マーチャンダイザーの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
アパレルメーカなどで流通商品の企画や開発に携わる
マーチャンダイザーは、アパレルや流通・小売業界において、商品開発や販売計画、予算管理などを専門的に担当する職種です。
これらの業界の企業では、さまざまな商品を消費者に届ける活動を行っており、「消費者が求めるものは何か?」「特定の商品を、どの時期に、どれくらいの量、どれだけの価格で販売するのか?」そうしたあらゆる計画を中心となって一から立てていくのがマーチャンダイザーです。
つまり、マーチャンダイザーは企業が商品の販売戦略を立てる際には不可欠な存在であり、流通のすべてに関わるプロフェッショナルといえます。
マーチャンダイジング(merchandising)は日本語で「商品化計画」や「商品政策」といった意味を持ち、それを実行するマーチャンダイザー(merchandiser)は、アルファベットを略して「MD」と呼ばれることもよくあります。
ひとつの商品を開発するには、市場調査、売上動向の分析、開発計画立案…といったように、さまざまな工程を踏む必要があります。
商品を売り場に並べるまでの計画を、トータルに決定、管理していく責任者となるのがマーチャンダイザーです。
20代で正社員への就職・転職
取引先との商談や、販売の現場に出向く機会も多い
マーチャンダイザーは、「ものづくり」の企画部分に携わるだけでなく、実際に生産が行われる際の納期管理、売上げの分析など、多岐にわたる業務をこなしています。
しかし、ときには自ら生産地を訪れてバイヤーとして商品の仕入れを行ったり、商品が揃ってからも「どのように展開していくのか?」といった宣伝方法を考えたり、販売促進の仕事に携わることもあるなど業務範囲は広いことが特徴です。
一般的に、アパレルメーカーや百貨店で活躍する職種としてイメージされやすいのは、実際に店舗でお客さまに直接商品を提案する「販売員」ですが、マーチャンダイザーは本社(本部)に勤務し会社を支えています。
基本的には本社での勤務となりますが、商品の生産地や仕入れ先へ直接出向いて現物を見ながら交渉を行ったり、各店舗を回ってお客さまの動きをチェックしたり販売スタッフに指示を出したりと、外出する機会も多くあります。
いま、店頭に並んでいるあらゆる商品は、勝手にそこに置かれたわけではありません。
マーチャンダイザーが事前に綿密な計画を立て、そのうえでバイヤーやデザイナー、パタンナーなどの活躍によって商品は揃っていき、店頭に置かれます。
マーチャンダイザーの活躍なくして売れる商品を揃えることができない、といっても過言ではありません。
こうしたことから、とくに一流ブランドや大企業においては、マーチャンダイザーは自社の売上を大きく左右する重要な位置づけとして認識されています。
マーチャンダイザーとバイヤーの違い
それぞれの職種の役割は?
マーチャンダイザーとバイヤー。しばしば役割を混同されるこの2つの職種には、いったいどのような違いがあるのでしょうか。
まず、バイヤーは商品の「買い付け」を行う仕事です。
具体的には、企業やブランドのコンセプトを理解したうえで、顧客ニーズとトレンドを考慮し、売れそうな商品を選んで仕入れをします。
その過程では、どのくらいの量を仕入れるのかといった計画を立て、値段については仕入れ先との交渉も行います。
「売れる!」と思える商品を見極めて、できるだけ安く仕入れ、店頭に並べることがバイヤーのおもな役割です。「仕入れ」のプロフェッショナルともいえるでしょう。
一方、マーチャンダイザーは、バイヤーと同様に仕入れ計画を立てることも行いますが、販売やマーケティングといった「仕入れ後」の部分にも大きく責任を持ちます。
販促活動やマーケティング活動を通じて、どう商品を売り切るか。それを徹底的に考え、実行に移していくのがマーチャンダイザーです。
ときには親分のようなポジションに立って、売るための商品づくりに一緒に取り組んでいるバイヤー、デザイナー、パタンナー、プレスなど、社内の多様な職種のスタッフを盛り上げていきます。
兼務することもある
このように、マーチャンダイザーとバイヤーは日ごろから「どのようなものが売れるのか?」を考え続けており、業務内容や役割が重なっている面もあります。
大企業であれば両者を別々の部門として機能させているケースが多いものの、中小企業や一部の大手企業、あるいはブランドによってはマーチャンダイザーがバイヤーを兼務することもあります。
仕入れ部分に関してはバイヤーが深い知識を持っていますが、マーチャンダイザーのほうが、より幅広い知識・スキルを必要とされることが特徴です。
バイヤー職として経験を積んだ人がマーチャンダイザーになるというキャリアパスもあります。
20代で正社員への就職・転職
マーチャンダイザーに求められるもの
常に時代を先取りしながら新しい商品の展開を考えていくマーチャンダイザーには、時代の流れや消費者のニーズを素早く的確にとらえる力と、マーケティング・流通・販売に関する広い知識が必要とされます。
流行するものを生み出す「感性」や「センス」が求められる一方で、地道にデータを分析し、それに基づいて判断を下し、開発計画を立てていく論理的思考力も欠かせません。
また、社内であれば営業やデザイナー、販売スタッフ、社外であれば取引先など、たくさんの人と接しながら仕事を進めていくため、人間関係を上手に構築する力も重要です。
多様なスキルを駆使しながら、日々忙しく動き回っているのがマーチャンダイザーです。