消防士の退職金はどれくらい? 年金はある?
実際の支給額は自治体や個々の勤務状況によって異なりますが、通常、定年まで働けば、1000万円を超えるまとまった金額が手に入ります。
この記事では、消防士の退職金の仕組みや金額、また年金の特徴について紹介しています。
消防士の退職金の特徴
消防士は地方公務員となるため、基本的には各自治体の条例に沿った形で「退職金(退職手当)」が支給されます。
地方公務員の退職金の額は各自治体によってバラつきが見られます。
一概にはいえませんが、一般的には都市部のほうが退職手当は高額になる傾向があります。
ただし、ほとんどの自治体では「勤務年数」と「技能水準」を基準として退職手当を支給していくため、できる限り長く勤務し、上級の役職に就くことで、より高額の退職手当を受け取ることができます。
公務員のなかでも、消防士の退職金は比較的多いといわれがちですが、これには理由があります。
一般的な消防士、つまり消防吏員の就職から退職までを考えてみると、ほとんどの消防吏員は20代前半、場合によっては高校卒業直後の10代後半に働きはじめ、そのまま定年まで働き詰めるケースが多く見られます。
こうしたことから、勤務年数はほとんど上限に到達してから定年退職になるケースが非常に多く、退職手当も比較的高額になる傾向があります。
つまり、消防士という職業がほかの地方公務員と比べて特別に退職手当が多いわけでなく、長く務めやすい職場環境が要因となっているといえます。
参考までに地方公務員の退職金の額を見てみると、令和5年度の退職金の額は、全職種(全地方公共団体・定年退職者以外も含む)での平均が約1229万円です。
地方公務員の退職手当の算出方法
消防士を含む地方公務員の退職手当については、基本的にはどの自治体でも以下の算出方法となっています。
以下で詳しく説明します。
支給率とは?
支給率は勤続年数と退職理由で決まります。
たとえば、定年退職の場合ですと45年間の勤務では59.28%、自己都合退職では20年勤務で23.5%、10年勤務で6.0%となっており、整理退職は最も比率が高く、20年勤務で32.76%、30年勤務で50.7%となっています。
この支給率は地方公務員法で定められており、どの自治体でも同じ数字です。
調整額とは?
調整額とは、「勤務年数だけでなく職務内容や技能でも職員の貢献度を評価し、退職金に反映させよう」という制度です。
公務員の月額給与は号と級によって評価されますが、職員の技能水準を表す級が高いほど調整額が上がる仕組みになっています。
調整額は各自治体によって異なり、さらに一部の自治体によっては調整額に加え、退職の際に特定の役職にさまざまな手当を支給する場合もあります。
したがって、消防士の退職金はやはり地域によって大きな差が生じてきます。
消防士の年金
消防士には年金もあります。
消防士などの地方公務員は、以前は「共済年金」といわれる年金制度に加入していましたが、2015年10月に「厚生年金」に統合され、共済年金は廃止されました(ただし、2015年9月までに共済年金を受け取っている場合は引き続き支給されます)。
これによって、消防士は民間企業に勤める人と同じように、1階建て部分にある基礎年金に加え、2階建て部分にあたるものは厚生年金の支給を受けることになります。
現在、年金の受給は65歳からとなっていますが、高齢化社会が進むなかで受給年齢は段階的に引き上げられており、また希望すれば受給時期の繰り下げや繰り上げが可能です。
こうした消防士の年金制度は、納めた保険料に応じて年金を受け取るという基本的なしくみは他の人と同様です。
基本的に加入期間が長く、平均給料が高いほど年金額は増えます。
このほか、病気や不慮の事故等によって、地方公務員として働いていた人が他の家族より先に亡くなった場合には、遺族に対して「遺族年金(遺族厚生年金)」というものが支給されます。
「消防士の退職金・年金」まとめ
消防士は地方公務員として、各自治体の条例に沿ったかたちで退職金が支給されます。
長く働けば働くほど金額は上がっていきますが、実際の支給額は、自治体によって大きな差が出ることが多いです。
厚生年金にも加入するため、65歳以降(受給年齢は引き上げ、また繰り下げ・繰り上げもあります)は収めた年金保険料に応じた年金をもらうことができます。