セラピストになるには
セラピストになるまでの道のり
セラピストになる方法は決まりきったものではなく、さまざまな道のりが考えられます。
必ず通わなくてはならない学校や、セラピストと名乗るために取得必須となる資格はないため、どのような方法でセラピストになるかは人それぞれ異なってきます。
ただし、セラピストになる方法を大きく分けると、「知識・技術を学ぶためにスクールなどに通う方法」と、「未経験でサロンなどに勤めてから社内研修で必要スキルを学ぶ方法」の2つが挙げられます。
どちらでもセラピストになることは可能ですが、前者では確実に基礎的な知識・技術を身につけてからじっくりセラピストを目指すことができますし、後者であれば早く現場に出て実践力を身につけやすいといった特徴があります。
また、どこかのサロンに勤めることなく、独立開業して働く人もいます。
20代で正社員への就職・転職
セラピストの資格・難易度
セラピストとして働くうえで、絶対に取得しなくてはならない資格はありません。
ただし、ひとことで「セラピスト」といってもさまざまな種類のセラピストがおり、働き方によっては資格が必要なこともあり、資格を取得することで、それを生かした施術を行うことができます。
たとえば、心理系のセラピストとして働くのであれば「臨床心理士」や「公認心理師」の資格が役に立つでしょう。
臨床心理士は民間資格、一方の公認心理師は国家資格で、どちらも心理の専門家としての高度な専門知識を持っていることが証明できる資格です。
臨床心理士や公認心理師になると、医師の指導の下で患者に対して精神療法を行うことも認められており、精神療法のスペシャリストともいえます。
ただし、これらの資格を取得するには、大学や大学院で心理学を専門に学び、資格試験を受けて合格しなくてはなりません。
資格取得までの道のりはやさしいものではありませんが、取得すれば医療・教育・産業・福祉など、幅広い領域で活躍するチャンスが得られます。
これら以外のセラピストの資格の多くは、基本的には民間団体の講座や提携校で勉強することで技術を学ぶことができます。
アロマテラピーアドバイザー
どんな資格?
セラピストの資格として認知されているものの中に、「公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)」が認定している「アロマテラピーアドバイザー」の資格があります。
アロマテラピーアドバイザーの資格は、日本アロマ環境協会が認定する「アロマテラピー検定」の上位資格で、アロマテラピー検定1級に合格した人のうち、アロマテラピーアドバイザー認定講習会を受講するか、アドバイザー認定スクールにて標準カリキュラムを修了した人に与えられます。
この資格を得ると、今度は同団体が主催する「アロマテラピーインストラクター」や「アロマテラピスト」の資格試験を受験することができます。
AEAJのその他の資格
AEAJでは、アロマテラピーインストラクター以外にも、さまざまなアロマ関連の資格認定を行っています。
そのなかには、講習会の受講も含め、数万円程度で取得が可能なものもあります。
しかし、AEAJ認定の資格は、技術や知識を証明する資格としてひとつの目安とはなりますが、この資格がなければ開業できないというわけではありません。
実際、AEAJ以外の団体からもアロマテラピスト認定証は発行されていますし、独自に教えているサロンやスクールも数多くあります。
セラピストになることを考えた時に、あると有利に働く資格のひとつくらいに思っておくとよいでしょう。
臨床心理士
学校や病院、企業、官公庁、福祉の現場などで心理カウンセリングや心理セラピーを行うには、臨床心理士の資格が必要になることがほとんどです。
臨床心理士の資格を取るには、心理学科のある大学を卒業し、その後大学院で心理学を専攻するのが一番の近道です。
また、医師免許取得者で必要な心理臨床経験を2年以上持つ人も、臨床心理士資格試験の受験資格があります。
臨床心理士になると、患者さんへの施術が公に認められ、ときには医師の指導の下、必要な精神療法を行うこともあります。
本格的に心理学を学び、心理療法、精神療法のスペシャリストになりたいと思う人は、臨床心理士の資格習得を目指すことをお勧めします。
このほか、最近では「公認心理師」という心理職で唯一の国家資格の制度もスタートしています。
公認心理師は、臨床心理士と同様のフィールドで活躍することができ、社会的な評価や信頼度も非常に高いものとなっています。
なお、似たような資格として「心理療法士」がありますが、こちらは他のセラピスト同様、民間団体の独自資格で、学校や病院、企業、官公庁、福祉の現場などで働くことは普通ありません。
その他にもさまざまな資格がある
ここまで紹介した以外にも、さまざまな団体がセラピスト関連の資格認定を行っています。
いくつか名を挙げてみましょう。
・整体セラピスト
