鳶職人のやりがい・楽しさ・魅力
鳶(とび)職人のやりがい・楽しさ
完成した足場や建造物を見たとき
鳶職人が最もやりがいを感じる瞬間、それは自分がつくった足場や建物が完成した姿を見たときです。
ビルなどの高層建築物をつくるためには、たくさんの足場や鉄骨を組み上げることが必要であり、鳶職人は厳しくつらい作業をコツコツとくり返さなければなりません。
すべての作業を終えて、地上からその完成物を見たときには、「こんなスケールの巨大なものを自分がつくったのか」という驚きと、大きな感動が得られるといいます。
足場は、工事が終わればすべて撤去されますし、鉄骨も内壁のなかに隠れますので、目に見える形で鳶職人の仕事が残るわけではありません。
しかし、鳶職人の仕事は、ほかの建築作業すべての基礎となるものであり、鳶職人なくして建物は建ちません。
建築工事からある程度の時が過ぎて、その建物を目にしたときも、「自分も建築にたずさわったんだ」という大きな誇りを感じるでしょう。
高い場所で感じられる解放感
鳶職人の仕事の最大の特徴は、高い場所での作業が非常に多いということです。
ときには地上数百メートルという、日常生活ではほぼ体感することのない、目のくらむような高さに身を置くこともあります。
そうした現場に命綱1本で働き続けることは、大きな危険が伴います。
しかし、特殊な環境だからこそ、鳶職人にしか感じられない解放感があります。
職業名のとおり、高い場所を飛び回っているとき、鳥のように自由を感じるという職人も少なくありません。
職場環境そのものから得られる楽しさや面白さが、鳶職人の仕事のやりがいです。
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鳶職人の魅力
とぎすまされた雰囲気が身につく
鳶職人の仕事には、常にひりつくような緊張感がつきまといます。
高い場所での作業は、ほんの少しの判断ミスが大事故につながる可能性があり、自身のみならず、ほかの職人や通行人に被害を与えてしまうかもしれません。
鳶職人は、仕事をしている間は一瞬も気を抜くことのないよう、いついかなるときも、神経をとぎすませて作業に当たる必要があります。
安全かつ確実に、プロとして仕事をコツコツと進める表情は、真剣そのものです。
毎日そうした緊張感のなかで働き続けることによって、鳶職人は、厳しい表情と独特の空気を身にまとうようになります。
それは若い人であっても同じであり、年齢以上の風格が感じられることもあるでしょう。
身体がきたえられる
鳶職人は、さまざまな建設関係の職業のなかでも、身体のありとあらゆる筋肉を使う仕事です。
重いものを運ぶ際には腕力を使いますし、はしごなどの昇り降りでは脚力を、荷上げでは背筋や胸筋を使います。
高い場所や足場の悪い場所では、全身のバランスを取るために、「インナーマッスル」と呼ばれる体幹の筋肉を使い続けることになります。
こうした作業を毎日続けることによって、自然と身体中の筋肉がきたえられるのも、鳶職人の仕事の魅力です。
とくに、元から筋トレなどが好きという人にとっては、働きながらトレーニングも同時にできる鳶職人は、一石二鳥の職業といえるでしょう。