海上保安学校の難易度・合格率・倍率
海上保安学校とは
海上保安学校は、海上保安庁の専門職員の育成を目的とした学校です。
京都府舞鶴市にある校舎で寮生活をしながら、共通科目のほか、それぞれの専門課程に応じた科目を学びます。
学生とはいえ、身分は国家公務員であるため給料が支給され、入学金や授業料なども一切不要です。
共通科目は筋力と持久力を高める「保健体育」、海上保安庁職員に必要な品位や規律の厳正を学ぶ「基本動作」、そして海上保安官として必要不可欠な「水泳」の修得や警備救難業務に必要な技能訓練を行います。
専門課程は、船舶運航システム課程(2年)、航空課程(1年)、管制課程(2年)、情報システム課程(2年)、海洋科学課程(1年)の5つが設置されており、採用試験時に選択します。
船舶運航システム課程(2年)
航海コース、機関コース、主計コースの3つに分かれており、コースを選択した上で試験を受けます。
海上保安官として必要な巡視船艇運航に関する知識や技能、海上犯罪取締に対する知識を学ぶこと基本に、コースごとに専門知識や技術を習得していきます。
航空課程(1年)
航空機のパイロットに必要な基礎教養ならびに海上犯罪取締に対する知識習得を目的とした課程です。
航空業務に欠かせない通信技術や業務用基礎英語、航空機概論に航空関係法規といった科目を学びます。
卒業後はヘリコプタ-と飛行機に分かれ、宮城分校や海上自衛隊にて操縦技術などの習得を行い、パイロットの国家資格取得を目指します。
管制課程(2年)
船舶を安全に航行させるための運用管制官を育成する課程です。
おもに、以下のようなことを学びます。
- 情報通信:無線技術や機器保守などの技術と知識
- 運航管理:運用管制業務に関わる知識
- 海上交通:海上交通法規をはじめ船舶航行の安全確保のための知識
このほか、運用管制業務に必要となる「英語」、管制シミュレータ装置を使用し実務に近い訓練を行う「シミュレータ実習」といった専門科目を学びます。
情報システム課程(2年)
情報システム課程では航行を安全に運ぶための知識や技術、通信機器の運用や管理などを習得します。
専門科目として、以下のようなことを学びます。
- 基礎電子工学・情報通信:無線機器の保守管理や電波伝搬
- 通信実技:巡視船や航空機などの通信に必要な技術
- 航行援助システム:灯台をはじめとした航路標識の動作原理や運用
- 海上交通:海上交通法規を中心に船舶を安全に航行させるための基礎知識
海洋科学課程(1年)
海洋科学課程は、航海をスムーズに進行させるために必要な海洋データを収集し活用する人員を育成する課程です。
専門科目として、以下のようなことを学びます。
- 基礎科学:海洋調査に必要な学問の基礎
- 海象・気象:海洋調査に関わる海象や気象の基礎と観測技術
- 水路図誌、海図編集:海図や水路図の基礎や編集技術
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海上保安学校の受験資格
海上保安学校を受験できるのは、以下のいずれかを満たした人です。
【4月入校】
(1)試験年度の4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して12年を経過していない者及び試験年度3月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者
(2)高等専門学校の第3学年の課程を修了しており、試験年度4月1日において当該課程を修了した日の翌日から起算して12年を経過していない等人事院が(1)に揚げる者と同等の資格があるとみとめる者
【10月入校】
(1)試験年度4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して13年を経過していない者及び試験年度9月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者
(2)高等専門学校の第3学年の課程を修了した者であって、試験年度4月1日において当該課程を修了した日の翌日から起算して13年を経過していない等人事院が(1)に揚げる者と同等の資格があるとみとめる者
参考:海上保安学校
海上保安学校の難易度・勉強時間
海上保安学校の試験に合格するためには、最低でも高校卒業レベルの学力は必要です。
ただし海上保安学校は全国から人が集まるため受験者数も多く、高校生が受けるほかの公務員試験よりも難度は高いといえます。
参考までに2023年度の各課程の倍率は、以下の通りです。
- 船舶運航システム課程:4.6倍
- 航空課程:9.3倍
- 情報システム課程:3.1倍
- 管制課程:4.9倍
- 海洋科学課程:4.5倍
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海上保安学校学生採用試験の難易度・合格率
海上保安学校採用試験申込者数
海上保安学校採用試験の申込者数は、近年4,000人前後を推移しておりましたが、2023年度は前年度よりやや減少し3,140人となっております。
海上保安学校 船舶運航システム課程(特別)申込者数
船舶運航システム課程(特別)の申込者数は2017年度以降減少の傾向があり、2023年度は3,837人となっております。
海上保安学校試験採用倍率
2021年度は、航空課程の倍率が急上昇し35.9倍となりましたが、2023年度の倍率は9.3倍に落ち着いています。
2023年度の採用試験の倍率は、船舶運航システム課程は4.6倍、情報システム課程は3.1倍、海洋科学課程は4.5倍、船舶運航システム課程(特別)は3.1倍、管理課程は4.9倍となっています。