ジュエリーデザイナーになるには
ジュエリーデザイナーになるまでの道のり
ジュエリーメーカーやデザイン会社へ就職
ジュエリーデザイナーは、いきなり独立してアトリエをかまえることは難しく、まずは学校や企業などで必要な知識を学ぶことが求められます。
卒業後はジュエリーメーカーやデザイン会社などに就職して、ジュエリーデザインの業務をこなしながら、ジュエリー業界の動向を勉強するのが一般的です。
ジュエリーデザイナーの業務
ジュエリーデザイナーの仕事には大きくわけるとジュエリーデザイン、クラフト(ジュエリー製作)、商品管理の3つの工程があり、すべての業務に携わることは少なく分業するのが一般的です。
企業内デザイナーであれば、デザイナーは企画の立案やデザイン画作成、指示管理、商品チェックなどに特化します。
そして実際のジュエリー製作はおおむねクラフトマン(ジュエリー職人)が担当したり、工場などに外注したりします。
ジュエリーメーカーの求人状況
一般的な求人情報はあまり多いとはいえません。
しかしジュエリーメーカーのサイトから採用情報を丹念に探したり、学生時代につちかった人脈を生かしたりすれば希望する会社を見つけることができるでしょう。
新卒採用としてジュエリーデザイナー職の募集をしている企業もあります。
しかし一般的には「営業」「企画」「デザイン」「設計」「品質管理」「店舗スタッフ」「制作(仕上げ部)」といった幅広い職種を募集しているところが多いため、まずジュエリー業界に入ることが大切です。
ジュエリー業界研究の必要性
ジュエリーデザイナーは専門的な知識や技術が必要な職業であり、求人情報も少ないなかで就職活動をするためには、ジュエリー業界の歴史や動向を研究する必要があります。
たとえば権威あるジュエリーデザイナーのコンテスト「ジュエリーデザインアワード」を主催する「日本ジュエリー協会」や「日本ジュエリーデザイナー協会」のHPから情報を得ることができます。
また日本で唯一の宝飾品問屋街として知られる東京・御徒町(おかちまち)や水晶の産地としてジュエリー産業が盛んな山梨県では、クラフト(ジュエリー製作)について調べられます。
ほかにもジュエリー業界に関わるあらゆる研究をすることによって、自分のめざすジュエリーデザイナー像がはっきりするでしょう。
漠然とした就職活動ではなく、積極的な働きかけができるよう下調べをすることが大切です。
マッチングサイトの活用
芸術系、美術系の学生やデザイナー、クリエイター向けのビジネスマッチングサイトサービスを利用する方法があります。
同じデザイナーでもグラフィックデザイナーやファッションデザイナー、プロダクトデザイナーなどのほうが需要は圧倒的に多く、ジュエリーデザイナーの需要は少ないのが現状です。
そのためこうしたツールを使い、自ら情報を発信することによって就職の可能性が広がる可能性もあります。
20代で正社員への就職・転職
ジュエリーデザイナーの資格・難易度
ジュエリーデザイナーになるための資格はありませんが、デザイン、ジュエリー製作、マーケティングなどジュエリーに関わる資格はいくつかあります。
ジュエリーデザイナーに関わる国家検定としては「貴金属装身具製作技能士」があります。
また「ワックスジュエリー検定」「ジュエリーデザイン画検定」「シルバージュエリー検定」などの民間資格を取得している人も多いです。
ジュエリーデザイナーを目指す人におすすめの資格は?
