スクールカウンセラーの1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説
スクールカウンセラーの業務スケジュール
スクールカウンセラーは非常勤職員として勤務することが多いため、決められたスケジュールに沿って、時給制で仕事をするケースがほとんどです。
通常、1年間の非常勤職員として採用をおこなっている自治体が多く、出勤は週に1回~2回程度で、開校日すべてに出勤することはめったにありません。
常勤としての採用が少ないこともあり、1人のスクールカウンセラーが2~3校ほどの学校を掛け持ちするケースも見受けられます。
残業状況は職場によって異なり、定時で退勤することは可能ではあるものの、急なカウンセリングや出席が必要な会議がある場合など残業が発生することもあります。
また、勤務先によっては非常に多忙な日々となり、時間内に業務が片付かずに長時間残業をしたり、持ち帰って仕事をしたりしている人もいるのが実情です。
必ずしも残業代(手当)が出るとは限らないこと、また勤務する学校などによって勤務条件が異なるため、条件面を明確にすることが必要です。
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スクールカウンセラーの1日の流れ
非常勤のスクールカウンセラーの1日(小学校)
スクールカウンセラーとして働く人の多くが非常勤職員であり、週に1日~2日ほど担当の学校へ出勤します。
終日の勤務だけではなく「午前中だけ」「午後だけ」などの勤務形態も多いため、1日の過ごし方はさまざまですが、一般的なスケジュールとしてはこのようになります。
学校に出勤した後は、主に相談室(カウンセリングルーム)で過ごし、カウンセリングの準備や資料の作成などを行います。
最近はこのような相談室を設置している学校が増えつつあるものの、相談室がない場合は職員室や空き教室などの一角を使用することも多いです。
生徒や保護者、教職員との面談は事前に予約が入っていることもありますが、子どもがフラッと相談に訪れる場合もあるため、その時々の状況にあった臨機応変な対応が求められます。
必ずしも計画通りに仕事が進むとは限らず、突発的に発生した喧嘩やトラブルなどによって急にカウンセリングを行う場合もあります。
また、ときにスクールカウンセラーは相談室での仕事の合間をぬって教室に足を運びます。
最近は発達障害と診断される子どもが増えていますが、授業風景や他の生徒との交流の様子を見ることで、問題の本質やサポートの方法を見抜けるケースもあります。
また、不登校やネグレクト(育児放棄)の問題を抱える生徒に対しては家庭訪問をしたり、教室に足を踏み入れられない「保健室登校」の生徒の様子を見に行ったりします。
ときにはこのように積極的に外に足を運ばなければ、子どものSOSが届かないこともあるのです。
日頃から生徒に声をかけるなど、積極的に接点を持つように働きかけることも、スクールカウンセラーの大切な仕事のひとつです。
常勤のスクールカウンセラーの1日(小学校)
次に、小学校で常勤として勤務するスクールカウンセラーの1日の流れをご紹介します。
非常勤と常勤で多少の違いはありますが、おおよそ同じような流れになります。
非常勤講師と異なり、常勤の場合は、他の教職員と同じように運動会や文化祭などのイベントへ参加をお願いされることもあります。
ですが、あくまでもスクールカウンセラーは専門職として中立な立場を求められるため、基本的には学校の運営に深く関わるような業務はほとんどありません。
中学校に勤務するスクールカウンセラーの1日
次に、中学校で勤務するスクールカウンセラーの1日の流れをご紹介します。
小学校に勤務するスクールカウンセラー同様、非常勤・常勤の違いにより短時間勤務の場合もありますが、下記はフルタイム勤務を想定した際の流れになります。
少年非行の低年齢化が指摘されるようになった近年では、子どもが思春期を迎える年齢となる中学校での、スクールカウンセラーの役割が重要視される傾向にあります。
多感な年齢にある子どもたちと信頼関係を築くのは容易ではありません。
しかしそれぞれの抱えた問題を的確にとらえ、解決へ導くきっかけを作ることが、スクールカウンセラーに求められています。
スクールカウンセラーの勤務時間・休日
スクールカウンセラーの勤務体系
スクールカウンセラーの正職員の求人は非常に少なく、私立高校や専門学校、大学などの一部に限られているのが現状です。
ほとんどの人が小中高校の非常勤職員として働いているという特徴があります。
非常勤職員というのは非正規雇用形態のひとつであり、決まった日や時間にだけ仕事をする職員のことです。
毎日学校に出勤する教師や事務員たちとは違い、週に1日か2日ほど指定校に出勤して働きます。
1校では生計が立てられないため、「月曜日と水曜日はA校、火曜日と金曜日はB校、水曜日はC校」というように地域の学校をいくつか担当し、毎日違う学校に出勤しています。
