作業療法士の1日のスケジュール・生活スタイル

作業療法士の業務スケジュール

作業療法士の業務スケジュールは、各患者に対してリハビリを行う予定を基にして組み立てます。

通常、9時から1人目、10時から2人目といったように、作業療法士ごとにあらかじめ担当する患者と時間が決められており、学校の時間割のようにタイムテーブルに沿って業務を進めます。

1人あたりのリハビリ時間は、急性期の患者であれば1回20分~40分程度、回復期の患者であれば1回40分~60分ほどが目安です。

作業療法士は1日に数人~10人前後の患者を受け持ちます。

リハビリとリハビリの間の時間も、患者のカルテを確認したり、作業に使用する道具類を揃えたりと準備しなければならないことが多いため、あまりゆっくり休憩している暇はありません。

また、リハビリが始まる前の朝方には、医師看護師理学療法士などを交えてミーティングが行われ、リハビリが終了した後の夕方については、カルテ記入などのデスクワークを進める必要があります。

施設によって多少の違いはあるものの、作業療法士は1日中忙しく動き回ることが多いですが、スケジュールがきっちり決まっている分、残業することはあまりありません。

総合病院で働く作業療法士の1日

総合病院で働く作業療法士は、自力で移動できる患者、ベッドから出られない患者など、さまざまな状態の患者にリハビリを行う必要があります。

また入院患者だけでなく、外来患者にも対応しなければなりません。

このため、たとえば午前中はリハビリ室において外来患者を中心に担当し、午後からは病棟をまわって動けない入院患者を担当するといったように、1日のなかで働く場所をある程度分けるケースが一般的です。

また、総合病院では数多くのスタッフが働いているため、情報共有するための打ち合わせにも多くの時間を割く必要があります。

総合病院で働く作業療法士の1日の流れ

8:30 出勤、ミーティング
スクラブやケーシーに着替えてミーティングに出席し、夜間の患者の状態などについて申し送りを受けます。
9:00 リハビリ
外来患者に対して、ペグボードや金工具を用いた手先の訓練を行います。
12:00 昼食休憩
院内食堂やコンビニエンスストアなどで食事を取ります。
13:00 リハビリ
入院患者に対して、食事動作や更衣動作などの日常動作(ADL)訓練を行います。
16:30 デスクワーク
本日担当した患者のカルテを記入したり、新しいリハビリプログラムを作成したりします。
17:00 勉強会
医師や看護師を交えて事例検討・症例検討を行い、医学知識を深めます。
18:00 退勤
私服に着替え、帰宅します。

有料老人ホームで働く作業療法士の1日

介護施設に入所する高齢者は、医療施設の入院患者よりも身体機能レベルのばらつきが少なく、また容態も比較的安定しています。

このため、医療施設とは異なって、入所者に対してある程度同じ内容の訓練を実施することが可能であり、有料老人ホームで働く作業療法士は、個別リハビリとあわせて、体操などの集団リハビリも行います。

1日のスケジュールは施設によってばらつきがありますが、午前または午後に1回集団リハビリを行い、残りの時間で入所者への個別リハビリを順次行っていくケースが多いようです。

有料老人ホームで働く作業療法士の1日の流れ

8:30 出勤、朝礼
始業前に、スケジュール確認や情報共有などを行います。
9:00 個別リハビリ
入所者の状態に応じて、機能訓練を実施します。
11:00 集団リハビリ
入所者を集めて、カラオケなどのレクリエーションを実施します。
12:00 昼食休憩
職員用休憩室で持参した弁当などを食べます。
13:00 個別リハビリ
午前中に引き続き、各入所者に対する個別プログラムを行います。
17:00 デスクワーク
入所者のリハビリ進捗状況などを記録します。
18:00 退勤
事務作業終了後、職員全体でカンファレンスや研修を行うこともあります。

