航空会社の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
航空会社社員の仕事とは
航空会社とは、航空機を用いて、旅客や貨物を輸送する企業です。
「エアライン」と呼ばれることもあります。
国内大手航空会社の全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、国内・国外に多数の路線を有しており、日本全国と世界各地へ航空機を運航しています。
このような企業には、機内の安全を守り顧客サービスを提供する「パイロット」や「キャビンアテンダント(客室乗務員・CA)」のほか、地上で顧客を案内する「グランドスタッフ」、機体の整備をする「航空整備士」などがいます。
また、本社オフィスに勤務し、新たなサービスを企画したり、営業活動や社内の働きやすい環境を整えたりする社員もおり、さまざまな役割をもつ社員が協力・連携して活躍しています。
20代で正社員への就職・転職
航空会社の種類・分類
旅客航空会社
旅客を乗せて輸送する旅客機を運航する航空会社が「旅客航空会社」です。
一般的には「航空会社」という場合、この、人が乗る旅客機を運航している航空会社を表すケースが多いです。
国内外には大小たくさんの旅客航空会社があります。
国内だけを見ても、大手航空会社の全日空(ANA)や日本航空(JAL)のほか、全日空と日本航空系列の旅客航空会社や、各地方に根付いた小規模なローカル航空会社なども複数存在します。
格安航空会社(LCC)
「格安航空会社(LCC)」は、旅客航空会社の一種ではありますが、そのなかでも日本においては2012年に登場した比較的新しいタイプの航空会社です。
LCCとは「Low Cost Carrier」の略であり、従来の航空会社で行われていたサービスを簡素化し、さらに運航の効率化や運航コストの削減などを行うことによって、低価格の運賃を実現しています。
サービス簡素化やコスト削減の具体例としては、機内食やドリンクサービスの有料化、乗り継ぎやアクセスが不便な空港の利用、座席指定の不可といったものが挙げられます。
LCCでは、一般的な旅客機では当たり前に提供されていたフルサービスは提供しません。
その代わり、利用者は低価格で航空機を利用できるようになり、利便性が高まっています。
貨物航空会社
旅客航空会社に対し、貨物機を用いて、全国各地へ貨物輸送を行う航空会社のことを「貨物航空会社」といいます。
貨物機では、原則として旅客の輸送を行うことができません。
貨物航空会社はさらに、国際貨物の輸送を専門的に行う「国際貨物航空会社」と、日本国内での輸送を専門的に行う「国内貨物航空会社」に分けられます。
なお、貨物機と旅客機の両方の路線を持っている航空会社も複数あります。
航空会社社員の業務内容
ここからは、航空会社では具体的にどのような業務をしているのかを紹介しましょう。
航空会社の組織体制は企業によって異なりますが、大きく「運航」「整備」「運送」「管理・営業」に関連する各部門で成り立っており、それぞれ以下のような業務を担当しています。
運航
「パイロット」などが所属する部門です。
最先端かつ高度なコンピュータシステムで成り立っている航空機のしくみを理解し、安全運航を実現します。
整備
「航空整備士」などが所属する部門です。
空港の整備工場などで航空機の整備や点検を行い、ハード面から運航をサポートします。
運送
「キャビンアテンダント(客室乗務員・CA)」などが所属する部門です。
旅客や貨物輸送のサービス全般に関する業務を担当します。
管理・営業
総務、人事、経理・財務、経営企画、広報など、社員が働きやすい組織づくりや社内体制を整える社員が所属しています。
また、営業として航空券を旅行会社や企業・団体等へ販売する社員もおり、企業経営を支えます。
20代で正社員への就職・転職
航空会社社員の役割
航空会社の役割は、航空機を使って、人や貨物を安全に目的地まで運ぶことです。
日本ではかつて「全日本航空(ANA)」と「日本航空(JAL)」、そして「日本エアシステム(2004年に日本航空と経営統合)」という3つの大きな航空会社が国内線をほぼ独占し、現在でも全日空と日本航空は、誰もが知る航空会社として圧倒的な存在感を示しています。
一方、1990年代後半からの規制緩和によって、スカイマークやAIR DOといった航空会社も参入し、さらに近年はピーチ・アビエーションなど「LCC(格安航空会社)」の相次ぐ業界参入も話題を集めました。
