海上保安官の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
海上保安官の仕事とは
海の治安を守る国家公務員
海上保安官とは、海上の安全と治安を守ることを任務とする、海上保安庁に所属する国家公務員です。
主な任務として、領海警備、海難救助、災害対応、海上犯罪取り締まり、船舶の航行安全などが挙げられ、日本の海が安全な状態であるように日々の業務にあたっています。
海上保安官を大きく分けると、おもに「海上で勤務する船員」と、空から海上の保安をつかさどる「航空要員」がいます。
そこから担当する業務ごとに職種がさらに細かく分けられ、船員の場合は航海科職員、機関科職員、通信科職員、航空要員の場合は飛行科職員、整備科職員、通信科職員などが活躍しています。
ほかにも陸上勤務をメインとした職種もあり、多様なプロフェッショナルが日本の海を守っています。
海上保安庁の「五つの使命」
海上保安庁では、以下の「五つの使命」を業務の基礎として挙げています。
1.治安の維持
2.海上交通の安全確保
3.海難の救助
4.海上防災・海洋環境保全
5.国内外機関との連携・協力
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海上保安官の業務の内容
海上保安官の業務は、海上をメインとするものが多いですが、そのほか陸上や空をメインとするものもたくさんあります。
海上での業務
海上での業務は、船上での勤務が中心です。
全国の海上保安部署に配置されている「警備救難業務用船」や「海洋情報業務用船」などに乗船し、業務を行います。
船の最高責任者である「船長」を筆頭に、次のような任務を行う役職があり、それぞれが協力し合い巡視船艇を運航しています。
- 業務管理官:船長を補佐しつつ業務計画を立案
- 航海科職員:操船や見張りなど船の運航に関わる業務
- 通信科職員:他船との通信や通信機器の整備
- 機関科職員:船そのものの整備
陸上での業務
陸上での業務を担当する海上保安官は、霞ヶ関にある海上保安庁や全国11ヵ所にある管区本部にて、次のようなことに従事します。
空の業務
空に関する業務を担当する海上保安官は、全国各地の基地を拠点に、配備されている飛行機やヘリコプターの運航や整備などに携わります。
- 飛行科職員:パイロットとして業務にあたる
- 整備科職員:機体整備や燃料管理などの業務を担当
- 通信科職員:通信機器の整備や航空機、基地、巡視船との相互通信業務を担当
海上保安官の役割
海上保安官は海上保安庁に属する国家公務員として、海上での犯人捜査や逮捕、船舶交通の規制や海難救助など、海上の保安に関する業務に従事します。
あくまでも海上の治安確保を主な任務としており、その前提で海上、陸上、空での業務にあたっています。
なお、海上保安官には「特別司法警察員」としての「逮捕権」も与えられており、「海の警察官」と呼ばれることもあります。
また、海上保安官のなかでも、とりわけ専門的な知識や能力を駆使して働く部隊として、以下のようなスペシャリストもいます。
- 外国人犯罪の捜査を行う「国際捜査官」
- 船舶事故や船内窃盗事件などの捜査を行う「鑑識官」
- 地震・津波・火山といった自然災害による船舶被害を防止するための調査を行う「海洋防災調査官」
- 特殊海難に対応する「特殊救難隊」
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海上保安官の配属先の種類
巡視船などの船
船で働く海上保安官は、船長を筆頭に、業務管理官、航海科職員、通信科職員、機関科職員などの職種に分かれて協力しながら働きます。
全国十一管区に分けられており、いずれかの管区で任務にあたります。
どの管区でも基本的な仕事は変わらず、領海の安全を守ることを目的に任務にあたります。
海上保安庁や全国11カ所の管区本部
陸上勤務を行う海上保安官もいます。
ここでは、広報や職員人事、予算執行や情報システム管理、海図作成などを担当し、いわゆるデスクワークの仕事が中心です。
飛行機やヘリコプターが配置されている基地
航空関連設備のある基地では、飛行科職員(パイロット)や整備科職員(整備関連担当)、通信科職員(通信関連担当)などが活躍しています。
なお、飛行機やヘリコプターが配置されている基地は全国に十数カ所あります。
特殊救難隊
特殊救難隊は特殊海難に対応するスペシャリストで、船舶事故や火災からの高度な人命救助技術を有した隊です。
第三管区海上保安本部羽田特殊救難基地が勤務先となり、要請に応じて全国の事故現場に急行します。
そのほかの勤務先
海上保安官の活躍する場は多岐にわたるため、勤務先もまだまだたくさんあります。
航行管制業務を担当する海上保安官は東京湾や伊勢湾、関門海峡など7ヵ所ある海上交通センターにて、海上保安業務に必要な海上犯罪の科学捜査や化学物質などの分析鑑定を行う海上保安官は、東京都立川市にある海上保安試験研究センターで働いています。
外交官として出向されるケースもあり、その場合は世界各国が勤務先となります。
海上保安官の仕事の流れ
ここまで紹介してきたように、海上保安官といっても職種もさまざまで、業務内容により1日の流れは大きく異なります。
ここでは海上保安官を象徴する巡視船乗船時の流れを紹介します。
<巡視船乗船時の1日>
乗務する巡視船の大きさにより行動日数が変わります。大型船は2週間前後、中型船は5日間程度、小型船は日帰りから2~3日間となっています。
船に乗ってしまうと24時間パトロールとなるため、数日間船に乗る際は基本的に3つの当直に分け、4時間ごとの交代制をとるのが一般的なスタイルです。
船の大きさや乗組員の人数によってシフトは変わるためあくまでも一例ですが、9:00~13:00まで業務を行い、午後は消火訓練や射撃訓練を行い、夕食・入浴後に21:00~1:00まで業務を行うといった流れです。
海上保安官と海上自衛隊との違い
海上保安官の業務は大きく分けて、「警備救難業務」「海洋情報業務」「海上交通業務」の3つに分類できます。
そのうち「警備救難業務」は海上自衛隊と一部の業務が重複しています。
「警備救難業務」とは領海内で発見した不審船の取り締まりなどを行う業務です。
海上自衛隊も同様の任務を担っていますが、明確な住み分けがされています。
海上自衛隊はあくまでも外部からの侵略を防衛することを任務としている一方、海上保安官は海の治安を守ることを任務とします。
海上保安官は「海の警察」として不審船の乗組員に対して逮捕権を持っていますが、海上自衛隊には逮捕権はありません。