・スピリチュアルセラピスト
・スパセラピスト
・パワーストーンセラピスト
・ホットストーンセラピスト
・育児セラピスト
・森林セラピスト
・ヨガセラピスト
・薬膳セラピスト
・アーユルヴェーダセラピスト
など。
これ以外にもたくさんの民間資格があるため、どの資格を取得すればよいのか迷ってしまう人も多いはずです。
資格ごとに身につけられる知識・技術は異なるため、各団体のホームページやパンフレットなどをよく確認して、自分の目指すセラピスト像に合うものを探してみてください。
セラピストになるための学校の種類
セラピストになるための代表的な学校としては、民間のセラピスト養成講座やスクールが挙げられます。
とくに「リフレクソロジー」といわれる種類のサービスを提供するセラピストを目指す人の多くが、このような民間のスクールに通っており、大学や専門学校で何年もかけてセラピーの勉強をする人はそれほど多いわけではありません。
ただし、心理セラピストとして専門性を生かして活躍したい場合には、大学で心理学を学び、さらに大学院へ進んで「臨床心理士」や「公認心理師」になるための勉強をすることができます。
整体などを行う「ボディ系セラピスト」を目指す場合には、整体関連の専門学校で「柔道整復師」の資格を取得する人もいます。
また、セラピストのなかでもアロマを使った施術をする「アロマセラピスト」になるには、民間資格の認定校や通信講座、サロン運営のスクールなどで、アロマテラピーの基礎と技術を勉強することが望ましいといわれています。
アロマテラピーで使用する精油のなかには妊婦や特定疾患者への使用を禁じるものがあり、専門的な知識を持つことが求められます。
そのため、アロマセラピストに関しては、スクールや通信講座などで基礎を勉強して正しい知識を身につけておくほうがよいでしょう。
アロマセラピストは人気があるため、多くの民間団体・スクールが講座を開いています。
まずは自分がどのようなセラピストになりたいのかを考え、カリキュラムや学費などを比べながら、自分に合う学校・スクールを選んでください。
セラピストになるための学校と費用(大学・専門学校・スクール)
20代で正社員への就職・転職
セラピストに向いている人
人と触れ合うのが好きな人
セラピストは人を癒やす職業ですが、同時に接客業でもあります。
お客さまは心身の不調を取るのと同時に癒されたいという目的を持ち、施術を受けに来ます。
その際セラピストに求められるのは、お客さまの話を聞く技術、そして親身になってお客さまと向き合うことです。
人が好きで、人との触れ合いを楽しめることは、セラピストに必要な要素のひとつだといえるでしょう。
心身ともに健康な人
一般的にセラピストの仕事は体力的にも精神的にもハードな場合が多いです。
また、訪れるお客さまは病気や問題を抱えている方が多く、その対応に当たるセラピストには心身ともに健康であることが求められます。
自分自身が健康であることで、初めて相手を癒すことができるといえるでしょう。
セラピーに対して勉強熱心な人
セラピストの技術は日々進歩しています。
その中で時代に置いていかれることなく、一定の技術力を持ち続けるには、セラピスト自身が勉強熱心でなくてはなりません。
ある一定の技術を身につけたからと満足するのではなく、良いものはどんどん取り入れていこうという貪欲さを持った人、勉強熱心な人が求められます。
セラピストのキャリアプラン・キャリアパス
先に挙げた通り、セラピストになるまでの道のりは人によって異なり、また一人前になってからの働き方もそれぞれで違います。
一般的には、セラピストの養成講座やスクールでセラピーの基礎知識・技術を身につけ、一定のスキルを身につけてからサロンで勤務する人が多いようです。
その後、現場で働きながら自主的に、あるいは社内研修などの場でさらに勉強を続け、セラピストとしてさらなるステップアップを目指していきます。
このほか、サロンに勤務せずにフリーランスや独立開業して働く人もいます。
既存のサロンに間借りしながら業務委託として働いたり、あるいは自宅の一部をサロンとして営業したりする人など、いろいろなキャリアパスがあります。
なかには海外留学をし、現地でセラピーを学んでそのまま海外のサロンに勤務するような人もいます。
セラピストの雇用形態
セラピストのおもな雇用形態としては、まず、サロンなどに就職し、フルタイムで勤務する正社員や契約社員がいます。
しかし、リラクゼーション業界ならではの特徴として、「業務委託」による「完全歩合制」で働く人が非常に多いことがいえます。
業務委託の場合、従業員としてサロン等に雇用されるわけではなく、個人事業主として会社と業務委託契約を結んで働く形になります。
給料は毎月決まった金額がもらえる固定給ではなく、自分の指名や売上に応じて「〇〇%(契約内容によって異なる)」が手元に入る形となり、簡単にいえば、たくさん売り上げれば売り上げるほど収入がアップします。
