ジュエリーデザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ジュエリーデザイナー」とは
ジュエリー製作を専門とするデザイナー。完成品の基となるラフスケッチや図案を作成する。
ジュエリーデザイナーとは、指輪やネックレス、イヤリング、ティアラといった、さまざまなジュエリーのデザイン画を作る人のことです。
ジュエリーメーカーやジュエリーショップ、デザイン会社などに勤務し、商品企画やコンセプト、お客さまの希望に基づいて、ふさわしいジュエリーをデザインしていきます。
頭でイメージしたデザイン画を起こすだけではなく、企画やマーケティング、あるいは職人としての実製作工程にまで携わる人もいます。
ジュエリー業界は景気に左右されやすい一面がありますが、確かな技術とセンスを備え、独自性のあるデザインや豊かなアイデアを提案できるジュエリーデザイナーは多くの職場で重宝されるでしょう。
十分な経験を積むと独立し、フリーランスで活躍する人や、自身のブランドを立ち上げる人もいます。
「ジュエリーデザイナー」の仕事紹介
ジュエリーデザイナーの仕事内容
さまざまなジュエリーのデザイン画を作る
ジュエリーデザイナーとは、貴金属や宝石を使った指輪やネックレス、イヤリング、ブレスレット、ティアラなど、さまざまなジュエリーのデザイン画を作る人のことです。
商品企画やコンセプトに基づいてラフスケッチを描き、手書きもしくは専用のグラフィックソフトを活用して、頭の中にあるイメージをデザイン画として起こしていきます。
ジュエリーデザインでは、正面から見たときの正面図だけでなく、立体図や上面図、側面図など、さまざまな角度の絵を作ることが多いです。
また、ただ美しい絵に仕上げるだけではなく、製作コストや耐久性なども考慮しながら、企画内容に合うデザインを完成させることが求められます。
製作作業までジュエリーデザイナーが手掛けることも
ジュエリーデザイナーが作り上げたデザインは、その後、「ジュエリー職人(クラフトマン)」によって、実製作に入ります。
人によっては、自ら金属工芸の専門技術を駆使して、職人として手を動かして製作を手掛けるデザイナーもいます。
また、ジュエリーの商品開発や商品管理といった事務的な仕事まで、デザイナーが任されるケースもあります。
関連記事ジュエリーデザイナーの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
ジュエリーデザイナーになるには
ジュエリーデザインの基礎知識・スキルを身につけて、就職を目指す
ジュエリーデザイナーになるために必要な資格はとくにありませんが、ジュエリーに関する専門的な勉強をしておくとよいでしょう。
ジュエリーデザインの専門学校では、宝石や貴金属の知識、デザインおよび製図等の専門知識・技術などに関して、効率的に学習できます。
なかには芸術系・美術系の大学に進学し、広くデザインに関して学びを深める人もいます。
卒業後はジュエリーメーカーやジュエリーショップなどにデザイナー職として就職し、ジュエリーデザイン業務に携わるのが一般的なルートです。
ただし現場によっては、すぐに第一線で重要な業務を任されるわけではなく、先輩デザイナーの下でアシスタントとして働きながら経験を積んでいきます。
経験を積むと独立する人もいる
ジュエリーデザイナーは、ジュエリーメーカーなどに勤務する、いわゆる「企業内デザイナー」と、企業には勤務せずに独立して働く「フリーランスデザイナー」に分かれます。
前者の場合、自社で取り扱うジュエリーのデザインを手がけていくことになり、その企業が専門・得意とするジュエリーの種類によって、ある程度、デザインの範囲が限定される場合があります。
一方、フリーランスデザイナーになれば、自分の得意分野や専門性を生かして、どのような仕事を請け負うかを決めていくことができます。
ただし、フリーランスデザイナーは自分の実力だけで勝負しなくてはならず、経験が浅い状態では成功は難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
ジュエリーデザイナーの学校・学費
専門学校や美術系の大学でジュエリーデザインを学ぶ人が多い
ジュエリーデザイナーとして仕事をするにあたって、必ず通わなくてはならない学校やスクールはありません。
しかし、ジュエリーデザイナーは専門職であり、また採用人数もさほど多くないため、まったくジュエリーの知識もない状態で採用されるのは厳しいと考えておく必要があります。
このため、まずは大学(美術系・芸術系)もしくはジュエリーの専門学校などに通い、デザイン全般や貴金属・宝石に関する基礎知識とスキルを身につけておくとよいでしょう。
学校に通っただけで一人前のジュエリーデザイナーになれるわけではありませんが、ジュエリーメーカーなどに採用される可能性は高まります。
スクールでもジュエリーに関する勉強ができる
大学や専門学校に通う余裕がない人は、民間のスクールや講座を活用してみるのもよいかもしれません。
ジュエリーのスクールや講座には、趣味レベルのものから、プロとして細分化された専門技術を本格的にマスターしたいという人向けのものまで、さまざまなものがあります。
実製作のスキルに関しては彫金教室でも学ぶことが可能ですし、月謝制の講座であれば、短期間だけ気軽にお試しで通いやすいのが魅力です。
ジュエリーに接することができる場は、探してみればいろいろとあるため、自分に合う学校・スクールを探してみるとよいでしょう。
関連記事ジュエリーデザイナーになるためにはどんな学校に行けばいい?
