声楽家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「声楽家」とは
おもにクラシックの歌曲やオペラを歌い、オペラやコンサートの舞台で披露する音楽家。
声楽家とは、おもにクラシックの歌曲やオペラを歌い、オペラやコンサートの舞台で披露する音楽家のことをいいます。
楽器を使用した音楽(器楽)とは異なり、「人の声」を中心とした音楽を奏でていくのが声楽家です。
声楽家の活躍の仕方はさまざまですが、音楽大学で声楽を学んだのち、オペラ団体や歌劇団、合唱団に所属し、その団員として活動をしながら声楽家としての技量を高めていく人が多いようです。
コンクールで入賞をすれば、世に認められてソロの声楽家として各コンサートに出演できる機会も得られます。
また、世界で活躍できるほどの実力を備えれば、ワンステージで何百万円というギャラをもらうことも可能です。
しかし、声楽家の仕事だけで生計を立てられる人はごくわずかであり、いずれの場合でも個人の実力がそのまま評価につながりやすい職業であるため、声楽家は日々地道にレッスンやトレーニング、稽古に励んでいかなくてはなりません。
「声楽家」の仕事紹介
声楽家の仕事内容
舞台に立ち、オペラやクラシック歌曲を歌う
声楽家とは、おもにクラシックの歌曲やオペラを歌い、オペラやコンサートの舞台で披露する音楽家のことをいいます。
楽器を使用した音楽(器楽)とは異なり、「人の声」を中心とした音楽を奏でていくのが声楽家です。
オペラの公演では、歌劇のセリフを音楽にのせて歌い、その歌声によって観客を魅了します。
圧倒的な歌唱力はもちろんですが、体全体で歌のイメージを伝える表現力も求められます。
声楽家になるには
音楽大学で歌唱に必要な知識・技術を身につける
声楽家は、歌唱に必要な発声の技術を身につけるほか、クラシック音楽の歴史や理論、歌曲と関連のある各国の文化まで深く理解しなくてはならないため、基本的には音楽大学の声楽学科で学ぶのが一般的なルートとなります。
専門となる歌の分野によって、英語やドイツ語、イタリア語、フランス語などの外国語も学びます。
なかにはさらなるスキルアップのために大学院へ進んだり、海外留学をし、現地の音楽学校で専門知識や技術を学ぶ人もいます。
その後はコンクール受賞を目指してソロ活動をしたり、オペラ団体や合唱団などに所属して活動していきます。
声楽家の学校・学費
音楽大学卒業後、大学院や留学をする人も
声楽家を目指す人は、基本的に音大で声楽を専門的に学ぶことになります。
この世界で最も有名であり最難関といわれる国立の東京藝術大学のほか、私立の武蔵野音楽大学や東京音楽大学、国立音楽大学の出身が多いのが特徴です。
卒業後は大学院まで進んでさらに声楽を究めたり、イタリアやオーストリアなどへ留学して現地で学ぶ人もいるため、声楽家として活動を始めるまでの学費は1000万円以上かかる場合があります。
声楽家の給料・年収
声楽家として生計を立てられる人はごくわずか
声楽家の仕事だけで生計を立てられる人はごくわずかです。
オペラ団体や合唱団に所属している場合も、チケットノルマなどに追われることが多く、とくに駆け出しの頃はほぼ稼げないという人もいるようです。
そのため現実的には、歌のレッスン講師など別のアルバイトをしてコンクール入賞を目指して活動している人も少なくありません。
一方、世界的に活躍する著名な声楽家になれば、ワンステージで何百万、何千万という大きなギャラを得られる人もいます。
声楽家の平均年収・月収・ボーナス
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、声楽家の平均年収は、38.4歳で574万円ほどとなっています。
・平均年齢:38.4歳
・勤続年数:11.3年
・労働時間/月:164時間/月
・超過労働:6時間/月
・月額給与:408,000円
・年間賞与:842,300円
・平均年収:5,738,300円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
声楽家の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
声楽家の年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります。
10〜99人規模の事業所に勤める声楽家の平均年収は448万円、100〜999人規模は515万円、1,000人以上の規模では784万円、10人以上規模の事業所平均は574万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト、音楽家、指揮者など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
声楽家の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
声楽家の年収を年齢別に見ると、多少ばらつきがありますが、600万円~800万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、50~54歳の905万円です。
全年代の平均年収は574万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「音楽家,舞台芸術家」でピアニスト、音楽家、指揮者など他職業を含むデータです。
声楽家の現状と将来性・今後の見通し
一流になるのは難しいが、世界中で活躍できるチャンスがある