このほか、独立して自分でサロンを開業する人、パートタイムで短時間の勤務をする人などもいます。
正社員のセラピスト
正社員のセラピストは、就職したサロンを運営する会社の社員として働きます。
お客さまへの施術はもちろんですが、それ以外にも店舗運営のための幅広い業務を任されることになるでしょう。
たとえばキャンペーン企画立案、販売促進、スタッフの教育・管理、その他さまざまな業務があります。
比較的大きな店舗では多くのスタッフを抱え、マネジメントに携わったり、実力と経験がつくと副店長、店長へとステップアップしていくことができます。
正社員の場合は給料が固定給で、年収300万円~400万円程度からのスタートとなる人が多いようです。
派遣のセラピスト
派遣という雇用形態は、セラピストの仕事ではそこまで多いわけではありません。
派遣では即戦力となれる専門的な知識・スキルが求められるため、すでにそういったスキルを持っている人は、どちらかというとフリーランスのセラピストとして働く道を選ぶのが一般的となっているようです。
ただし、一部の派遣会社ではセラピストの求人も扱っており、イベント会場や福祉施設など、セラピストが常勤していない施設へのスタッフ派遣を行うことがあります。
派遣で働くメリットは、単発でセラピストが求められる機会を生かして、さまざまな案件に挑戦することができることでしょう。
サロンに勤務するのとは異なり、イベントなどの場ではセラピーをよく知らない人にもセラピーの魅力を伝えることができます。
派遣で働く場合の給料は、個々の実力や案件の種類によっても変わってきます。
アルバイト・パートのセラピスト
サロンによっては、アルバイト・パートのセラピストの求人を出すところもあります。
アルバイト・パートの場合、スタート時点で正社員ほど知識・技術は求められないこともあり、未経験から仕事を始められる職場もあるようです。
スキルにあまり自身がない人や、まずはセラピストの仕事に触れてみたいという人などにとっては、魅力的な働き方といえるかもしれません。
学生のうちにアルバイトでセラピストを経験し、卒業後に正社員として就職するという道も考えられます。
店舗によっては、アルバイトとして経験を積むことで認められると、そのまま正社員にステップアップできる制度を設けているところもあるようです。
アルバイト・パートの給料は時給制が基本で、時給1000円程度からスタートすることが多いようです。
ただし、スキルアップすることで、アルバイト・パートでも高収入を得ることも不可能ではありません。
フリーランスのセラピスト
セラピストの働き方として主流といえるのが、フリーランスです。
フリーランスになった場合の仕事の仕方は人それぞれ異なり、お客さまを見つけて自宅の一部を使って施術をする人もいれば、出張セラピーをする人、あるいはサロンと業務委託契約を結んでサロンを間借りしてセラピーをする人などもいます。
また、セラピストのスクールの講師として働いたり、企業と契約してイベントでセラピーのデモンストレーションをするなど、いろいろな働き方があります。
フリーランスの場合は、自分がどれだけ仕事をしたかによって収入が大きく変動します。
一つひとつの仕事で手に入れられるお金(報酬)も基本的には自分で決定できるため、やりようによっては社員として働く人よりもたくさんの収入を得られるでしょう。
副業・在宅のセラピスト
セラピストはフリーランスで働く人が多いため、副業としてやっていくことも不可能ではありません。
ただし、本業のほうで副業が認められているかどうかは事前に確認しておく必要があります。
副業のやり方としては、平日の日中に本業の会社員として働き、平日の夜間や週末を使ってサロンで働く方法、フリーランスとして異業種の仕事をしながらセラピストの知識・技術も生かして活動する方法などがあります。
また、すでにリラクゼーションサロンなどを経営しながら、収入を増やすために副業で出張セラピーなどを行う人などもいます。
セラピストを目指せる年齢は?
セラピストとして活躍するうえで、年齢はほぼ関係ないといえるでしょう。
サロンによっては若い女性のスタッフを中心に採用しており、年齢を重ねてからの就職は難しい場合があります。
ただし、意欲や向上心があれば年齢不問で働けるサロンもありますので、年齢が高くなると働けないわけではありません。
お客さまの年齢層も、若い人から年配の人まで幅広いため、キャリアを重ねた落ち着いた雰囲気のセラピストが好まれるシーンもあります。
また、この仕事はフリーランスなど個人で働く人も多く、その場合はとくに年齢が関係なくなります。
セラピストは、世間のイメージや見た目の優雅さとは異なり、心身ともにハードな要素もある仕事ではありますが、本当にセラピストになりたい気持ちがあれば、いくつになってもセラピストの勉強をし、お客さまと向き合うことができます。
セラピストは高卒から目指せる?
