【2021年版】音楽家の給料・年収はどれくらい? 初任給や統計データも解説

音楽家の平均年収・給料の統計データ

音楽家とは一般的にクラシック音楽を生業とする人を指し、器楽奏者、声楽家、作曲家、指揮者など活動形態はさまざまです。

音楽家の年収は、所属先の種類や規模、キャリアや知名度などによって大きく異なります。

有名なソリストや指揮者であれば年収1000万円以上を得ることがありますが、一般的なオーケストラ楽員の場合は、低いと年収200万円台ということもあります。

またフリーランスで活動している人の中には、音楽家としての活動だけでは生活ができず、別のアルバイトなどをして生計を立てている人も多くいます。

音楽家の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

厚生労働省の令和2年度賃金構造基本統計調査によると、音楽家の平均年収は、41.1歳で599万円ほどとなっています。

・平均年齢:41.1歳
・勤続年数:13.1年
・労働時間/月:168時間/月
・超過労働:6時間/月
・月額給与:379,600円
・年間賞与:1,437,700円
・平均年収:5,992,900円

出典:厚生労働省「令和2年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

音楽家の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

音楽家の手取り月収は人によって大きく差があり、数百万円になる人がいれば、10万円程度という人もいます。

オーケストラの正規楽員であれば、多くの場合、給料は月給などの固定給となっており、一般的には月収40万円程度、実際の手取りは32~33万円程度といわれています。

ただし所属するオーケストラの規模や支援団体によっても給料に幅があり、給料だけでは生活ができず、個人レッスンやホテルの演奏アルバイトなどの副業に頼らざるを得ない人も少なくありません。

音楽家の初任給はどれくらい?

ここではオーケストラに所属している場合について紹介します。

初任給は所属しているオーケストラの経営状況によっても異なりますが、一般的に20万円程前後としているところが多いようです。

一例として、日本のオーケストラ御三家の一つといわれる読売日本交響楽団のケースを紹介します。

■公益財団法人読売日本交響楽団
ヴァイオリン奏者
【正規楽員としての初任給:2020年/23歳モデル】

月額総額:244,333円(手当を含む)
※プロオーケストラ経験者には「経験」が給与に加算

音楽家の勤務先の規模別の年収(令和2年度)

音楽家の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

10〜99人規模の事業所に勤める音楽家の平均年収は530万円、100〜999人規模は592万円、1,000人以上の規模では723万円、10人以上規模の事業所平均は599万円となっています。

上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト、声楽家、指揮者など他職業を含むデータです。

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

音楽家の勤務先の年齢別の年収(令和2年度)

令和2年度賃金構造基本統計調査によると、音楽家の年収には多少ばらつきがありますが、500万円~700万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、50~54歳の798万円です。

全年代の平均年収は599万円となっています。

上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト、声楽家、指揮者など他職業を含むデータです。

 

音楽家の福利厚生の特徴は?

オーケストラのおもな福利厚生には、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険・退職金制度・企業年金・慶弔金制度があります。

そのほか音楽家ならではものとして、ステージ衣装の貸与および洗濯代の一部負担、演奏旅行の際の宿泊費・交通費の支給などが挙げられます。

またヴァイオリンなど個人所有の楽器を使用している場合は、消耗品手当として、弦・弓の毛替、楽器調達費、消耗費の3割程度を支給しているケースもあります。

なお、音楽家のための労働組合的な存在である「日本音楽家ユニオン」や、演奏家の利益擁護と福祉厚生を図ることを目的に設立された「日本演奏連盟」に加盟すれば、フリーランスの音楽家であっても以下のような福利厚生を受けられます。

・入院給付、死亡給付、健康診断の補助給付、慶弔見舞い
・結婚、出産のお祝い
・芸能人向けの国民健康保険への加入
・顧問税理士による確定申告無料相談
・顧問弁護士による無料法律相談
・楽器保険
・楽器・楽譜、広告掲載などの会員割引

音楽家の給料・年収の特徴

オーケストラのビジネスモデル

公益社団法人日本オーケストラ連盟に加盟している日本のプロオーケストラは、2020年現在で38楽団(正会員25、準会員13)あります。

プロオーケストラの主体となる活動は自主公演の定期演奏会ですが、それを行うにはホールの使用料、指揮者やソリストへの報酬、楽団員の人件費、楽器の購入・維持費、広告費、楽譜代など多くの経費がかかります。