声楽家をはじめ、「音楽家」といわれる人たちは皆、つねに厳しい競争の世界で世に認められる日を目指して努力を続けています。
実力があれば世界を股にかけて活躍できる夢のある仕事ですが、一流といわれる声楽家になるのは簡単なことではなく、収入面を含め、不安定な生活を送っている人も少なくありません。
日本では声楽家が正当に評価されにくいといわれることもありますが、海外へ活動の拠点を移し、さらなる努力を続けることで見事チャンスをモノにしている人もいます。
声楽家の就職先・活躍の場
多くの人はオペラ団体や合唱団などへ所属する
声楽家はさまざまな活躍の仕方があります。
コンクールで入賞をすれば、世に認められてソロの声楽家として各コンサートに出演できる機会が増えますが、この道は相当険しいものだといえます。
多くの声楽家はオペラ団体や歌劇団、合唱団に所属し、その団員として活動をしながら声楽家としての技量を高めていきます。
なかには活動拠点を海外へ移す人もいます。
このほか、生計を立てるために音楽大学や音楽教室の講師として働いたり、個人レッスンを行っている人もいます。
声楽家の1日
活動内容によっても過ごし方は変わる
ひとくちに声楽家といっても、人によってさまざまな活動をしており、決まりきった1日はないといえるでしょう。
ここでは、そのようなことを踏まえて、ある声楽家の1日について紹介します。
07:00 起床
ストレッチとウォーキングをし、体の調子を整えます。
08:30 朝食
声楽家は体が資本なので、バランスのよい食事を心がけます。
09:00 練習
今度公演のあるオペラの個人練習を行います。
13:00 アルバイト先へ
アルバイトで講師を務めている音楽スクールで声楽を教えます。
17:00 オペラの稽古
公演1ヵ月前くらいからは、週に数回の稽古が入ってきます。
21:00 稽古終了
帰宅し、その日の稽古で指摘を受けた箇所を復習。
23:00 就寝
翌日は午前中からレッスンのアルバイトがあるため、早めに寝ます。
声楽家のやりがい、楽しさ
自分の歌によって観客を魅了できたとき
声楽家にとってのやりがいはステージに立ち、大勢の観客の前で自分の歌唱を披露し、観客を魅了できることです。
スポットライトを全身に浴びて素晴らしいパフォーマンスができ、歌い終わって「ブラボー!」と大歓声が上がったときには、何とも言えない快感に包まれます。
プロの声楽家になれば何十回、何百回と公演を重ねていきますが、ステージは毎回新鮮さがあり、他の出演者やスタッフと協力して無事に公演を終えられたときには大きな達成感が味わえます。
声楽家のつらいこと、大変なこと
実力がなければ活躍は難しい
声楽家は、良くも悪くも自分の現時点での実力があからさまに出てしまう職業です。
技術が不足していればコンクールの受賞も望めませんし、希望の場所で歌う機会を得ることも難しくなってしまいます。
思うように活躍できない日々が続けば、どうしても落ち込んでしまいがちです。
オペラなどのステージはとても華やかに見られますが、その裏で声楽家たちは「ライバルには負けたくない!」「もっと上手になりたい!」という一心で、地道な努力を続けています。
声楽家に向いている人・適性
目標に向かってコツコツと努力を続けられる人
声楽家に向いているのは、まずオペラやクラシック音楽に興味があり、それを自分の声で表現したいと強く思える人です。
声楽家として活躍するには歌唱技術のみならず、歌曲に使用されている外国語や文化、歴史まで勉強しなくてはなりません。
それらすべてを突き詰めていくことを楽しめる人は、声楽家の適性があります。
そして、たとえ特別な才能がなくても、自分の頑張り次第でスキルアップすることは可能なので、自分を向上させていくためにコツコツと努力できることも重要なポイントとなってきます。
声楽家志望動機・目指すきっかけ
歌が好きで、オペラや歌曲の魅力にとりつかれた
音楽が好きで音楽家になりたいと考える人は多くいますが、そのなかでも声楽家の志望者は、やはり「歌うことが好き」という思いを持っています。
幼い頃からピアノなどを習っていたなかで、ふとオペラなどの歌曲に触れる機会があり、感情を揺さぶる声のパワーに圧倒され、そこで声楽家という職業を意識するようになったと話す人もいます。
この仕事を目指すきっかけは人によってさまざまですが、クラシックに深く親しんでいる人が声楽家を目指すケースが多いことが特徴です。
声楽家の雇用形態・働き方
個人で活動をしていく人が多い
声楽家は、会社に雇われる会社員とはまったく異なる働き方となります。
基本的には個人で活動をし、コンクールへの入賞を目指す人が多いです。
ただし、実際にその道で成功できる人はごくわずかであるため、大半の人はオペラ団や合唱団の団員となったり、音楽学校の講師を務めたり、自分で生徒を集めてレッスンを開くなどの方法で仕事をしています。
ほとんどの場合、毎月会社から決まった給料をもらえるわけではないため、どうしても不安定な生活になりやすいといえるでしょう。
声楽家の勤務時間・休日・生活
どのような活動をするのかによって変わってくる
声楽家の生活パターンは、人によって、あるいは時期によって大きく異なるといえます。
日常的にはレッスンやトレーニングを続け、コンクール入賞を目指して練習の日々が続きます。
オペラ団体などに属している場合には、コンサート公演が決まればそこに向けて練習が入ってきますし、全国各地を巡って公演活動をすることもあります。
また、声楽家としての活動だけで生活するのが難しい場合には、コンクールや公演がない時期を利用してアルバイトをしている人も多くいます。