音楽療法士の海外での位置づけは?
海外でも音楽療法士は活躍できる
音楽療法士は、近年、日本国内で注目を集めるようになってきた職業のひとつですが、海外でも医療や福祉などの現場で音楽療法は盛んに行われています。
とくにアメリカの音楽療法は有名です。
アメリカでは「MT-BC」という音楽療法士の認定資格が存在しており、この資格を取得するには「米国音楽療法学会」の承認を受けた大学で学び、カリキュラムを修了する必要があります。
「MT-BC」は国家資格ではありませんが、さまざまな自治体や団体が独自の音楽療法士の民間資格を認定する日本とは異なり、アメリカにおいては、音楽療法に関する資格は米国音楽療法学会からしか出されていません。
つまり、アメリカでは音楽療法士になるための明確な道筋があり、カリキュラムも一貫していますので、それらを修了して資格を取った人は、よりしっかりと音楽療法士としての身分を証明しやすくなっています。
20代で正社員への就職・転職
ホスピスケアとしても音楽療法がおこなわれる
アメリカでは余命6ヵ月と診断されると、どのような病気の人でもホスピスケアを受けることができます。
そのため、亡くなる人全体の約45%がホスピスケアを受けるといわれており、ホスピスケアの現場でも、痛みの緩和やストレスの軽減などを目的とした音楽療法がよく取り入れられているようです。
もちろん、体に不自由や病気を抱えている人、メンタル面で不安のある人など、子どもからお年寄りまでさまざまな人を対象に、学校などの教育現場や病院、高齢者施設といった多岐にわたる場所で音楽療法が実践されています。
アメリカでは、日本以上に音楽療法が身近なものとして取り扱われており、音楽療法士の活躍できる場があるといえます。
その他の国の音楽療法士
アメリカのほか、ヨーロッパ諸国も音楽療法の研究が進んでいます。
ドイツではアメリカと同様に音楽療法士は国家資格となっていますし、イギリスや北欧も音楽療法が盛んなことで知られています。
なお、世界的な音楽療法士のイベントとして、2年おきに行われる「世界音楽療法大会」があります。
ここでは世界中の音楽療法士が集い、さまざまな国の音楽療法の情報を入手できたり、研究発表などが行われたりする業界内で注目のイベントとなっています。
今後、日本でも音楽療法の研究がさらに進んでいくことによって、海外の音楽療法士との交流がますます重要になってくるものと考えられます。
20代で正社員への就職・転職
海外で活躍する音楽療法士になるには
音楽療法士は、日本ではまだ生計を立てられる職業として完全に確立されたとは言い難く、実際に正社員や常勤の募集は決して多くありません。
「看護師」「作業療法士」など、医療やリハビリテーション等に関する他の国家資格を持つ人が、プラスアルファのスキルとして音楽療法を実践するケースが大半となっています。
しかし、アメリカのように、海外では音楽療法士が前面的に出て活躍できる場も多くあります。
そのため、海外へ留学して音楽療法を学び、現地で就職をするという人も少なからずいるようです。
留学先となるのは音楽療法士の身分が確立されているアメリカやドイツのほか、イギリス、オーストラリア、カナダなどの大学で音楽療法を学ぶ人もいます。
国によって音楽療法士になるための道筋は異なり、通うべき学校やカリキュラムなども違いがありますので、もし海外の音楽療法士に興味がある人は、各国の音楽療法について調べてみるとよいでしょう。