ジュエリーデザイナーの資格・試験の難易度
資格取得は必須ではないが、知識・スキルを証明する材料になる
ジュエリーデザイナーとして働くために、取得必須とされる資格はありません。
ただし、ジュエリーのデザイン・製作・マーケティングなどに関わる資格はいくつかあります。
このような資格を取得しておくと、自分の知識やスキルレベルを証明する材料にでき、また、就職や転職時に熱意をアピールしやすくなります。
ジュエリーデザイン関連の代表的な資格
ジュエリーデザイナーに関連する代表的な資格が「宝石鑑定師」です。
宝石鑑定師は、以下の2種類の資格があります。
・米国宝石学会(GIA)が認定する「宝石学修了者(GG)」
・英国宝石協会(Gem-A)が認定する「英国宝石学協会特別会員(FGA)」
日本では民間資格の扱いですが、認定されると宝石学の専門家として国際的に通用します。
このほか、ジュエリー製作の技術レベルを証明できる「貴金属装身具製作技能士」も有名です。
ジュエリーデザイナーとして、より幅広いジュエリーの知識・製作技術をアピールしたい場合には、資格取得を目指していくのもよいでしょう。
ジュエリーデザイナーの給料・年収
個々の経験や実績、能力などによって収入差は出やすい
ジュエリーメーカーやジュエリーショップなどに勤務するジュエリーデザイナーの平均年収は、300万円〜500万円程度が相場と考えられます。
ただし、この職業は専門性が問われるものであるため、現場に出たばかりの新人デザイナーと、多種多様なジュエリーを手掛けてきたベテランデザイナーでは収入差が出やすいと考えておいたほうがよいでしょう。
また、同じ「ジュエリーデザイナー」の肩書きをつける人であっても、商品企画や実製作などまで幅広く手掛ける人と、細分化された業務の一部分だけを担当する人でも、収入に差がつくことがあります。
独立して大成功する人もいるが、競争は厳しい世界
ジュエリーデザイナーの勤務先は、大手のジュエリーメーカーから、小規模のメーカーやデザイン会社などまでさまざまです。
とくに小さな企業では、仕事量が安定していないなどの理由から基本給がやや低めに設定されていたり、福利厚生が充実していなかったりするところもあります。
経験を積むと独立し、自分の腕で勝負するジュエリーデザイナーも出てきます。
独立後の収入も人によってかなり差が出やすいですが、ある程度事業が軌道にのれば年収500万円以上を手にすることも可能です。
デザイナーとして名が知られるようになり、自分のブランドを立ち上げて大ヒットすれば、さらなる高収入も目指せますが、非常に厳しい道のりです。
関連記事ジュエリーデザイナーの年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
ジュエリーデザイナーの現状と将来性・今後の見通し
業界としては厳しい状況だが、実力あるデザイナーは常に求められる
ジュエリーは、宝石や貴金属を材料とする非常に高価な商品であるため、その売れ行きは、世の中の景気やブームに左右されます。
現在の日本では、バブル期のような驚くほどの売上は期待しづらく、市場規模も徐々に縮小傾向にあります。
今後については、なんらかのきっかけにちょっとしたジュエリーブームがくることは考えられますが、日本経済や少子化の問題が劇的に改善されない限り、国内需要の現状維持も厳しいのが現実です。
それでも、ジュエリーが世の中からまったく姿を消すことはとても考えにくく、実際、ジュエリーショップには次々と新しいデザインのジュエリーが並んでいます。
業界全体をとりまく状況は厳しいものの、実力のあるジュエリーデザイナーはいつの時代も高く評価され、また活躍の場も維持できるでしょう。
変わり続ける世のニーズを敏感に察知しながら、独自性のある、素晴らしいデザインを生み出せる人材が求められています。
ジュエリーデザイナーの就職先・活躍の場
ジュエリーメーカーやジュエリーショップを中心に活躍
ジュエリーデザイナーの多くは、ジュエリーメーカーやジュエリーショップ、ジュエリーブランドなどに勤務しています。
社内に専属のデザイナーを置くジュエリー関連企業はいくつもありますが、採用人数自体はそこまで多くなく、少数精鋭で業務を手掛けている企業も目立ちます。
小規模な企業では、ジュエリーデザイナーが商品企画を行ったり、職人としてジュエリーの製作まで手掛けている場合もあります。
一方、大手のメーカーでは業務がかなり細分化されており、デザイナーであっても担当業務が明確に決められていることもあります。
