介護福祉士の需要・現状と将来性
介護福祉士の現状
日本は急速に高齢化が進み、核家族の増加や生涯独身率も高まっていることから、かつてのように家の中だけで介護を行うのは難しくなりつつあります。
2000年に介護保険制度が成立し、多くの民間事業者が介護業界に参入して事業として介護サービスを提供し、介護福祉士の活躍の場はますます広がっていますが、その待遇は大きな社会問題となっています。
介護の仕事は低賃金で労働環境も厳しいため人材確保は難しく、離職率も高いのが現状です。
介護福祉士の需要
介護福祉士のニーズ
慢性的に介人材が不足しているなか、介護福祉士は介護のどの職場でも、管理職や主任クラスの介護職員として仕事をすることが期待され、重要な役割を持っています。
介護福祉士の社会的認知度や評価も上がっており、国家資格の介護福祉士は現場では信頼度が高くなってきています。
今後はますます介護のニーズが高まり、介護サービスが充実していくにつれ、介護福祉士の必要性が高まっていくでしょう。
介護福祉士の資格の優遇
近年では介護の仕事をする際に、ホームヘルパー資格だけでなく介護福祉士の資格取得を義務付けようとする動きがあり、今後は介護福祉士の資格取得者がより優遇されるようになるでしょう。
介護報酬の改正が行われ、デイサービスに介護福祉士を40%配置している、また老人福祉施設で50%配置しているなど、介護福祉士の雇用割合をクリアすると行政からの援助がもらえるようになりました。
介護報酬は事業所の直接の収益になるので、雇う側としては介護福祉士を積極的に採用したいと考えるようになるでしょう。
介護福祉士の将来性
介護サービスが必要とされ続ける一方、今なお介護職に就く人材は不足しています。
利用者のニーズが多様化するなか、今後は量より質を重視した専門性の高い介護福祉士が求められると考えられます。
介護福祉士の専門性については「看護」と「介護」の業務内容が似ていることから、最近では教育内容を見直し、介護福祉士養成校のカリキュラムの再編成が行われています。
これにより実習時間が大幅に増え、介護福祉士は他の介護系の資格や介護職員基礎研修・ホームヘルパー研修・実務者研修修了者よりも上位資格として位置づけられ、より専門性の高い資格として認知されていくでしょう。
介護福祉士の今後の活躍の場
介護福祉士の活躍の場
介護福祉士の仕事場は多岐に渡ります。
高齢者や障害者への介護業務をする介護施設や在宅介護の事業所(ヘルパーステーション)のほか、介護の相談機関である社会福祉協議会や地域包括支援センターなど、介護福祉士の専門知識を生かす場はたくさんあります。
特に訪問介護事業所(ヘルパーステーション)では、介護福祉士をはじめとする「サービス提供責任者(主任ヘルパー)」を必ず1人以上置くことが義務付けられており、こうした点からも国家資格を持つ介護福祉士のニーズが高まっています。
介護ロボットの実用化
超高齢社会の日本では、今後誰が介護を担うのかが大きな社会問題です。
そこで近年考えられているのが「介護ロボットの普及」です。
厚生労働省は「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」という介護現場のニーズに適した実用性の高いロボットの開発を促進し、介護ロボットが実用化できるよう環境を整備する取り組みも始まっています。
介護の仕事は人の手を介して行うことが尊いといった美徳観が根強い仕事ですが、日本の高度な水準のロボット技術を活用することで、利用者・介護者双方の負担が軽減することができ、高齢者の自立支援につなぐことができます。
将来、介護福祉士の仕事である移乗の介助や移動の支援、排泄支援、認知症の方の見守りなど、介護ロボットが担っていくことになるかもしれません。
参考:介護予防サービス及び介護サービスの年間実受給者数
介護予防サービス及び介護サービスの年間実受給者数は平成29年に減少しましたが、令和元年以降増加しています。令和2年度時点で、6,219,000人が受給しています。