消防士はどんな訓練やトレーニングをしている?

消防士にとっての訓練とは

消防士は、日々さまざまな訓練を行うことによって身体を鍛え、消防士としての技能レベルを向上させています。

訓練は、一人前の消防士になるための基礎研修として行われるだけでなく、実際に現場に配置されてからも基本的に毎日行われます。

消防士の訓練の内容は実際の災害や事故を想定したものも多く、ロープや梯子などを使った日常的な訓練のほか、川など特殊な地形での訓練も行われます。

消防士が緊急時にも冷静に活躍できるのは、日頃の訓練のたまものといってよいでしょう。

おもな訓練の内容

消火・救急訓練

火事や地震に備えて行う出動や救助訓練といった基礎的な訓練から、テロ災害対策などの特殊訓練まで、さまざまなテーマに沿ってプログラムが組まれます。

たとえば、梯子やロープをかけて昇り降りする訓練やポンプ車を使った消火訓練などは、消防士が日常的に行っている訓練です。

消火ひとつとっても、住宅密集地での消火の仕方と、中低層ビルが多く建ち並ぶエリアでの消火の仕方とでは、まったく違ったものとなります。

したがって、消火訓練では風向き・地勢、発生時の季節や時間帯などを想定して、ケース別に細かく行っていきます。

また、超高層ビルやタワーマンション、それ以外の高所、地下街、住宅密集地、特殊な地形などを想定した消火活動も、地域の実情にあわせて消防署ごとに綿密な訓練が実施されています。

近年では、首都圏近郊での活断層がクローズアップされ、大規模な地震が起こる可能性も高まっているといわれます。

そのため、自然災害における災害の危険度などを示した「ハザードマップ」を取り入れた緊急時の消火・救急訓練なども行われています。

体力づくり

消防士は、勤務中でも出動がない時間帯などには、積極的に体力増強のための訓練を行っています。

消化の現場では重い防火服や酸素ボンベをつけて行動しなくてはなりません。

したがって、スクワット、腹筋、腕立て伏せといった筋力トレーニングはもちろん、長距離走などもとくに持久力をつけるための訓練が意識的に行われています。

地域状況の調査

地震に備えるという意味では、地域状況の調査も重要な事項です。

所轄地域の地図や地勢を見極め、無駄なくスムーズに火事現場に急行できる体制を保つため、裏道、行き止まり、工事中・通行止めなどの最新状況を常に確かめます。

また、消火栓や防火水槽が迅速に使える状態にあるかも同時にをチェックしています。

「訓練」というと、梯子車やポンプ車を使ったものをイメージしがちですが、それだけでは完全な消火体制を整えたことにはなりません。

「地域の今を正しく知ること」も、訓練のひとつです。

トレーニングも日常的に行われている

消防士は、訓練以外にも日々トレーニングを積んでいます。

多くの消防士は24時間勤務と非番を繰り返す勤務体制で、不規則な生活になりがちですが、出動や訓練の合間をぬって筋力や持久力を保つためのトレーニングをすることになります。

トレーニングの内容としては、プッシュアップ(腕立て伏せ)・スクワット・腹筋・ハンドクリップなどの筋力トレーニングが中心です。

このほか、持久力トレーニングも筋力トレーニングと同じくらい重視しています。

消防士が火災現場に突入する際に着る防火服と酸素ボンベは20キロをゆうに超える重量で、一般人ではとても満足に走ることもできません。

消防士は重たい防火服を着た上で1秒でも早く生存者を救出し、場合によっては意識のない人間を背負って全力で走り抜けなければならないため、並大抵の持久力では仕事になりません。

そのため、消防士は重りを背負った状態での長距離走など、日々実践的な持久力トレーニングを行なっています。

このようなトレーニングは自主性に任されている部分もありますが、厳しい訓練をこなすためにも、主体的に身体を鍛えておくことは不可欠といえます。