国会議員にはどんな特権がある? 優遇されることは?

国会議員には、その仕事の特性上さまざまな特権や優遇が与えられています。

しかし、こうした特権と優遇は、市民生活との差を開かせることにつながり、いつの時代も議論を巻き起こしています。

国会議員の特権とは具体的に何か、そしてその影響はどのようなものなのか、詳しく解説します。

国会議員の3つの特権

国会議員には、憲法で守られた3つの特権があります。

これらの特権は、政府や他の人々による不当な干渉から守るためのものです。

1. 逮捕されない権利

国会議員は、国会が開催されている間は逮捕されません。

もし会期前に逮捕された場合でも、議員が所属する議院が要求すれば、その期間中は釈放されます。

ただし、現行犯の場合や議院の許可があれば、会期中でも逮捕されることがあります。

2. 責任を問われない権利

国会議員は、議院の外で行った発言や議論、投票について、責任を問われません。

これにより、国会議員は自由な言論や活動を行うことができ、国会の審議を円滑に進めることができます。

3. 議員報酬を受ける権利

議員は、議員としての活動を支えるために、給与などの報酬を受け取る権利があります。

これは、彼らが国会での仕事に集中できるようにするためのものです。

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国会議員は優遇されている?

国会議員は、特権だけでなく、さまざまな面で優遇を受けています。

文書通信交通滞在費

年間1200万円の文書通信交通滞在費が支給されます。

この費用は公的文書の送付や交通費に使われます。

また、都心にある議員宿舎では、月数万円の家賃で住むことができます。

立法事務費

国会議員は、立法に関する調査研究のために、月額65万円の立法事務費を受け取ります。

雑費

議会内で役員や特別委員長、会長を務める議員は、日額6,000円までの雑費を受け取ることができます。

特殊乗車券、航空券

JRパスや航空券引換券が支給され、議員はほぼ全線無料で移動できます。

また、地元と東京間の航空券も月4回分無料で利用できます。

秘書の給与

議員秘書3人分の給与は、年間約2500万円も国が負担します。

海外視察

議員は公費で海外視察に参加できます。

ファーストクラスの飛行機を利用し、一人あたり185万円までの旅費が支給されます。

総額は約2億1000万円までです。

優遇措置の見直しも

かつて、国会議員には「国会議員互助年金」と呼ばれる年金制度が存在しました。

この制度では、国会議員が10年以上務めると、65歳から年金が支給され、その最低額は国会議員としての給与に加えて約412万円の国民年金がプラスされていました。

しかし、この制度に対して国民から批判の声が上がり、2006年に廃止されました。

国会議員や地方議員の年金制度が特権的と見られ、批判を浴びたことがその背景にあります。

ただ、最近では議員の不足や高齢化などから、この制度を復活させる動きもあります。

国会議員は新幹線のグリーン車での移動や、立派な議員宿舎での生活など、多くの優遇があるとされています。

しかし、時代の変化に合わせて段階的に削減や廃止されることもあります。

最近では、景気の低迷の中で国会議員に対する厳しい目が向けられており、これらの特権や優遇を継続することは、国民から批判されやすく、政治不信を招く可能性があります。

国際的な比較や時代の変化に合わせて、こうした待遇についても今後変化する可能性があります。

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海外の国会議員と比べると?

議員報酬国際比較(2019年度調査)

1位  シンガポール 88万8428ドル(約9772万円)
2位  ナイジェリア 48万0000ドル(約5280万円)
3位  日本 27万4000ドル(約3014万円)
4位  ニュージーランド 19万6300ドル(2159万円)
5位  アメリカ 17万4000ドル(1914万円)
6位  オーストラリア 14万1300ドル(1554万円)
7位 イタリア 14万3352ドル(1576万円)
8位  ドイツ 13万3279ドル(1466万円)
9位 カナダ 13万0710ドル(1437万円)
10位 オーストリア 11万7903ドル(1296万円)
11位 ノルウェー 10万8907ドル(1197万円)
12位 アイルランド10万6389ドル(1170万円)
13位 オランダ 10万4076ドル(1540万円)
14位 イギリス 10万2364ドル(1126万円)
15位 デンマーク 10万0587ドル(1106万円)
16位 フランス 9万8647ドル(1085万円)
17位 ベルギー 9万7549ドル(1073万円)
18位 ロシア 9万3330ドル(1026万円)
19位 フィンランド 8万9317ドル(982万円)
20位 スウェーデン 8万6556ドル(952万円)

日本の議員報酬は、シンガポール、ナイジェリアに続き世界3位です。

現在日本の議員報酬は、改正国会議員歳費法によって2割がカットされていますが、それでも高い水準です。

さらに、数々の手当を含めると世界トップクラスの水準になります。

5位のアメリカの議会では、下院と上院の議員に支給される手当に大きな差があります。

下院では「議員代表職務手当」が支給され、この手当から、交通費や通信費、秘書給与などの経費が支出されます。

一方、上院では「秘書・事務所費用会計」として、事務費から秘書給与までのすべての経費が支出されます。

そのため支給額は約2億4000万円から4億円程度であり、下院と比べて大幅に高額です。

8位のドイツの議員報酬は1466万円で、欧州では2位です。

秘書の人件費として最大23万9000ユーロ(約3100万円)が支給され、秘書の数には制限がありますが、近親者の雇用は禁止されています。

16位のイギリスの議会では、上院は貴族院として世襲制度により構成されてきましたが、現在は削減され無報酬となっています。

下院では、基本給に手当が加算されますが、各議員が実費を精算するため、内容が異なります。

2009年には多くの不適切な経費請求が発覚し、ルールが厳格化されました。

現在では公開が義務づけられ、誰もが情報を入手できるようになっています。

14位のフランスの議員報酬は1085万円で上院では約952万円、下院では929万円が支給されています。

国会議員の特権のまとめ

国会議員には、法的な特権や経済的な優遇が与えられます。

国会議員は憲法で保護された特権により、国会会期中は逮捕されないなどの特権を享受します。

また、高額な議員報酬や豊富な手当て、無料乗車券などの優遇措置もあります。

これらの特権と優遇は、一般市民との格差を生み出す一因となっており、しばしば議論の的となっています。