宝石鑑定士
ジュエリーデザインに欠かせない「宝石鑑定士」の資格は2つあります。
ダイヤモンドの格付け基準「4C」を考案した「米国宝石学会(GIA)」の認定する「宝石学修了者(GG)」と「英国宝石協会(Gem-A)」の認定する「英国宝石学協会特別会員(FGA)」です。
それぞれアメリカ、イギリスにおける宝石学(ジェモロジー)の世界的な教育機関です。
日本では民間資格ということになりますが、認定されると宝石学の専門家として国際的に通用します。
宝石学とは宝石の鑑別や格付け(グレーディング)はもちろんのこと、色彩学やジュエリーコーディネート、マーケティング、宝石およびジュエリー(宝飾品)の歴史や知識などです。
そのほか、宝石および貴金属加工の知識など宝石に関わる幅広く学べます。
「Gem-A FGA」については社団法人「日本宝石協会」と「日本宝飾クラフト学院」が業務提携して国内教育機関を担っており、日本語で資格を取得することができます。
また国内の宝石学の民間資格としては社団法人「日本宝石協会」が認定する「GJ」「CGJ」があります。
米国宝石学会(GIA)
一般社団法人 日本宝石協会
日本宝飾クラフト学院
貴金属装身具製作技能士
ジュエリーデザイナーに関わる国家検定としては「貴金属装身具製作技能士」があります。
同じ国家資格でも「医師」のような「業務独占資格」ではなく、ジュエリー(宝飾品)業界唯一となる技能士の「名称独占資格」です。
ジュエリー製作を仕事とする際に必ずしも取得しなければならないわけではありませんが、「貴金属装身具製作技能士」と称するためには取得義務があります。
「貴金属装身具製作技能士」の技能検定制度は厚生労働省の管轄で、委託された「中央職業能力開発協会」が問題を作成し、各「都道府県職業能力開発協会」が試験を実施します。
上級・中級・初級の順に1級、2級、3級とわかれていて、それぞれ実務経験または専門学校在学中などの受験資格があり、学科試験と実技試験がおこなわれます。
前期は1級・2級、後期は3級と年に1回ずつ実施され、受験料の目安は学科試験と実技試験をあわせて2万円程度です。
学科試験の科目は、貴金属装身具製作、ロストワックス精密鋳造、特殊加工、工業薬品、材料(宝石・貴金属・金属)、デザイン・製図、電気・ガス、安全衛生などです。
実技試験は貴金属装身具製作を細工から仕上げまで、3時間(3級)または7時間(2級・1級)かけておこなわれます。
持参した材料と支給された材料で、指定の製図から製作します。
毎年およそ200名程度が受験しており、3級の合格率はおよそ50%と決してやさしいわけではありません。
しかしとくに難易度が高い1級技能士を取得していれば、高度な技術を持っていると認められるでしょう。
ジュエリーデザイナーになるための学校の種類
ジュエリーデザイナーとして仕事をする場合、大学や専門学校などでジュエリーデザインについて学んだのちジュエリーメーカーに就職するという道のりが考えられます。
ジュエリーデザインについて学べるのは、芸術系、美術系の大学やジュエリーデザインの専門学校、スクールなどです。
芸術センス、宝石や貴金属の知識、デザイン技術、ジュエリー製作技術、マーケティングなどを身につけておくと、将来役に立つでしょう。
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ジュエリーデザイナーに向いている人
ジュエリーデザイナーを目指すには、まずジュエリーが好きであることが求められます。
製図やレンダリング(完成予想図)といったデザイン画を作成するにしても、ジュエリーを製作するにしても、非常に細かいところまで注意を払います。
そのため細かい作業やコツコツとした作業を地道にできる人、集中力がある人も向いているでしょう。
ジュエリーデザイナーのキャリアプラン・キャリアパス
ジュエリーデザイナーとして本格的に活躍するには、どのような分野で活躍するのかを考える必要があります。
アクセサリーは、宝石や貴金属を材料とする「ファインジュエリー」、合金やガラスなどの非金属を材料とする「コスチュームジュエリー」の2種類があります。
コスチュームジュエリーをデザインする人は、ジュエリーデザイナーよりも幅広い意味でアクセサリーデザイナーと呼ばれるのが一般的です。
自分はどちらを目指すのか、宝石や貴金属でもどのような分野を得意としていくかによって、勤める企業やデザインの方向性が大きく変わります。
ジュエリーデザイナーを目指せる年齢は?
ジュエリーデザイナーに年齢制限はありません。
いったん社会人になってから転職を考えるという人もたくさんいるでしょう。
未経験からの転職希望者の場合は、まずはジュエリーデザインのスクールに通うなどして知識や技術をある程度は身につけたほうがいいでしょう。
少なくとも宝石や貴金属、ジュエリーの基本的な知識とポートフォリオ(作品集)を作成できるぐらいのデザイン力がなければ、まったく仕事になりません。
ジュエリー製作のクラフトは分業する場合もありますが、どのような過程を経てジュエリーができあがるのかまったく知らなければ、的確な指示書を作成することもできません。
趣味や楽しみが目的でジュエリーを製作するコースもあるため、実際に体験してみて向いているかどうかを確認してみるのもよいでしょう。