セラピストとして働くうえで、学歴が問われることはほとんどありません。
何よりもセラピストとしての専門的な知識・技術が大事であり、学生時代に優秀な成績であったり、高学歴だったりするからといって、働くうえで有利になるわけではありません。
ただし、一部の心理セラピストの資格(臨床心理士、公認心理師)の取得を目指すのであれば、特定の大学・大学院で学ぶ必要があります。
それ以外のセラピストの民間資格は学歴不問で受験できるものがほとんどですし、セラピストの養成講座やスクールの大半も学歴関係なく入学することが可能です。
セラピストの求人・募集の状況
セラピストの就職先にはどんなところがある?
一般的に、セラピストとしての求人がよく見られるのは、マッサージや整体などを施術するボディ系セラピストになります。
勤務場所は、マッサージ店やエステサロン、整体院、接骨院、ホテル、温泉施設などが中心です。
求人への応募は未経験者でも可能な場合が多く、未経験の場合は採用後に必要スキルを研修で学びます。
そして、社内研修の流れで必要な資格を取得できることもあるようです。
一方、精神系・メンタル系セラピストの募集はあまり多くありません。
これらのセラピストは大抵の場合、先生について技術を習得したのちに開業、もしくは先生の下で修業を兼ねて働くといった形が一般的なようです。
この募集状況の違いは、ボディ系のセラピーが一般的に普及しておりニーズがあるのに対して、精神系・メンタル系のセラピーはそこまで普及していないことがあげられます。
セラピストの求人の状況
この業界では、専門知識・技術のあるセラピストは即戦力として重宝されます。
年齢はさほど関係なく、実力によっては若くても良い条件で働ける場合がありますし、独立も目指せます。
そのため、自分の頑張りによってどんどん活躍したい人にはチャンスが大きく、もし何らかの事情で一度は仕事を離れた場合にも、経験があれば再就職しやすい業種だといえます。
しかし、正社員としての募集は非常に少なく、アルバイトや業務委託といった不安定な形で働く人もたくさんいます。
このような状況から、比較的早く独立し、自宅の一部屋を使って小規模なリラクゼーションサロンを開く人も多いようです。
セラピストの就職先の選び方
ストレス社会といわれる現代において、セラピストの需要はさらに大きなものになっているようです。
しかし、セラピストには民間資格が多数乱立する状態となっており、人によって学んできた内容もさまざまであることから、なかにはセラピストを名乗っていながらも、未熟な技術の持ち主も多く見られるのが現状です。
また、セラピーのサービスを提供する会社が多い地域では、価格競争の面からセラピストに過度の労働や低賃金を強いるといった問題も発生しています。
セラピストとして就職先を探していくときには、勤務する会社の実態や評判をよく確認しておくことをおすすめします。
セラピストの志望動機・面接
セラピストを目指す人の多くが、自分自身リラクゼーションに興味があり、人を癒したいという思いを持っています。
具体的な志望動機は人によって違って構いませんが、基本的には「セラピストになる意欲」「リラクゼーション産業の担い手になりたい気持ち」「ハードワークであっても頑張る覚悟」を伝えるとよいでしょう。
この仕事は未経験からスタートする人もたくさんいます。
大切なのはキャリアや勉強してきたことではなく、将来的に長く続ける意思があるということと、困難な状況でもくじけずに頑張る気持ちでいるということです。
ハードワークな割に給料はあまり高くなく、離職率も多いセラピストです。
志望動機や面接の自己PRの場では、セラピストの仕事に本気で取り組みたい思いと、長く続ける気持ちがあるということをアピールすることが大切です。
セラピストという職業を憧れだけでとらえるのではなく、どんな苦労があってどんな魅力があるのかなどについて、自分の中でしっかりと理解しておきましょう。
就職先はどのように探したらいい?
セラピストの就職先の探し方として最も効率的なのは、リラクゼーション業界に特化した求人サイトを使うことでしょう。
そこにはセラピストという職種での求人が多数掲載されていますし、全国各地の求人を一気に探すことができるため、とても便利だといえます。
また、希望の勤務日数や給与なども入力し、自分の希望に合う求人を探しやすくなっています。
このほか、サロンのホームページ上に、直接求人情報が掲載されることもあります。
また、求人広告などには掲載していなくても、タイミングによってちょうど人手を欲していたということもあるかもしれません。
もし働きたいサロンがあればサロンの情報をチェックし、電話などで問い合わせてみるとよいでしょう。