を求める声が上がっています。
日本学校保健会による調査でも、養護教諭が複数配置されている学校のほうが児童・生徒の来室数が多く、保健室の先生に心身の状態について訴えやすくなっていることがわかっています。
また、教員も子どもたちの健康状態について共通理解を図るために来室するようになり、連携した指導ができるようになっているといえます。
このように、複数配置によって児童・生徒の健康が守られ、教育的効果も高まるために、養護教諭の採用数は少しずつ増えると思われます。
しかしながら、現状では養護教諭の採用試験は狭き門で、10倍を超える倍率となることも珍しくありません。
そのため、非正規雇用で働きながら、正規雇用を目指す人も少なくありません。
養護教諭の将来性
養護教諭の負担増や、保健室の需要拡大などに伴って、養護教諭の複数配置を求める動きが強まっているのは確かです。
しかしながら、現在の日本では少子化が勢いよく進んでおり、多くの学校での児童・生徒数も減少傾向にあります。
子ども達が少なくなっていくということは、学級数も減り、学校の統廃合も進んで、教員の数も少なくなることが予想できます。
当然、養護教諭も教員の一員ですから、採用定数が爆発的に増えるという希望的観測は持ちづらいのが現状です。
これから養護教員を目指す人にとっても、やや厳しい状況であることは否めませんが、養護教諭に対する期待は非常に高まっています。
とくに最近では看護の専門知識を有する人材が歓迎されるケースが増えており、看護師の資格を持って養護教員として働く人もいます。
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養護教諭の今後の活躍の場
養護教諭は、学校の先生の一員であるため、活躍の場は基本的に学校に限られてきます。
しかし、学校といっても全国各地にありますし、公立だけでなく私立学校でも養護教員は求められています。
養護教諭は、ケガや病気の手当てをするだけでなく、子どもたちが抱える心の問題や日常生活上のちょっとした悩みに寄り添い、心身ともにケアするプロフェッショナルでもあります。
学校には欠かせない「保健室」という場所から、子どもたちの成長を助けていく重要な役割を担うことは今後も変わりません。
看護や心理カウンセリング、保育、福祉など、関連する分野についての学びも深めていくことによって、よりさまざまなケースに対応できる貴重な人材として活躍できるでしょう。