一方、精神科医や大学で心理学を教えている教員など他にメインとしている仕事がある人は、普段は病院や大学で働き、週に1日か2日ほど学校に出勤するという働き方が一般的です。
いまの日本では前者が圧倒的に多く、現場からは「不安定な勤務形態を見なおすべき」という声もあがっています。
スクールカウンセラーの勤務時間
スクールカウンセラーの勤務時間は学校によって違いますが、非常勤の場合、お昼休みをまたいで1日4~6時間程度であることが多いとされます。
また学校によっては、スクールカウンセラーが相談を受ける時間を「午前中だけ」「午後だけ」と指定していることもあり、そういう場合は出勤時間も午前または午後のみで半日は休みの形になります。
一方、常勤スクールカウンセラーは朝9時頃から夕方6時頃までの約8時間勤務です。
勤務時間中は相談室で面談や検査をしたり、資料をまとめたりして過ごすことが多いですが、必要に応じて生徒の授業の様子を見たり、保健室登校の生徒を見に行ったり、家庭訪問をしたりすることもあります。
スクールカウンセラーの休日
スクールカウンセラーは学校のスケジュールに合わせて働くため、学校が休みである土日・祝日は基本的に休みで、仕事が入ることは通常ありません。
夏休みや冬休みなどの長期休暇に入ると、スクールカウンセラーの仕事も休みになることが多いです。
また、仕事の担当案件が少ないスクールカウンセラーの場合は、平日にも休みが入ることもあります。
休みがとれない仕事ではありませんが、多くのスクールカウンセラーは非常勤のため、勤務日でない日の報酬を受け取ることはできません。
複数の学校を掛け持ちして、忙しく働いているスクールカウンセラーもいます。
一方、常勤のスクールカウンセラーは学校が休みの日でも駆り出されたりすることがありますが、代休・手当がついたり、育児休暇・有給休暇が保障されることになります。
スクールカウンセラーの残業時間
スクールカウンセラーは、一般的にはそこまで長時間の残業をすることはないと言われています。
非常勤職員という立場で、給料も決められた時間分の時給が支給されることが多いため、残業をしなければならない状況にはあまり陥りません。
ただし、スクールカウンセラーはカウンセリング以外にも多様な業務を一人で担当しなくてはならないケースが多く、忙しい日々を送ることになりがちです。
また、昨今では非常勤のスクールカウンセラーが時間外の無償労働、つまり「サービス残業」をしているケースが多いことが問題として取り上げられるケースも増えています。
心理職の地位向上を目的に活動する労働組合「心理職ユニオン」が東京都のスクールカウンセラーに行った調査(※2021年9月1日~2021年10月31日に実施)によると、「職場においてストレスとなる要因があるか」という質問に対し、「ある」と答えた人が87%でした。
また、職場の詳しいストレス要因については「時間外の無償労働」と答えた人が最も多く、「雇用の不安定さ」や「社会保障がないこと」などを上回りました。
さらに、同調査における「1回の勤務における残業時間」の質問に対する答えは、「1時間未満」が22%、「1~2時間未満」が52%、「2~3時間未満」が17%、「3時間以上」は3%となっています。
この調査を見ても、スクールカウンセラーは残業がまったくない仕事とはいえません。
生徒の様子をより詳しく知るために自発的に教員と情報共有をしたり、子どもの問題により深く丁寧に関わっていくために面談記録を細かくつけたりと、やらなくてはならないことも多いのです。
非常勤という雇用の不安定さに加え、残業代(手当)が支給されないにもかかわらず残業せざるを得ない状況に陥り、ストレスを抱えているスクールカウンセラーもいるのが実情です。
スクールカウンセラーは忙しい? 激務?
非常勤で雇用されるスクールカウンセラーの1回あたりの勤務時間は一般的には1日4~6時間程度で、そこだけを見ればさほど激務というわけではありません。
ただし、非常勤のスクールカウンセラーは何校も掛け持ちしているケースが多く、そうするとカウンセリングが必要な生徒も必然的に増えるため、教員との情報共有・面談記録などの業務も増えて多忙になります。
その時々で悩んでいる生徒の多さや、問題の深刻度などによってもスクールカウンセラーの忙しさは変わります。
また、スクールカウンセラーは、常に自身の専門性を磨いていく必要があることから、休みの時間を使って積極的に勉強に励んだり、研修会に参加したりする人も少なくありません。
スクールカウンセラーの休日の過ごし方
毎日のように生徒のつらい悩みを聞いているスクールカウンセラーは、精神的なストレスがたまりやすい職業です。
休日は誰とも会わずにリラックスする時間をとったり、逆に気の合う友達と楽しい時間を過ごすなど、自分に合ったストレス発散方法で息抜きの時間を作ることも大切です。
また、平日は業務に追われてしまうため、オフの時間を使ってセミナーへの参加や専門書で勉強をする、あるいは自分のカウンセリングスキルについて指導やアドバイスを受ける、といった努力をしているスクールカウンセラーも多くいます。