海運会社への転職・中途の未経験採用はある?
海運会社への転職・中途の未経験採用はある?
求人はさほど多くない
海運業界は市場規模自体は大きいものの、少ない人数でビジネスを回している業界のため、そこで働いている労働人口はさほど多くありません。
そのため採用人数も少なめであり、業界最大手の海運会社であっても毎年50人程度しか新卒採用を行っていません。
中途採用においてはさらに募集人数は少なくなり、若干名の募集となることが多く、求人募集をほとんど出さない会社もあります。
また海運業界というのは、景気変動の波を受けやすい業界です。
景気が上向いている時期には求人数も増えてきますが、不景気になると採用活動を一切停止する会社もあります。
経験者向けの求人が多い
海運業界は専門的な知識やスキル求められる業界であるため、中途採用の場合は経験者向けの求人が目立ちます。
「海運業界で仕事経験のある人のみ」、「〇〇業務の経験〇年以上」と具体的な指定のある求人も多いです。
技術職や海上職においてはより制約が厳しくなり、「理工系学部出身者のみ(技術職)」、「〇級海技士以上の資格を有している人のみ(海上職)」などの条件が設定されています。
特に大手の海運会社では、求人倍率も高いことから制約も厳しくなりやすく、未経験者が中途で入社するのは狭き門となるでしょう。
未経験向けの求人もある
数は限られてくるものの、未経験向けの求人も一部存在します。
とくに営業や事務などオフィス系の職種、海上職の船員(甲板船員)の求人の多くは未経験者向けです。
技術職の場合は未経験採用であっても、理工系学部出身者で制限されることもあります。
また昨今の海運業界では、少子高齢化などの影響により人手不足が進んでいます。
特に中小や地方の海運会社では人手が集まりにくいため、人手不足を解消するために積極的に未経験者を採用する動きも見られます。
20代で正社員への就職・転職
海運会社への転職の志望動機で多いものは?
転職者の志望動機はさまざまではありますが、一般的に次のような動機を述べる人が多いです。
<転職者の志望動機で多いもの>
・海運業界のグローバルな環境で、海外相手の営活動業を行いたい(営業職経験者)
・現在とは異なる海運会社の環境で船の技術開発を行いたい(技術職経験者)
・大型船の運航に携わりたい、外航海運の会社で海外への航海を経験したい(海上職経験者)
・船や海が好きで、「好き」を仕事にしたい(未経験者)
・語学力を生かした仕事がしたい(未経験者)
経験者の場合は、現在働いている海運会社では実現が難しい目標があり、それを他社で実現するために転職するというケースが多めです。
したがって、志望動機においても「貴社で〇〇の業務にたずさわりたい」と具体的な目標や目的を持っている人が多いです。
未経験者の場合は、「船や海が好き」や「英語を生かしたい」、「世界を舞台に働きたい」など、新卒学生のようにパーソナルな部分からくる動機を述べる人が目立ちます。
未経験から海運会社で働くには
未経験向けの求人に応募する
前述もしたように、数は少ないものの未経験向けの求人というのも存在します。
未経験向けの求人であれば、文字通り海運業界での職務経験などは不要であり、基本的には誰でも応募可能です。
まずはそのような未経験向けの求人で採用され、海運業界に入り込むことがキャリアの第一歩となります。
未経験で入社できる中小企業などで経験を積み、ゆくゆくは大手の海運会社に経験者としてキャリアップ転職する道も描けるでしょう。
未経験から海上職を目指す場合
海上職の場合、働くうえで「海技士」の国家資格が必要になります。
そのため、海上職を目指す人の多くは、船員教育機関に該当する大学・高専(高等専門学校)・専門学校などで養成教育を受け、3級海技士などの資格を取得した上で海上職に就職しています。
ただし学校には通わず、海上職に就くルートもあります。
一つは、海運会社の自社養成コースで採用されるルートです。
自社養成コースでは、未経験者も採用対象となり、一から海技士資格取得に向けた養成を会社内で受けることができます。
もう一つは、船員(甲板船員)として採用されるルートです。
船員の場合は、専門的な海上職(航海士や機関士など)のように国家資格が問われることなく、未経験・未資格であっても働くことは可能です。
また船員として働いた期間は、海技士試験を受験するために必要な「乗船履歴」としてカウントされるため、のちのち海技士試験を受けるための足掛かりとなります。
20代で正社員への就職・転職
海運会社への転職に必要な資格・有利な資格
陸上職は資格不要
営業、事務、運航管理、技術開発など、「陸上職」にはさまざまな仕事があります。
陸上職の場合は、働く上で必須となる資格や免許というのはなく、なんの資格を持っていなくとも陸上職に就くことは可能です。
ただし、海外相手にビジネスをする海運会社では英語力が必要不可欠です。
特に陸上職の場合は、メールの応対やドキュメント作成などで英語を使うことも多いため、リーディングやライティングの能力も求められます。
そのため、「TOIEC」「TOEFL、「英検」などで高スコアを所持していると、語学力の証明となり、面接でもプラス評価に繋がりやすいです。
海上職は海技士資格が必要
海上職として働く場合には、「海技士」の国家資格が必要となります。
中途採用では「〇級海技士以上の資格を有している人のみ」が採用条件に設定されていることも多いです。
海技士資格には1級~6級までのレベル分けがあり、上位の級を取得しているほど、面接での評価も高まります。
最難関の1級海技士を取得すれば、大型船の船長や機関長のポジションにも立てるため、転職先の選択肢も広がってきます。
海運会社への転職に役立つ職務経験は?
次のような職務経験は、海運会社で働く上でも役立ちます。
<役立つ職務経験>
・海外企業や国籍の違う人を相手にビジネスをした経験
・チームや集団で仕事を進めた経験
・マネジメント力やリーダーシップ
・英語力や国際経済の知識
・海運、海洋、造船、物流などに関する知識
海運会社では海外とやりとりすることも多く、国籍・文化・価値観も違う相手とコミュニケーションをとらなければならない機会も多いです。
そのため、海外相手にビジネスをした経験、外国人と共に仕事をした経験、仕事で英語を用いた経験などは強みとなりやすいです。
また、海運業界の多くの職種では、チームプレイが求められます。
周囲のメンバーや社内の他部署と連携しながら仕事を進めるため、チームやプロジェクトを組み仕事を進めた経験、マネジメントやリーダーシップをとった経験は重宝されるでしょう。
海運会社に転職可能な年齢は何歳くらいまで?
海運業界では人手不足が進んでいることもあり、「年齢不問」「経験不問」で採用を行う会社も増えてきています。
そのため、より好みをしなければ、年齢関係なく転職は可能であるともいえます。
とはいえ未経験の転職では一般的に年齢が若いほうが有利であり、海運業界においてもそれはいえます。
ある程度年齢を重ねてから未経験転職を行う場合には、関連する資格を取得するなど、年齢のハンデを埋めるための努力も必要になります。
また海上職においては、「35歳未満」で制限している求人も少なくありません。
海上職の場合は、何週間、何カ月ものあいだ船上での生活となることもあるため、体力や持久力も求められます。
年配者の場合、仮に海上職に採用されたとしても体力的な壁にぶつかることもあるので、第一線で活躍するには身体づくりも必要になります。