行政書士と宅建士の違い
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行政書士と宅建士(宅地建物取引士)の仕事内容の違い
行政書士は、顧客からの依頼を受けて、官公署に対する許認可申請を代行したり、遺言や相続に関する手続きを行ったり、内容証明や会社定款、契約書などを作成したりする「文書作成」の専門職です。
一方、宅建士は、土地や戸建、マンション、事務所ビル、店舗などの売買・賃貸を仲介したり、それらの取引について契約書を作成したり、説明を行ったりする「不動産」の専門職です。
どちらの職業も難解な法律知識が求められるため、業務を行うためには国家資格が必要であり、それぞれに資格保有者にしかできない「独占業務」が定められています。
たとえば、新しく事業を始めようとする顧客に対して、行政書士は会社設立や店舗の営業許可などの手続きを代行し、宅建士は賃貸するオフィスや店舗などの物件を紹介します。
また、相続手続きをはじめとして、行政書士・宅建士が協同してひとつの案件にあたるケースも多いため、一人で双方の資格を取得して手広く活躍している人もいます。
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行政書士と宅建士のなる方法・資格の違い
行政書士になる方法としては、行政書士試験を受けることが一般的ですが、ほかにもいくつかの方法があります。
国家公務員または地方公務員になり、行政事務を17年~20年以上経験すると、十分に実務知識を有しているとみなされ、無試験で行政書士資格が取得できます。
また、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士資格のいずれかを取得すると、行政書士資格も同時に得ることが可能です。
これに対し、宅建士になるには、宅建試験(宅地建物取引士資格試験)に合格する以外に道はありません。
なお、どちらの資格についても、実際に働くためには、行政書士については行政書士会に、宅建士については試験を受けた都道府県に、それぞれ「登録」しなければなりません。
行政書士は登録料を収めるだけで登録できますが、宅建士は、2年間の実務経験を積むか、登録実務講習を受講することが必要です。
行政書士と宅建士の資格の難易度の違い
行政書士試験に合格するために必要となる勉強時間は、500時間~800時間程度といわれています。
一方、宅建試験の場合は、300時間~400時間がひとつの目安とされており、難易度としては行政書士試験のほうが上といえます。
試験の合格率をみても、行政書士試験はおおむね10%前後であるのに対し、宅建試験は15%前後あり、やはり行政書士試験のほうが難関です。
ただ、どちらの試験にもいえることですが、受験者のなかには社会人として働いている人もおり、十分な対策を行わないまま試験に臨んでいるケースも散見されます。
しっかりとした対策が必要なことに間違いはありませんが、合格率から推察されるほどは、両試験とも難関ではありません。
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行政書士と宅建士の学校・学費の違い
行政書士試験・宅建試験ともに、受験資格は定められていませんので、どちらの資格を目指す際にも学歴は必要ありません。
ただ、行政書士試験では行政法を中心に、宅建試験では宅地建物取引業法を中心に、幅広い分野から法律問題が出題されます。
これから進路を決めるという人の場合、必須ではありませんが、大学の法学部に進学して、法解釈など法律特有の思考方法について習熟しておくと、試験に役立つでしょう。
どちらの資格を目指すにしても、ほかの国家資格に比べると難易度はそこまで高くありませんので、通信教育などを受講して、自宅で勉強するスタイルでも十分に合格することが可能です。
とくに宅建士は、市販のテキストなどを用いて、独学のみで対策する人も大勢います。
行政書士と宅建士の給料・待遇の違い
行政書士は、稼いでいる人とそうでない人の差がかなり激しい職業です。
職業としての平均年収は600万円前後といわれていますが、大半の行政書士は年収500万円以下であり、一部の高所得者が全体の平均値を押し上げている格好です。
独立して大きく成功を収めている人のなかには、年収2000万円や3000万円といった超高収入を得ている人がいる一方、開業しても食べていくのがやっとという人も珍しくなく、給料は個人の実力次第といえます。
これに対し、宅建士の年収は400万円~650万円とされており、個人差があることに変わりはないものの、行政書士ほどではありません。
宅建士の給料は、基本給にプラスして、月々の成績に応じた成果報酬(インセンティブ)が支払われるケースもよくありますので、営業スキルが高い人ほど高収入を得やすいでしょう。
行政書士と宅建士はどっちがおすすめ?
行政書士は、建設会社などにサラリーマンとして勤めながら資格を生かす道もありますが、基本的には独立開業を前提とした資格です。
一方、宅建士の資格保有者は、不動産会社などに勤める会社員が大半で、資格を頼りに独立開業するというよりも、キャリアアップのために資格を取るというケースが一般的です。
もちろん例外もありますので、一概にはいえませんが、独立して自分の事務所を持ちたいなら行政書士が、企業に勤めて安定的に働きたいなら宅建士が、それぞれおすすめといえます。
また、行政書士は、許認可申請手続きをおもな仕事としているものの、その業務範囲はかなり広い一方、宅建士の業務は不動産関係に限定されています。
さまざまなことに興味がある「ゼネラリスト」志向が強い人は行政書士が、不動産の「スペシャリスト」になりたい人は宅建士が、それぞれ向いているでしょう。