女性の消防士のキャリアパス・結婚後の生活
女性の消防士の現状
消防士は強靭な体力が必要な職業であるため、どうしても男性職というイメージが強いかもしれません。
実際、消防官全体で見たとき女性の割合はわずか数パーセントほどですが、最近ではどこの自治体でも女性の消防官の数が徐々に増加傾向にあり、2017年には全消防官に占める女性消防官の割合が6.5%にまで上昇しています。
1999年の男女雇用機会均等法の改正が追い風となり、とくに都市部を中心に少しずつではあるものの、消防署の採用において「女性枠」を設ける自治体も見られるようになってきました。
女性が消防士になるための流れは男性とまったく同じですが、女性枠を設けている自治体は限られています。
女性で消防士を目指していきたい場合、まずは各自治体の募集要項をチェックしてみましょう。
また、男性と同じく女性も消防官採用試験の受験資格として身長や体重の制限があるため、その点についてもよく確認しておくことが重要です。
女性の消防士の強み・弱み
女性の消防士の強み
男性に向いているといわれることもある消防士の仕事ですが、実際には女性の消防士が自分の個性や強みを発揮できる場面もあります。
たとえば、消防署では地域住民に火災予防を広めるためのイベントを企画することもあります。
それまで男性しかいなかった職場では、そこに女性ならではの視点を取り入れることで、新しいアイデアを形にしていくこともできます。
また、救急の現場では患者さん本人のほか家族の人と接する機会も多くなるため、精神的に動揺してしまいがちな緊急事態に女性消防士の姿を見て、「女性がいてくれてよかった」とふと安心する人は多いようです。
女性ならではの柔らかな印象や親しみやすさは、地域の人々に安心感を与えるという意味で、大きな強みになるといえるでしょう。
女性の消防士の弱み
女性の場合、どうしても男性と比べて体力面では性差が出やすいため、消火活動や救助活動の第一線で働く女性消防士の数はまだまだ多くありません。
たとえば、消防署内の予防部で避難訓練の指導をしたり、防災の広報活動に携わったりと、デスクワークに就くケースがやはり圧倒的に多く見られます。
しかし、もちろん現場に出動する女性消防士もいます。
本人の熱意や体力、努力次第でデスクワーク以外の業務に携わることは十分に可能です。
消防士の結婚後の働き方・雇用形態
消防士は夜勤が含まれる交代制勤務をすることが多いですが、女性消防官の場合、交代制勤務をするのは全体の3割程度で、他の人は毎日勤務に携わるケースが多いようです。
働き方という面では、本人の意思や適性などによって男性とまったく同様に消防の最前線で働くこともできますし、日勤中心にして家庭と両立できるスタイルを選ぶことも可能です。
各消防署で女性消防士が少しずつ増えてきたことによって、女性が働き続けやすい職場環境づくりに積極的に取り組む職場も珍しいものではなくなりました。
30代や40代以上の女性消防士も多くなっており、若い女性の消防士は先輩に相談しながら仕事をすることができるでしょう。
消防士は子育てしながら働ける?
消防士は、夜勤の含まれない「毎日勤務」で働くことも可能です。
育児休暇を経て職場復帰する消防士もいますが、その場合の子育て中はそれまでの24時間体制での交替制勤務ではなく、朝から夕方までの業務となる毎日勤務で働くケースが多いようです。
また、育児短時間勤務制度を利用し、週3日で8時間勤務、週5日で5時間の勤務など、
出勤時間・出勤日数を育児の状況にあわせて選択することができます。
このほか、子どもが病気になってしまったときには看護休暇をとることができるなど、公務員である消防士にはさまざまな福利厚生も用意されています。
もちろん、職場や家庭の理解を得ることは大事ですが、子育てをしながらも仕事を続けることは可能だといえるでしょう。
消防士は女性が一生働ける仕事?
女性消防士が増えるにしたがって、女性に考慮した設備を備えた消防署も多くなってきているようです。
男性に比べるとどうしても体力的に劣りがちな女性消防官でも、救急救命士の資格を取得して救急業務に携わったり、消防車両を運転したり通信指令業務などに携わったりするなど、専門的なスキルを生かした業務に携わることができるチャンスは多々あります。
このほか、建築や法律の知識を生かせる予防業務や地域住民への防災指導、理系知識を生かせる調査業務、通訳などの国際業務など、幅広い業務で女性消防士が活躍しています。
多彩な業務がある消防士だからこそ、自分自身の仕事に対する目標はもちろん、結婚・出産といったライフステージに応じて、柔軟に働き方を変えていくことも可能です。
もちろん定年まで消防士として勤め上げることも可能ですし、意欲があれば女性も一生働ける仕事です。