航海士の年収・ボーナス・初任給を解説 長期休み中も給料はもらえる?

航海士の活躍の場は、主に洋上(海の上)です。

陸上とは異なる特殊な環境で過ごす時間が長く、仕事には多大な責任や危険をともなうため、各企業では他の職種と比較すると給与は高めに設定されることが多いです。

ここでは、航海士の給料の特徴や平均年収、初任給、待遇などについて解説しています。

航海士の平均年収・給料の統計データ

船舶関連企業で働く航海士の給与は、ほかの業界・職種に比べてだいぶ高く設定されています。

新卒航海士の初任給が30万円を超えることもそう珍しいことではありませんが、高給がもらえるにはそれだけの理由があります。

航海士の仕事は常に危険と隣り合わせであるだけでなく、責任の重さも飛びぬけています。

いったん船に乗ると不規則な生活スタイルになり、長期間自宅に帰れないこともあるなど、ストレスもかかる職業です。

どれだけ給料がよいといっても、そのような責務に耐えることのできる人にしか航海士の仕事は勤まりません。

航海士の平均年収・月収・ボーナス

求人サービスの統計データから、民間各社の航海士として働く人の給料・年収をまとめました。

求人サービス各社の統計データ

職業・出典 年収 年収詳細
航海士
(給料バンク)
平均550万円~725万円 20代の給料:45万円
30代の給料:80万円
40代の給料:160万円
初任給:30万円
船長【タンカー・フェリー】
(給料バンク)
1150万円~1525万円 20代の給料:0万円
30代の給料:80万円
40代の給料:160万円
初任給:30万円
船舶乗務員
(Indeed)
406万円 時給1,021円
日給1.0万円
月給24.4.万円

各社のデータより、航海士の年収は500~1,500万円の間であることがわかります。

国家公務員の航海士の給料・年収

航海士は、国家公務員として働く人もいます。

国家公務員の給料は、法律で定められた「俸給表」に沿って支給されることになっており、航海士には「海事職俸給表」が適用されます。

「俸給」とは、毎月一定的にもらえる、いわゆる基本給のことを意味します。

各俸給表の平均年収は、公務員のボーナスである「勤勉・期末手当」を含めた金額から算出しています。

海事職俸給表(一)

海事職俸給表(一)は、一般的に航海士といわれる人のなかでも「船長」「機関長」「航海士」が該当します。

海事職俸給表(一) _2022

海事職俸給表(二)

海事職俸給表(二)は、「甲板長」や「機関員」として働く人が該当します。

海事職俸給表(二) _2022

出典:人事院「令和4年 国家公務員給与等実態調査」

航海士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

各社の統計データをもとに算出すると、民間各社の航海士の平均年収は700万円前後と考えられます。

ボーナスが年間でおよそ給料の3か月分出ると考えた場合、月額総支給額は46万円、ボーナスは年間140万円ほどの計算で、月の手取り額は42~43万円ほどになるでしょう。

現在、日本人全体の平均年収が約443万円(令和3年分民間給与実態統計調査)であることから考えると、航海士の給与水準はかなり高めとなっています。

航海士の初任給はどれくらい?

民間の海運会社に就職した場合、初任給は月額22~25万円程度が相場と考えられます。

ただし、外航海運大手に就職した場合、初任給で40万円を超えることもあるといわれます。

また、船に乗ると1日ごとに付く「乗船手当」などの各種手当が用意されている会社が多いです。

一方、海上保安庁に所属し公務員の船舶職員となる場合には、採用試験を受けて採用されたのち、海上保安大学校や海上保安学校で海上保安官として必要な知識を学びます。

海上保安学校もしくは海上保安大学校に入学したばかりでも、国家公務員としての給与が俸給表に沿って支給されます。

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航海士の給料・年収の特徴

階級によって決まる給与

航海士には、船長を筆頭に1等から3等までの階級が存在します。

階級が上がるほど給与も高くなりますが、仕事に対する責任と重圧は増します。

船をまとめる船長クラスになると給与は相当高く設定され、年収が1000万円を軽く超えることも少なくありません。

大型客船の船長になると、年収1500万円~2000万円ほどに達する人もいるといわれます。

特殊な勤務手当で貯金が増えやすい

航海士は船上で寝泊まりする勤務体制によって、生活費や光熱費がかかりません。

また、船の上にいる時間は外食やショッピングもできないため、自然と貯金額が増えていく傾向にあります。

ただ、外航船の航海士は乗船中に自由にストレス発散をしづらい分、乗船期間後の長期休暇時に豪快にお金を使う人もいます。

航海士の福利厚生の特徴は?

危険な作業の多い航海士の仕事には、一般的な健康保険よりも手厚い「船員保険」と呼ばれる独自の保険制度が用意されています。

一定規模以上の船舶や海に出る船舶の船員は、この船員保険に入ることができます。

年金制度についても、一般の厚生年金や国民年金とは違った独自の制度があることから、保険や年金の補償は手厚いといえるでしょう。

なお、航海士の勤務体制は極めて特殊で、乗船する船によっても大きく変わりますが、3カ月の乗船後に1カ月の休暇を取るといった長期休みもあります。

この休暇中ももちろん給料が支給され、長期休みだからと言って給料がもらえないことはありません。

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航海士が所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
日本郵船 971万円 39.6歳
商船三井 986万円 37.0歳
川崎汽船 831万円 38.2歳

出典:2019年現在(各社有価証券報告書より)

日本郵船の平均年収

日本郵船の平均年収は971万円です。

商船三井・川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の1社で、国内・海外を合わせて350以上の都市の港へ乗り入れており、運航船舶数規模屋売上高で日本では1位、世界でも最大手といわれる海運会社です。

商船三井の平均年収

商船三井の平均年収は831万円です。

売上高は国内2位で、天然ガスなどエネルギー輸送分野に強みを持つ会社です。

航海士の給料・年収のまとめ

航海士の平均年収は700万円前後と、一般企業に比べて高く設定されています。

新卒の航海士の初任給が30万円を超えることもそう珍しいことではありませんが、その仕事内容は常に危険と隣り合わせであるだけでなく、責任の重さも飛びぬけています。

階級が上がればその分責任も増しますが、1000万円を超える年収を実現することも夢ではありません。