裁判所事務官の一般職の仕事内容・必要な学歴は?
裁判所事務官の一般職の仕事内容
裁判所事務官の一般職は、総合職に比べて事務方の仕事が中心となります。
裁判所では裁判に関するさまざまな書類を作成し、それらの書類を適切に保管しておかなければいけません。
そういった仕事を適切に処理していくスキルが一般職には求められ、書類作成ソフトや計算ソフトを問題なく扱えることなど、最低限のパソコンスキルも必要になる仕事です。
このような点から、一般職と総合職では採用試験にも違いがあり、一般職は的確な事務処理に係る能力があるかを重視する試験、総合職は政策の企画立案に係る能力があるかを重視する試験となっています。
とはいえ、裁判所では成績主義・能力主義の傾向が強いことから、一般職採用でも能力と勤務成績次第で昇進していくことは十分に可能です。
ただし、総合職と一般職では初任給に違いがありますので注意しましょう。
裁判所ウェブサイトでは、総合職(院卒者区分)が253,800円、総合職(大卒程度区分)が222,240円、一般職(大卒程度区分)が216,840円、一般職(高卒者区分)が178,320円と公開されています。
裁判所事務官の総合職と一般職の採用試験の違い
試験区分
裁判所事務官になるためには「裁判所職員採用試験」を突破しなければなりません。
裁判所事務官の総合職を希望する場合には「総合職試験」、一般職を希望する場合には「一般職試験」を受験し、合格する必要があります。
さらに、総合職試験は「院卒者区分」と「大卒程度区分」に、一般職試験は「大卒程度区分」と「高卒者区分」にそれぞれ分かれます。
必要な学歴
裁判所事務官の総合職と一般職では、どの区分で受験するのかによって必要な学歴が異なります。
総合職試験と一般職試験の、それぞれの受験資格は以下の通りです。
<総合職(院卒者区分)>
30歳未満であり、大学院修了及び修了見込みの方
<総合職(大卒程度区分)>
21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込みの方も受験可)
<一般職(大卒程度区分)>
21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込み、短大卒業及び卒業見込みの方も受験可)
<一般職(高卒者区分)>
高卒見込み及び卒業後2年以内の方(中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可)
なお、「大卒程度区分」とはあくまで試験レベルを意味する表現です。
そのため、たとえば一般職の大卒程度区分であっても、年齢条件をクリアしていれば学歴に関係なく試験を受けることが可能です。
実際には、総合職を目指す人は4年制大学や大学院に進学してから試験に臨む人が多く、一般職を目指す人は短大や専門学校のほか、高校卒業後に独学で合格を目指す人もいるようです。
難易度・倍率
2019年度の、裁判所事務官の区分別・種類別の試験結果は以下のようになっています。
<総合職試験>
・裁判所事務官(院卒者区分):10.4倍
・裁判所事務官(大卒程度区分):53.7倍
<一般職試験>
・裁判所事務官(大卒程度区分):7.1倍
・裁判所事務官(高卒者区分):25.3倍(※2018年度データ)
このようにそれぞれの試験倍率を比べると、総合職の大卒程度区分に比べれば一般職の倍率は下がります。
ただし、一般職の高卒者区分の合格率は約4%となっており、難関試験であるといえるでしょう。
また、受験する地域によっても試験倍率は大きく異なっています。
女性の割合
2018年度に採用した裁判所職員のうち、女性の割合は以下のようになっています。
<採用した職員に占める女性職員の割合>
・総合職(裁判所事務官/院卒者・大卒程度)…23.8%
・一般職(大卒程度)…54.1%
・一般職(高卒者)…55.6%
このように、総合職では4〜5人に1人程度、一般職では半数以上が女性の採用となっており、総合職と一般職では女性の割合に大きな違いが見られます。
とはいえ、裁判所事務官は総合職でも女性が活躍できる場面が多いため、「女性だから総合職は難しい」といったことはないと考えてよいでしょう。
裁判所事務官の一般職には転勤がある?
裁判所事務官は、総合職・一般職どちらの場合でも転勤の可能性があります。
具体的な転勤の範囲ですが、どちらも「希望地区の高等裁判所の管轄内」での裁判所に配属となります。
たとえば「東京高等裁判所」を希望する場合であれば、関東1都6県に加えて新潟県・山梨県・長野県・静岡県が管轄区域です。
このように、裁判所事務官の一般職でも県をまたいだ転勤の可能性があることは頭に入れておくとよいでしょう。
転勤のペースとしては、おおむね3年を目安におこなわれるケースが多いようです。