このほか、企業には所属せずに、独立して個人で活動するジュエリーデザイナーもいます。
ジュエリーデザイナーの1日
時間をかけてデザインを詰めていく
ジュエリーデザイナーは、アパレル業界のデザイナーのように、一時期に大量のデザインを手掛けることはあまりないため、比較的落ち着いた働き方をしています。
点数をしぼって、厳選したデザインだけを商品化していくため、デザインの決定までには相当な時間をかけることもあります。
基本的にはオフィスワークですが、勤務先によっては、ときに実際に店頭に立って接客をしたり、職人(クラフトマン)の工房を見学したりすることもあります。
ここでは、ジュエリーメーカーで働くジュエリーデザイナーのある1日を紹介します。
関連記事ジュエリーデザイナーの1日のスケジュール・生活スタイル
ジュエリーデザイナーのやりがい、楽しさ
自分の感性やセンスを発揮して、美しいデザインを形にする
ジュエリーデザイナーにとってのやりがいは、自分の頭の中にあるジュエリーのイメージを、手を動かしながら形にしていくことです。
デザインをするジュエリーには必ず「企画」や「コンセプト」がありますが、それをどう表現していくかは、個々のデザイナーのセンスや感性によって異なります。
仕事の中で、自分らしさも存分に追求することができますし、自分が手掛けたデザインが職人の手によって商品となり、世の中に出ていった瞬間には何とも言えない達成感があります。
また、ジュエリーは人の心に潤いや喜びを与えるものです。
美しいものに普段から触れていられることも、ジュエリーデザイナーの魅力といえます。
ジュエリーデザイナーのつらいこと、大変なこと
理想の勤務先がなかなか見つからない場合も
ジュエリーデザイナーは、洋服などを作るアパレル業界のデザイナーや、グラフィック・Webなどの別業界のデザイナーと比べると、圧倒的に求人数が少ない職種です。
少数精鋭で回している職場もあるため、若手の新人ジュエリーデザイナーはなかなか採用されづらく、働ける場を探すこと自体に苦労する人がいます。
また、ようやく勤務先が見つかっても、販売や商品企画などの業務を多く任され、デザイナーとして第一線で活躍できる機会になかなか恵まれない人もいるようです。
ジュエリーデザイナーは一人前と認めてもらえるまでに時間がかかるため、地道に努力して、自分の実力をアピールするしかありません。
しかし、理想通りに働けるようになるまでの道のりで挫折してしまう人もいるのが実情です。
ジュエリーデザイナーに向いている人・適性
ジュエリーが好きで、細かな作業が得意な人
世の中に「デザイナー」と呼ばれる人はたくさんいますが、なかでもジュエリーデザイナーは「宝石」や「貴金属」に関するデザインを手掛けます。
ジュエリー商品は、何十万円、何百万円といった非常に高価なものも多く、日常とは異なる、特別なシーンだけで使用されるケースもしばしばあります。
こうした特別感のあるジュエリーを扱うからこそ、ジュエリーに対する興味が強く、宝石や貴金属の専門的な勉強を積極的に続けていける人に向いています。
また、ジュエリーのデザイン画は細部にまで気を配ることが求められるため、おおざっぱな人よりも、細かな作業が得意な人のほうが望ましいでしょう。
緻密で正確なデッサンをしたり、小さなものづくりが好きという人も、ジュエリーデザイナーの適性があるといえます。
関連記事ジュエリーデザイナーに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
ジュエリーデザイナー志望動機・目指すきっかけ
ジュエリーの美しさに魅力された人が多い
ジュエリーデザイナーを目指す人のきっかけは、デザイナーという職業のなかでも、「ジュエリーの美しさに魅了されて」というケースが多いです。
キラキラと光る宝石の美しさに感激していたり、ジュエリーを眺めることが大好きだったりして、この仕事を目指すといった話はよく聞かれます。
ただし、実際のジュエリーデザイナーの業務は、コツコツとした地味な作業の連続です。
決してきらびやかで派手な場面だけではないため、面接試験では、厳しい下積み時代を乗り越えていくための努力ができる意欲を伝えるべきでしょう。
「ジュエリーが好きだから」という志望動機だけでは、不合格になる可能性が十分に考えられるため、注意が必要です。
関連記事ジュエリーデザイナーの志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?