このような航空会社は、各社とも独自の「路線」を有しており、たとえば羽田と大阪、羽田と札幌といったように各区間を結ぶ航空機を運航しています。
私たちは普段、自動車やバス、鉄道など、さまざまな乗り物を利用して各地を移動しています。
そのなかで航空会社は「航空機」という、非常に高速なスピードで各地を移動するためのサービスを提供しています。
航空会社に特有の職種
キャビンアテンダント(客室乗務員・CA)
キャビンアテンダントは、旅客機に搭乗し、乗客と触れ合う機会が多いため、各航空会社の顔として活躍する花形的な存在です。
「サービス」と「保安」の2つの役割を担い、乗客への機内サービスや、機内での安全面を確保・維持するための仕事に取り組みます。
「女性の仕事」というイメージが根付いていますが、とくに海外の航空会社においては男性のキャビンアテンダントも多くいます。
パイロット
地上の航空管制官と無線通信をしながら航空機を操縦し、目的地まで安全に乗客や貨物を運ぶ仕事です。
航空機の操縦には専門知識と技術が必要とされるため、厳しい訓練を乗り越え、操縦する航空機に応じたライセンスを取得した人だけがパイロットとして働けます。
フライト前には気象データや飛行経路、燃料などの確認を自ら行い、責任を持って安全なフライトを実現します。
グランドスタッフ
グランドスタッフは、空港において、利用客に対するさまざまなサービスを提供する地上職です。
おもな業務内容としては、チェックインカウンターでの航空券の発券や荷物の受け取りなどを行う「搭乗手続き」と、乗客をスムーズに誘導する「搭乗案内」の2種類があります。
実際に旅客機に乗り込む客室乗務員とは違う立場から、乗客や空港の利用客にサービスを提供します。
航空整備士
航空機の整備や点検を行う仕事です。
航空機は大小合わせて何万もの部品から成り立っており、もし不具合や欠落があると重大な事故につながる可能性があります。
その事故を防ぐため、フライト前に日常的に行う「ライン整備」や、一定の飛行時間を超えた場合に時間をかけて行う「ドッグ整備」などが行われています。
航空整備士は航空会社そのものではなく、航空会社系列の整備会社に所属している人も多数います。
ディスパッチャー
ディスパッチャーは、気象情報や機体の整備状態、乗客や搭載貨物の重量などあらゆる情報をまとめ、航空機が安全に目的地へたどり着くための「フライトプラン」を作る仕事です。
フライト前には必ず機長(パイロット)と打ち合わせを行い、フライト中は機長と無線で交信します。
天候や航空機の状態を確認しながら、航空機が安全に目的地までたどり着けるように監視・サポートしています。
航空会社に所属しない空港勤務の仕事もある
上記のほか、空港をはじめとする場所で働く職業として「航空管制官」「入国審査官」「入国警備官」などがあります。
しかし、これらは公務員として採用されている人たちで、航空会社に所属する社員ではありません。
このほか、空港警備を行う警備会社から派遣されて、空港の「警備員」として働くスタッフもいます。
航空会社の有名な企業
フルサービスキャリア(FSC)
日本の2大航空会社といわれているのが、「全日本空輸(ANA)」と「日本航空(JAL)」です。
この2社は、ビジネスモデル上の分類として「フルサービスキャリア(FSC)」と呼ばれています。
この後に紹介する「ローコストキャリア」といわれる航空会社よりも価格は高めですが、その分、座席の広さや充実した機内サービス(ドリンクやエンターテインメントの提供)、荷物の無料預けが可能(重量制限あり)など、顧客目線に立った快適なサービスを多数提供しています。
国内線・国際線の路線を多数有しており、機内勤務をするキャビンアテンダントやパイロットをはじめ、地上職の社員や、会社を裏方で支える管理部門の社員が協力して働いています。
ローコストキャリア(LCC)
フルサービスキャリアに対し、格安の航空会社として2012年以降に伸びを見せているのが「ローコストキャリア(LCC)」と呼ばれる航空会社です。
ローコストキャリアは、サービスの簡素化などによって低料金を実現し、航空機を手軽に利用できる魅力を打ち出して集客しています。
有名な大手ローコストキャリアには、「ピーチ・アビエーション(ANAの子会社)」「ジェットスター・ジャパン(JALが出資)「ジップエア・トーキョー(JALの子会社)などがあります。
大手2社のように世界中に多くの路線をもつのではなく、特定の地域やエリアに強みをもって運航する会社が目立ちます。