作業療法士の勤務時間・休日

作業療法士の勤務時間

作業療法士は、多くの人が日勤で働いているものの、勤め先によって多少勤務スタイルが異なります。

たとえば、急性期を含む総合病院で働く作業療法士は、学校における時間割のように、あらかじめ決まったタイムスケジュールに沿い、各患者に対して決まった単位時間のリハビリを行います。

勤務時間はかなり一定しており、毎日9時~17時前後の時間帯で働くケースが一般的です。

一方、回復期リハビリテーション病院などでは、食事、排せつ、入浴といった日常生活動作に関するリハビリが重視されるため、患者の生活リズムに合わせて「早番」や「遅番」で働くケースもあります。

老人ホームなどの介護施設でも、基本的には医療施設と変わりなく、あらかじめ決まったスケジュールをこなして働くところが大半です。

ただ、なかには介護福祉士ホームヘルパーといった福祉職と同じように、作業療法士にも介護業務が求められることがあります。

そうした職場ではシフト制となり、早番や遅番に加えて、夜勤もこなすことになります。

就職先を選ぶ際には、あらかじめ勤務体系をよく確認しておくことが望ましいでしょう。

作業療法士の休日

勤務時間と同様、休日についても、勤務先によってかなり事情が異なります。

急性期や回復期の病院では、入院患者のために土日もリハビリが行われるため、作業療法士はカレンダーに関係なく交代で休みを取ります。

基本的には週休2日制となりますが、患者へのリハビリを中断させないために、連続で2日間の休みを取得できるケースはどちらかというとまれで、1週間のなかで別々に1日ずつ休みを取ることがほとんどです。

お盆や年末年始などの長期休暇も、まとめて休むことは困難であるようです。

一方、介護施設では入所者の容態が安定しており、医療施設と違って毎日リハビリを行うことが必要になるわけではないため、土日祝日にはリハビリを行わず、作業療法士も休みとなることが一般的です。

ただ、介護業務もこなさなければならない職場では、病院と同じように交代制となり、休日は不規則になります。

作業療法士の残業時間

作業療法士は、一般的に残業時間が少ない職業とされています。

1日のスケジュールはあらかじめ定まっていますし、予定になかった患者に急遽リハビリを行わなければならないという状況もまずありません。

この点は、急患に対応しなければならない医師や看護師との大きな違いであり、同じ医療職のなかでも、ワークライフバランスを取りやすい職業といえるでしょう。

ただし、業務終了後には、医療知識を深めるために勉強会や研修が実施される職場もあり、仕事が終わったからといって毎日すぐに帰宅できるというわけではないようです。

また、そうした拘束時間が残業とみなされ、残業手当が支払われるかどうかも施設によって差があるため、就職先を選ぶ際にはあらかじめ確認しておいたほうがよいかもしれません。

作業療法士は忙しい?激務?

作業療法士は、そこまで忙しい部類に入る職業ではないといえるでしょう。

しかし、業務は患者に対するリハビリだけでなく、カルテの記入や実施計画書の作成といったデスクワークもあり、また業務後の勉強会などが入る日もあります。

とくに新人のうちは、一つひとつの作業に時間がかかるため、大変に感じることも多いかもしれません。

キャリアを重ねるにつれて、自然と慣れてスムーズに作業をこなせるようになり、ある程度の余裕をもって働けるでしょう。

とはいえ、職場環境は施設によってかなりばらつきがあるため、なかには激務といえる仕事量を求められるところもあるようです。

作業療法士の休日の過ごし方

作業療法士はシフト制の職場が多いため、休みが変則的になりやすく、平日に休む頻度も高くなりがちです。

このため、どこに行くにしても、土日のように人がごった返して混雑していることが少なく、外出して気分転換する人が目立ちます。

ただ、週末休みの友人などとスケジュールを合わせにくいデメリットもあり、一人で行動することが多くなるでしょう。

もしもプライベートの人間関係を重視させたいなら、介護施設など、土日祝日が固定で休みとなる職場を選んだほうがよいかもしれません。