ジュエリーデザイナーの雇用形態・働き方
正社員として活躍するか、独立する人がほとんど
ジュエリーデザイナーは、ジュエリーメーカーなどジュエリーを作る企業においては、非常に重要な職種です。
そのため、正社員として雇用されるケースが目立ちます。
パートやアルバイトなど非正規で雇用される場合は、第一線で活躍するデザイナーのアシスタント職としての役割を求められ、デザインにどっぷりと関わることは難しい場合があります。
このほか、企業には所属せずに、独立してフリーランスで働くジュエリーデザイナーもいます。
こういった人は、もともと企業内デザイナーとして経験を積み、十分なスキルを備えて独立というケースが一般的です。
ジュエリーデザイナーの勤務時間・休日・生活
各社の営業時間に合わせて勤務する
ジュエリーメーカーなどに勤めるジュエリーデザイナーの勤務時間は、各社の営業時間に沿ったものとなります。
基本的には朝から夕方にかけての日勤で、深夜・早朝に働くようなことはほとんどありません。
新商品の企画が立て込んでいる時期や、デザイン業務が遅れている場合などは長時間の残業をすることもありますが、平常時はそこまで多忙ではなく、ゆとりをもった生活を送りやすいでしょう。
休日は思い思いに過ごせますが、ジュエリーデザイナーは、もともとデザインやアートに関心が強い人が多く、休みの時間にも芸術作品を見たり、街に出て流行のデザインに触れたりする人も少なくありません。
オフの時間でも、仕事に生かせそうな情報がないかなど、つい仕事のことを考えてしまう人もいます。
ジュエリーデザイナーの求人・就職状況・需要
求人数があまり多くないため、積極的な行動が必要
ジュエリーデザイナーは、求人数があまり多い職業ではありません。
大手ジュエリーメーカーの一部では、新卒採用としてジュエリーデザイナー職の募集をしていることがありますが、一般的には「営業」「企画」「デザイン」「設計」「品質管理」「店舗スタッフ」「制作(仕上げ部)」といった職種の募集が中心です。
各社のWebサイトから採用情報を丹念に探したり、学生時代に培った人脈を生かしたりと、主体的に行動していく姿勢が必要になるでしょう。
ジュエリー関連の専門学校やスクールに通っていれば、学校の紹介で求人情報を見つけられることもあります。
ジュエリーデザイナーの転職状況・未経験採用
転職市場では即戦力になれる経験者の採用がほとんど
ジュエリーデザイナーは、もともと採用人数があまり多くないこともあって、簡単に転職できる職業とはいえません。
同じデザイナー職で見ていくと、「グラフィックデザイナー」や「ファッションデザイナー」「プロダクトデザイナー」などのほうが需要は圧倒的に多く、ジュエリーデザイナーの求人はなかなか見つけられないのが実情です。
また、ジュエリーメーカーなどが中途採用でジュエリーデザイナーを募集する際には、人員不足などで、すぐにでも活躍できる人材を求めています。
業界経験者であれば転職成功の可能性はありますが、未経験からとなると、非常に厳しいと考えておくべきでしょう。
未経験から転職を目指す場合は、専門学校などで一からジュエリーデザインを学ぶ気概が求められます。
未経験から通信でジュエリーデザイナーになれる?
基本的な知識であれば通信講座でも習得可能
ジュエリーデザイナーを目指す場合、多くの人は大学や専門学校などに通って、ジュエリーデザインや工芸に関して学んでからジュエリーメーカーなどへ就職しています。
ただし、なかには通信で手軽に学びたいと考える人もいるかもしれません。
結論を言うと、ジュエリーデザインに関する勉強を通信講座で行うことは可能です。
いくつかの民間のスクールなどがジュエリー関連の通信講座を開いており、受講期間は短ければ3ヵ月~半年ほど、長いものだと1年以上となります。
テキストやDVD、添削課題などで学習するものが多く、講座によっては最後に各スクールが認定する資格も得られます。
主体的に学ぶ姿勢があれば、基本的なジュエリーデザインの知識・技術は、通信講座でも得られるでしょう。
ただし、そのスキルが現場でどれだけ評価されるかは未知数です。
企業によっては、大学や専門学校で学習した人を優先的に採用したいと考えることがあり、通信で学んだからといて、必ず就職に結びつくわけではないと認識しておく必要があるでしょう。