介護福祉士から他業界に転職する人は多い? 離職率は?
介護業界の離職率
平成29年度「介護労働実態調査」の結果によると、介護の離職率は16.2%となっており、5人から6人に1人が職場を離れていっていることが分かります。
勤続年数で見ると、「1 年未満の者」が 38.8%、「1 年以上 3 年未満の者」が 26.4%で、両者を合計すると 65.2%と仕事に就いたものの早期に退職する人が非常に多いのがわかります。
また「3年以上の者」は34.9%とほかの仕事と比べると離職率は高いものの、勤続年数が増えるにつれて離職率は比較的安定しているといえます。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター 平成29年度「介護労働実態調査」の結果
介護業界からの離職理由
介護業界からの離職理由としては「職場の人間関係に問題があったため」が 20.0%で最も高く、次いで「結婚・出産・妊娠・育児のため」18.3%、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」17.8%となっています。
離職理由は大まかに「職場環境によるもの」と「職場の人間関係」にわかれます。
職場環境によるもの
給与や待遇面の不安・不満を上げる人は多くいます。
介護という人の命に関わりかねない大変な仕事でありながら非正規雇用で働く人も多く、給料もそれほど高くないのが現状です。
施設によって給与や待遇面にもだいぶ差があるため、現状の職場よりももっと条件のいい職場で働くために転職を考えたり、他の職種へ転職したりする人は多くいます。
また結婚や出産・育児を理由に辞めてしまう人が多いのも、結婚生活や育児をしながら働ける環境ではなく、運営体制に問題があるといえるでしょう。
職場の人間関係
施設では他のスタッフやケアマネージャーなどの管理職、看護師・医師などの医療チームと連携して働くことになります。
協力できる人がいることは心強いですが、すべてのスタッフと気が合うとは限りません。
人間関係がうまく構築できずストレスが積み重なり、それによって辞めてしまう人もいるようです。
転職してどのような仕事に就くか
介護業界にとどまる人は少ない
公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護業界に中途採用で採用される人は全体の82.3%、介護関係からの転職は28.3%となっており、約3割もありません。
つまり、介護の職から介護の職へと転職する人はほとんどいないという結果です。
1年から2年で退職する人が多いことから見ても、介護業界の定着率が低いことがうかがえます。
一度介護の現場を体験すると介護の仕事に見切りをつけてしまい、キャリアアップをしたり他の施設に移ったりしようと考える人は少ないようです。
介護業界にとどまる場合
一方、介護福祉士は経験を積むことで「ケアマネージャー」を目指したり、施設のマネジメントに携わったりすることもができます。
また同じ国家資格である「社会福祉士」を視野に入れてキャリアを築く人もいます。
ケアマネージャーと介護福祉士を兼務する人は多く、どちらの業務にも携われるようになれば、給料もアップさせやすいようです。