オーケストラと同程度のプレイヤー数が所属するプロ野球では、最大5万人を収容できる球場で週6日ほどの試合が開催可能で、そのチケット収入にグッズや飲食物の販売、試合ごとの放映権などを加えて、興行が成立しています。

一方、オーケストラの場合、一度の公演でコンサートホールに収容できるのはせいぜい1,000人から2,000人程度のため効率が悪く、定期演奏会のたびに赤字が出るケースが少なくありません。

日本オーケストラ連盟が公開しているデータ(2018年度)によると、加盟している全オーケストラの合計支出が約269億円であるのに対して、演奏収入は約147億円となっており、演奏収入だけでは年間で約122億円の赤字が出ていることがわかります。

参考:公益社団法人日本オーケストラ連盟オーケストラ実績 2018年度

それを補っているのが、自治体や公共団体、企業からの助成金や寄付であり、それらのおかげでなんとか成り立っているというのがオーケストラの収支の現状です。

経営状況に影響されるオーケストラ楽員の給料事情

日本のプロオーケストラは上記のようなビジネスモデルとなっているため、後援団体である自治体や企業からの支援金が大きければ収支が安定し、それが所属する楽団員の給料にも影響します。

東京都がバックについている東京都交響楽団、経営母体が大手マスコミであるNHK交響楽団、読売日本交響楽団は日本のオーケストラ御三家と呼ばれ、楽団員の給料も比較的高めで安定しています。

一方、規模の小さな地方のオーケストラに所属する楽団員は年収200万円台というケースがあり、音楽講師の仕事や結婚式場の演奏アルバイトなどをして、生計を立てている例も珍しくありません。

また長引く不況によりオーケストラへの助成金を削減する自治体が相次いでおり、従来の終身雇用制に代わって契約楽員制度を採用し、能力・業績評価による年俸制に移行するオーケストラが増えています。

音楽家の勤務先別の給料・年収

音楽事務所に所属する音楽家

指揮者やピアニスト、ヴァイオリニスト等のソリストとして活動する音楽家の場合、その大半は音楽事務所に所属しています。

自分の代わりに事務所にマネジメントや宣伝活動などを任せ、自らは演奏活動に集中する体制です。

このような音楽家は、コンサートを開催するたびに入る出演料がおもな収入源となりますが、そこから事務所の経費(15〜20%程度)と源泉税(約10%)を差し引いた額が音楽家の取り分となります。

名の知れた音楽家であればあるほど1ステージ当たりの収益は高くなり、自らの収入も増えます。

海外のコンクールで入賞するような音楽家の場合、経費等を除いて1回当たり50万円程度を得ているようですが、これだけ稼げる人は決して多くなく、10万円〜30万円程度を安定して得られていれば、それなりに成功している部類に入るといえます。

オーケストラに所属する音楽家

オーケストラの給与体系には、大きく3つのタイプがあります。

・完全固定給制で支払う
・基本給にプラスして、演奏会の数や時間に応じて報酬を上乗せして支払う
・演奏会やスタジオ録音などの収入があったときに歩合制で支払う

日本のプロオーケストラでは、完全固定給制を採っているところが多いです。

基本給は年齢によって多少の違いはあるものの、シンバルやティンパニーなど出番が少ない楽器であっても、正規楽員であれば基本的に均等に支払われます。

ただし能力やキャリアに応じて上乗せ分があり、金額は個人によって変わります。

各楽器の首席奏者になると、手当てとして給与の5%~10%程度が上乗せされるケースが多いです。

なおコンサートマスターは1年~5年ごとの契約となるため、一般楽員と給与体系が異なります。

楽団の規模などによってその額に差はあるものの、全体的には月収40万円、年収にして400万円〜500万円が相場となっているようです。

なお、日本で最も有名な楽団の一つ、NHK交響楽団では経験を積むと年収1000万円以上を稼ぐ人もいるといわれています。

音楽家が収入を上げるためには?

音楽家が収入を上げ安定した生活をするためには、演奏能力を磨き、知名度を上げることが大切です。

コンクールで入賞することができれば、実力を証明でき、知名度を上げることに繋がります。

また近年ではyoutubeなどの動画サイトやSNSをうまく活用して、効果的に自己アピールをしているプロ奏者もいます。

フリーランスで活動している演奏家は、オーケストラのオーディションで実力を証明し採用されれば、安定した固定給を得ることができます。

また実績が認められ、ソリストや指揮者になることができれば、実力次第で高額の報酬を得ることも可能です。

実績と知名度があれば、音楽大学の講師として活躍することや、個人レッスンで多くの生徒を集めることも可能になるため、収入の幅が広がります。